【自由研究】実験レポート作成のコツを大公開!酸化・還元を例として

みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記 宿題対策

ある生徒が酸化・還元に関する実験に取り組みました。生徒は既に実験を終えていたので、僕はレポート作成の指導をしました。そのときに話したレポート作成のコツを紹介します。

酸化・還元に関する実験とは?

酸化・還元は、物質を構成する単位である原子が、電子をやり取りすることで様々な性質を示す現象です。中学理科では、酸素のやり取りから酸化・還元を説明します。

もっとも生徒は中学生なので、高校レベルの小難しい話は抜きにして、「あっちは色が変わったけど、こっちは色が変わらない」というレベルの素朴な実験に取り組んだだけです。その実験の内容は以下の通りです。

ヨウ素が含まれるうがい薬に、ビタミンCが含まれる果汁などを加えることで、酸化・還元反応が起こってうがい薬の茶色が薄くなります。その後、色の薄まったうがい薬に、過酸化水素を含むオキシドールを加えることで、再び酸化・還元反応が起こって元の茶色に戻ります。この一連の作業を、レモン・リンゴなどの果物の果汁やお茶などの飲料を使って行います。

実験レポートに書くべきこと5選

自由研究で作成する実験レポートは、学校の理科のプリントと違って、「何を書くべきか?」から考えなければなりません。以下では、実験レポートに書くべきことを5つ紹介します。

1. 使用した薬品の成分

学校で使用する試薬は、純粋なヨウ素や過酸化水素です。一方、市販の薬品を使う場合は、目的の成分以外の成分が含まれていて、それらが実験結果に影響を及ぼす可能性があります。

実際、実験で使用したうがい薬とオキシドールには、ヨウ素や過酸化水素以外にも、謎の成分が含まれていました。それらが実験結果に影響するかどうかは不明です。しかし、レポートの中できちんと謎の成分について明記し、「ちゃんと成分を見ましたよ」とアピールする必要があります。

2. 比較対象の写真やデータ

生徒がレポートに貼った写真には不備がありました。

生徒は、実験結果の写真として、果汁などを入れた後の写真とオキシドールを入れた後の写真を貼るつもりでした。しかし、何も入れていない、実験前のうがい薬の写真を撮り忘れていました。

果汁などを入れてうがい薬の色が変わったのであれば、色が変わる前のうがい薬の状態も記録しておかなければなりません。実験レポートでは、何と何を比較したのかがはっきり分かる写真やデータが大切です

今回のレポートでは、写真を撮り忘れた以上、この項目については華麗にスルーせざるを得ませんでした(笑)

3. 実験の条件

同一条件で実験できなかった場合は、そのこともレポートに明記します。

実験は、同一条件で行うからこそ、結果の比較や考察が可能です。逆にいえば、条件がいくつも異なる状況では、結果を単純に比較できません。

今回の酸化・還元の実験では、果物の果汁を実際に絞りました。果汁は小さじ4杯まで入れて観察しました。しかし、キウイの果汁は小さじ1杯しか入れられませんでした。

キウイの果汁の実験結果は、「あまり色が変化しなかった」でした。しかし、それを他の果物の結果と比較することはできません。入れている果汁の量がキウイと他の果物で異なっているからです。

仕方ないので、実験結果表の欄外に、「キウイの果汁は小さじ1杯分しか得られなかったので、他の果物の実験結果と比較することは不可能である」と生徒に書いてもらいました。

4. 実験で失敗した原因

実験には失敗がつきものです。実験に失敗したとしても、その過程や結果を記録として残しておくことには意味があります。

今回の酸化・還元の実験で、生徒がバナナの果汁を絞ろうとしたら、果実が粉々になってドロドロの液体になったそうです。失敗というほどではありませんが、せっかく用意したバナナが使えなかったのは残念です。

ということで、バナナが実験に使えなかった理由もレポートに書いてもらいました。

5. 結果から考察したこと

実験をしただけでは自由研究になりません。実験結果から何らかの考察をする必要があります。

酸化・還元の実験結果から、うがい薬の色が一番変化したのはお茶でした。しかし、この実験結果にはとても疑わしい点がありました。お茶を入れて色が変化した後のうがい薬に、オキシドールを入れても色が戻らなかったという点です。

この事実が何を意味しているのでしょうか?

結論からいえば、お茶でうがい薬の色が変わったのは、お茶に含まれるビタミンCが原因ではない可能性がある、ということです。お茶に含まれる色素成分が原因である可能性が高そうです。

早速お茶の成分を調べるため、ペットボトルのラベルを見ると……「成分 茶」としか書いてありません!

結局、お茶に含まれている成分は謎のままでした。そのため、実験結果について正確なことはわかりません。ただ、レポートの考察としては、次のことを書いておくよう、生徒にアドバイスしました。

オキシドールの実験結果から、お茶の実験では、ビタミンCではなく、色素成分がうがい薬の色を変えた可能性が高い。

自由研究は実験レポートで差をつける

中学生が自宅で取り組める実験はしょぼいものがほとんどです。しかし、しょぼい実験でも、深い考察ができていれば、先生から高評価を得られるはずです。

自由研究の本に書いてある結論を丸写しするのではなく、自分が行った実験の詳細を文章でしっかり書きましょう。そうすれば、適当にレポートを書いた生徒たちに差をつけられます!

トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ

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