中学受験算数では、割合の応用問題として、「相当算」と呼ばれる特殊算を学びます。
相当算は問題文に条件が多く、小数や分数の計算も必要となるため、多くの受験生が苦手とします。この相当算の解き方について、以下の例題を使って考えてみましょう。
太郎君と次郎君と三郎君があめ玉を分けます。はじめ、太郎君が全体の4割より5個多くとりました。次に、次郎君が残りの6割より5個多くとりました。その結果、三郎君がとった分は全体の2割になりました。太郎君、次郎君、三郎君はそれぞれ何個ずつあめ玉をとりましたか。
【Step1】線分図を描く
相当算に限ったことではありませんが、複雑な文章題を解く上で大切なのは図を描くことです。とはいえ、「どんな図を描けばいいの?」と受験生は悩みます。悩ましい場合は、とりあえず次のように考えるといいでしょう。
・足したり引いたりする問題 → 線分図
・かけたり割ったりする問題 → 面積図
・速さの問題 → ダイヤグラム(状況図)
冒頭の例題は、全体からあめ玉をとっていく問題(引き算)なので線分図を描きます。相当算では線分図を使うことが多いですね。
問題文には「太郎君」「次郎君」「三郎君」の3人が登場します。そのため、3本の線分を描きます。(線分を1本にまとめてもいいのですが、いろいろ書きこんでいくとゴチャゴチャになります。最初から3本にしておいた方が無難です。)
問題文の条件を忠実に図で表しました。線分の上にはあめ玉の個数、下には割合を書きこんでいます。
割合は、あえて小数や分数に直さず、歩合をそのまま使っています。歩合は、もとにする量を10として考えます。太郎君と三郎君は、「全体」がもとにする量なので、割合を〇で囲みました。次郎君は、「残り」がもとにする量なので、割合を□で囲みました。このように、もとにする量が異なる割合は、〇や□を使って区別しましょう。
【Step2】線分図に情報を書き足す
次に、線分図を眺めながら、読み取れる情報をどんどん書き足していきます。
⑩から④と②を引いた④と、10から6を引いた4を図に書き足しました。
【Step3】線分図から式を作る
情報を書き足した線分図を眺めながら、式を作れないかを考えます。ポイントは、同じ長さの線分を探すことです。
上の図より、次の2つの式を作れます。
④ = 6 + 10 … (1)
4 = ② + 5 … (2)
〇と□がある式ですね。このような式から①や1を求める特殊算を「消去算」といいます。消去算は、みかんとリンゴのそれぞれの個数、大人と子どものそれぞれの入園料など、2つ以上のものの数値を求める際に使います。中学校で学ぶ連立方程式の小学生バージョンです。
この消去算は、実は相当算でも大いに役立ちます。
【Step4】消去算を計算する
2つの式を作ったら、後はゴリゴリ計算するだけです。〇か□を同じ数にそろえて、加減法か代入法で解きます。実際に解いてみましょう。
(2)の式全体を2倍します。
8 = ④ + 10 … (3)
(3)の式と(1)の式を見比べると、④が同じです。
したがって、(1)を(3)に代入します。
8 = (6 + 10) + 10 (← ④を6 + 10に書きかえました。)
8 – 6 = 2 = 20
1 = 10
図を見ながら、それぞれのあめ玉の個数を求めます。
次郎君 … 6 + 5 = 10 × 6 + 5 = 65
三郎君 … 4 – 5 = 10 × 4 – 5 = 35
太郎君 … ④ + 5 = ② × 2 + 5 = 35 × 2 + 5 = 75
したがって、太郎君75個、次郎君65個、三郎君35個です。
線分図と消去算でサクッと解く
線分図や消去算をマスターするのに、多くの受験生が苦労します。問題文を線分図に表せたとしても、図から情報を読み取って式を作れないんですね。また、逆算をスムーズに行えるだけの計算力が無いと、式を作っても答にたどり着けません。
このように、線分図と消去算は、使いこなせるようになるまでが大変です。しかし、使いこなせるようになると、相当算などの難問もサクッと解けるようになります。上位校志望の中学受験生は、線分図と消去算をマスターするといいですよ。
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