勉強では継続が大切です。「継続は力なり」という格言の通り、継続することで実力が伸び、好ましい結果をもたらす可能性が高くなるからです。
一方で、継続だけでは学力や成績が頭打ちになるという現実もあります。家庭教師の問い合わせでも「うちの子は毎日コツコツ頑張っているのに、全然成績が上がらない」という相談がとても多いことが、この現実を物語っています。
本記事では、勉強を継続できている生徒に向けて、継続の質を高めるコツを紹介します。
継続だけでは頭打ちになる理由
何となく勉強するだけでは、どんなに長く続けても、100点満点のテストで70点程度しか取れません。そもそも、継続だけでは学力や成績が頭打ちになるのはなぜでしょうか?
野球を例に考えてみましょう。
野球が上手くなりたいという人が、サッカーボールを蹴る練習を続けたらどうなるでしょうか?
毎日素振りをするとして、バットをとにかく振り回すだけで、ヒットやホームランを打てるようになるのでしょうか?
どちらも野球の練習として不適切なのは明らかです。この例のように、練習を継続するにしても、その練習方法がおかしいと、上手くならないどころか、逆にどんどん下手になります。場合によっては、大けがにつながることもあるでしょう。
勉強も野球などのスポーツと同じです。不適切な勉強方法を継続すると、学力や成績が上がらないどころか、逆にどんどん下がっていきます。場合によっては、テストで自己最低点を叩き出すこともあるでしょう。「勉強すればするほど勉強ができなくなる」という負のスパイラルに陥ります。
趣味で勉強するなら、どんな勉強方法でも構いません。自分の好きなように取り組んでください。しかし、定期テストや入学試験で結果を求めるなら、勉強を継続するだけでなく、継続の質を高める必要があります。
継続の質を高めるコツ7選
継続の質を高めるコツとして、これから紹介する7つのことをぜひ実践してみてください。慣れるまでは大変でしょうが、慣れてくる頃には結果が出るようになり、自分の成長を実感できるはずです。
1. 目標や手順を確認してから始める
勉強が継続できない場合は、「とにかくやってみよう」が大切です。一方、継続できている場合は、「とにかくやってみよう」ではいけません。やるべきことの目標や手順を確認し、方向性を決めてから、勉強を始めましょう。
目標とは、「どの問題集を何ページまで解くか?」「1ページを何分で解くか?」「正答率は何%以上を目指すか?」などです。
一方、手順には、「提出用ノートと裏紙のどちらに解くのか?」「辞書を使ってよいのかどうか?」などに加えて、「この問題はどのようなルールで解かなければならないのか?」も含まれます。たとえば、英語の動詞の形を決める問題では、「主語と時制をチェックする」というルールが大切です。ページの見出しが「一般動詞の過去形」だからといって、機械的に動詞にedを付けていくだけでは、勉強していることにはなりません。
目標や手順が不明確なまま勉強すると、場合によってはやり直しになることもあります。そのような無駄を防ぐためにも、勉強を始める前の確認が大切です。
2. 本番のつもりで取り組む
本番で失敗する生徒のほとんどは、普段の勉強でテスト本番とは違うことをしています。
誰にもチェックされない宿題だからといって、読めない字で書き殴ったり、途中計算を一切書かなかったり、参考書を見ながら解いたりします。さらにひどい場合だと、音楽を聴きながら、テレビを見ながら、問題を解きます。勉強は作業ではありませんので、どんなにはかどるとしても、「ながら勉強」ではいけません。
普段の勉強では、まず「テスト本番でも同じことをするのか?」を考えましょう。テスト本番でしないことは普段の勉強でもすべきではありません。そうなると、「どういう字を書くべきか?」「途中計算はどこまで必要か?」「音楽を聴きながらでもよいか?」なども自然とわかるはずです。
ただし、通学時間や待ち時間などの「スキマ時間」を活用して勉強する場合は、この限りではありません。スキマ時間には、暗記したことの復習や英語のリスニングなど、机に向かう必要のない勉強に取り組みましょう。
3. 「見せる」ことを意識する
趣味で勉強しているのでない限り、勉強の成果は必ず他者から評価されます。そのため、高評価を得られる方法を習得することも勉強の目的です。
評価者は、自分のことをよく知っている学校の先生だけではありません。入学試験や模擬テストなどでは、一回も会ったことのない赤の他人が答案を採点するため、「この生徒はこういう性格だから」といった甘めの評価は期待できません。したがって、普段の勉強でも、赤の他人に「見せる」ことを意識することが大切です。
「見せる」といっても、ノートをカラフルにしたり、書道のときのような美しい字で書いたりする必要はありません。「もし自分が採点者なら」と考えて、読める字で書いたり、誤解を招かないレイアウトにしたりするだけです。
「テスト本番ではきちんとできる」と言いながら、普段の勉強は雑な生徒がいます。しかし、そういう生徒は大抵、本番でも雑な本性が出てしまい、何点か落とします。普段の勉強でも、本番を想定して「見せる」訓練をしましょう。
