勉強が苦手な子の「本当の弱点」とは?成績アップを妨げる”つまずき”に迫る

勉強が苦手な子の「本当の弱点」とは?成績アップを妨げる”つまずき”に迫る 生徒・保護者

私の家庭教師指導では、生徒の弱点を潰すことを重視しています。

弱点といっても、「算数で割合が苦手」「英語で不定詞がわからない」といったレベルの弱点ではありません。

もっと根本的な、勉強だけでなく日常生活にも支障を来すレベルの「本当の弱点」を見つけ、それらを改善するよう生徒や保護者に求めます。

数量感覚が弱いから、数の大小がわからない?

小学生が「割合がわからない」と言う場合、割合のイメージや感覚ではなく、日本語能力に問題があることが少なくありません。

これについては以下の記事で実際の指導例を紹介しました。

割合がわからないのはなぜ?「イメージ」「感覚」よりも必要なのは日本語の文法知識
「割合がわからない」という小学生の中には、算数的な思考が苦手というよりも、日本語がわからない子もいます。彼らに必要なのは、日本語の文法知識です。

他にも、算数が苦手な小学生によくあるのが「数の大小がわからない」です。

子どもが「\(\frac{2}{3}\)と\(\frac{3}{5}\)のどちらが大きいか?」で悩む程度なら、そこまで心配する必要はありません。

一方、子どもが「2と2.1を比べると、2の方が大きい」「2.1が数直線のどこら辺なのかがわからない」などの場合、早めの対策が必要です。

数の大小を瞬時に判断するには、いわゆる「数量感覚」が必要だといわれます。

この「数量感覚」が厄介で、算数指導者の多くは「経験によって鍛えよう」と主張しますが、私はこの主張を必ずしも支持しません。

小学5、6年の時点で単純な小数や分数、さらには整数の大小を瞬時に把握できないならば、今さら料理や工作などをさせたところで、「数量感覚」なるものは身に付かないと思います。

2と2.1の大小がわからないのは、小数の定義があやふやだからです

2.1は2+0.1です。そして、0.1は「1を10等分したうちの1つ分」を表す数です。

ここで「10等分」という言葉を知らない子どもがいます。指導者は「等分」の意味から教えなければなりません。

また、「1を10等分したうちの1つ分が1より小さい」が「当たり前」でない子どももいます。指導者はテープなどの絵を描いて、「等分するとどうなるか?」を視覚的に見せる工夫が必要です。

さらに指導者は、「2.1は、2に0.1を足しているのだから、2より大きい」という足し算の基礎を復習させるとよいでしょう。

子どもは「5は、2に3を足しているのだから、2より大きい」とわかっていても、足した数が小数や分数になった途端、足し算のルールを無視し始めることがあります。

私がよく生徒に言うのは、「整数で成り立つ算数のルールは、小数や分数、さらには文字でも同じだ」です。(中学で負の数が登場したら、若干ルールが変更になります)

小学5、6年で数の大小比較でつまずいている子どもたちに有効なのは、定義を正しく覚えさせることと、ルール通りに考えるのを徹底させることです。

この2つは、算数に限らず、勉強が苦手な子どもたちのほとんどに有効です。新しい知識や技術を彼らの経験に結び付けさせると、却って混乱を酷くすることもあるので、私は「経験に基づいた学び」に懐疑的です。

bとd、pとqの書き間違いをどう克服させる?

英語を学び始めた小中学生は、しばしばbとd、pとqを書き間違います。

私がかつて教えていた生徒も、中学1年の定期テストで “I have a bog.(正しくは dog )” “Where bo you play tennis?(ただしくは do )” などと書いて×を食らっていました(笑)

このような生徒に「bとdを書き間違うな」と注意しても意味がありません。

私は「(横書きの場合)左から書くようにしなさい」とアドバイスします。なぜなら、bとd、pとqを書き間違う生徒は、これら4つ全てを縦棒から書いていたからです。

bとpは左の縦棒から、dとqは左の丸からそれぞれ書くようにすれば、書き間違いようがありません。

この「左から書く」という習慣の欠如は、英語のスペルミスだけでなく、他科目でも悪影響を及ぼすことがあります。

算数や数学で途中式を書く場合、数字や文字を書いた後に( )を書く生徒がいます。彼らは「( )はオマケ」程度に考えているようで、( )をつけ忘れて計算の順序を間違ったり、( )をつけるべき解答で( )を付けずに失点したりします。

( )のつけ忘れは単なるケアレスミスではなく、算数や数学のルールをきちんと理解していないことから生じる致命的な間違いです

“カッコのつけ忘れ”はケアレスミスじゃない!文字式計算の注意事項
文字式の計算で生じる“カッコのつけ忘れ”は「ケアレスミス」ではありません。「どういうときにカッコをつけるのか?」をしっかり理解しましょう。

「左から書く」を徹底していれば、「ここで( )は必要か?」をいちいち考えることになり、( )のつけ忘れが生じる余地はありません

「左から書く」に限らず、「分数を分母から書くか、分子から書くか?」といった書き順でも混乱を来す生徒がいます。私が彼らにしつこく言うのは「同じことは同じ手順で行いなさい」です。

分数に書き順はあるの?手順の統一によって「勉強が苦手」を解消する
「分数に書き順はあるの?」という素朴な疑問に対する一般的な見解を紹介すると同時に、話を広げて、勉強が苦手な生徒たちの共通点を考えてみます。

このように、手順を統一することで「勉強が苦手」を克服した生徒たちが多かったのが私の印象です。

保護者が弱点潰しに協力的かどうかで、何が変わる?

何年も前の話ですが、私は中学受験予定の小学5年生を指導したことがあります。

最初の指導日、私は彼に「(『予習シリーズ』の問題に描かれている)このおうぎ形を書き写して」と指示しました。彼が書いたおうぎ形は、弧が歪んだ変な図形でした。

私は彼に「歪んでいるから、もう一度、図を見て正確に書き写して」と指示し、何度か書き直しをさせました。彼はとても嫌そうでした(笑)

この日、私は、彼が「見たものを見たまま把握できていない」ことに気づいたので、彼のお母さんに「これから●●君が算数の図形問題を解くときは、●●君に図形を書き写させてください」とお願いしました。

彼のお母さんは私のお願いを忠実に実行してくれました。そのおかげで……と言い切るわけにはいきませんが、彼は第一志望の海城中学に1日目で合格しました。

このように、私は生徒の弱点を見つけたら、それを潰すために保護者に協力を求めることがあります。

保護者が私の指示通りにしてくれれば、生徒のできることが増えて、成績がアップし、さらには第一志望合格へと近づきます。

一方で、保護者が私の指示を無視したり、勝手にアレンジしたりすると……。

私のお願いや指示が「絶対に正しい」と主張するつもりはありません。

しかし、私はさまざまな学力の生徒たちを20年以上指導してきたからこそ、目の前の生徒の「本当の弱点」が見えます

その私の言葉に耳を傾けてくれた生徒や保護者が、望む結果を実現していたのは事実です。

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