4. 自分に厳しく正しい丸付けをする
問題を解いた後、丸付けしないのは論外です。しかし、丸付けするだけでも不十分です。
丸付けでは、自分の答と模範解答を一字一句照らし合わせて、完璧に同じかどうかをチェックします。英語で三単現のsが抜けていたり、数学で3乗が2乗になっていたりするのに、平然と○にする生徒がいます。そのようないい加減な丸付けではいけません。丸付けは、問題を解くとき以上に時間をかけて丁寧に行う必要があります。
自分の答と模範解答が違っていて「これで正解になるのかな?」と悩むときは、先生などに質問しましょう。特に記述問題は自己採点が難しいので、先生などに採点をお願いするとよいでしょう。
丸付けでは、自分に厳しくすることが大切です。「漢字を間違っただけ」「計算ミスだから」などと言って、答を消して書き直す生徒がいますが、これは不正行為です。間違いを素直に認めて×を付けましょう。
また、明らかな間違いだけでなく、時間がかかり過ぎた問題や、何回も書いたり消したりした問題、何となく正解した問題など、「もう一度解きなさい」と言われて正解できない可能性のある問題は全て×にします。(×が嫌なら△にします)
丸付けが終わったら、問題集を開いて、×(もしくは△)の問題の横に日付を書いておきます。次の復習するときは、日付のある問題を中心に解き直せばよくなるので効率的です。また、日付がいくつもある問題は特に苦手な問題ですから、テスト前にはこれらの問題を徹底的に復習すると、テストの点数にも直結します。
5. 自己分析して間違いを言葉で書く
丸付けして、赤で模範解答を書き写して終わり、を繰り返すだけでは、いつまでも同じ間違いを繰り返します。そこで、丸付けが終わったら、間違った問題について「なぜ間違ったのか?」を考えて言葉で書いてみましょう。
まずは、間違いについて、「計算ミス」「書き間違い」ではなく、「÷2をしなかった」「yをiに変えなかった」と具体的に書きます。次に、間違った原因を分析し、「台形の公式を正しく覚えていなかった」「yをiに変えてesを付けるときのルールがわからなかった」と書き加えます。そうすると、「ケアレスミス」だと思っていた間違いが、実は「根本的な理解不足」だった、と判明する場合もあるでしょう。
自分の間違いの傾向を認識し、その原因を分析することで、間違いは確実に減っていきます。自分の弱点などを直視するのは辛いものですが、そこをこらえて自分と向き合っていけば、必ず成長につながります。
6. 間違った問題はその場でできるようにする
勉強の継続で欠かせないのが、間違った問題の解き直しです。どの科目でもまず、丸付けして間違いを直し、自己分析を済ませた直後に解き直しましょう。
漢字や英単語なら、間違ったものを数回練習した後、すぐに書けるかどうかをテストします。英語の和訳ならば、もう一度何も見ないで、英文の構造をきちんと説明できて完璧な和訳を作れるかどうかを試します。数学ならば、理解した解法を再現できるかどうか、実際に手を動かして書いてみます。
丸付け直後にこうしたひと手間をかけるかどうかで、間違いから学んだことの定着度が変わります。「面倒だから、明日解き直せばいいや」といって直後の解き直しを怠ると、大切なことが驚くほど記憶から抜けてしまいます。「鉄は熱いうちに打て」ということわざは、解き直しにこそ当てはまります。
7. 繰り返しを通して改善していく
勉強の継続でもう一つ欠かせないのが、間違った問題を中心にワークなどを2回、3回、……と繰り返すことです。
しかし、ただ繰り返すだけだと、必ずしも結果には結びつきません。ワークを3回解き直したのに、定期テストでは60点しか取れない、というのはよくあることです。
こういう生徒に足りないのは改善の視点です。同じ問題を何度も解き直すことを単なる作業にしないため、前回よりも良くすることを常に目指しましょう。
具体的な改善内容としては、「解く時間を短くする」「正答率を上げる」の2つが考えられます。前回は15分で20問中12問正解だったので、今回は10分で20問中18問正解を目指す、のように目標を設定します。繰り返すたびに、速く、正確になっていくのが理想です。
逆に、2回目も3回目も……15分で20問中12問正解が続くようでは、繰り返す意味がありません。ましてや、回を重ねるごとに、解く時間が遅くなり、正答率も下がってしまっては、もはや繰り返しが害になっています。
繰り返すと勉強した気になりがちですが、そこで満足せず、「もっと速く、正確に」を自分に言い聞かせながら改善していきましょう。
継続の質を高めれば人生が楽しくなる
勉強で継続の質を高められれば、その経験は趣味や仕事などにも応用できます。特に、結果を出すことを強く求められる場面では、本記事で紹介した7つのコツが活きてくるはずです。
勉強を継続できるだけでも素晴らしいですが、そこからさらに飛躍できれば、活躍の幅が大きく広がります。学生の皆さんには、勉強で自信をつけて、学校生活、さらにはその後の人生を楽しんでもらいたいと思っています。
トップ画像=写真AC
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