「小説が苦手」を「精神年齢が低い」でごまかさない国語の読解指導

みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記 国語一般

まずは、「テストの点数が悪くて悔しいという気持ち。」という誤答を分析しましょう。

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言動と気持ちの食い違いに気付く

傍線部の直後には、「この点数がそんなに悔しかったのかい?」という明子の言葉があります。この言葉に対して、久美は「こくんと頷い」ています。

しかし、先を読んでいくと、「久美にとって、テストはもはや他人事だった」とあります。ここから、久美の言動と気持ちとが食い違っていると分かります。テストの結果について話す明子に久美は反応していますが、久美の気持ちはテストに向かっていない、ということですね。

したがって、「テストの点数が悪くて悔しいという気持ち。」は誤りです。

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回想シーンの範囲を見極める

さらに読み進めると、「一週間前」という言葉があります。ここから回想シーンが始まります。小説読解で大切なのは、時間軸を意識することです。なぜなら、登場人物の心情は、時間の経過とともに変化するからです。というわけで、「一週間前」のような、時間を表す言葉をチェックしましょう。

回想シーンはどこまで続くのでしょうか?

「――ありがとう。」の後に、「再び久美の頬を涙が伝い落ちた」とあります。また、最後の文には明子が登場しています。これらのことから、「――ありがとう。」の前までが回想シーンであると判断できます。

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「ありがとう」の意味を確認する

本文の最後の方に「感情がとめどなく溢れ出す」とあります。この「感情」が涙の原因です。どんな感情なのかは直接書かれていませんが、「聡の最後の言葉」がきっかけとなった感情であると読み取れるはずです。

「聡の最後の言葉」は「ありがとう」。この「ありがとう」は、回想シーンでは、「聡との関係が終わった」ことを表す言葉です。つまり、久美は聡にふられたんですね。

ここまで読み取れれば、久美がどうして泣いていたのかが分かります。ふられたらどういう気持ちになりますか?普通の人なら「悲しい」ですよね?

以上より、例題の正解は、「聡との関係が終わったことを悲しむ気持ち。」です(今回の問題では、回想シーンと現在の場面とで、久美の心情は変化していません)。

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「精神年齢の低さ」は緩和できる

小説問題が苦手な生徒たちは、ほとんどの場合、本文をきちんと読んでいません。分かりにくい描写や一見すると「無意味な」描写を華麗にスルーしているんですね(笑)。そういう生徒たちは、確かに「精神年齢が低い」のでしょう。しかし、この程度であれば、訓練次第でどうとでもなることです。

小説問題が苦手な生徒の指導では、本文を音読させながら、難解な表現の意味や解釈を答えさせます。彼らが解釈できない表現については、指導者がかみ砕いて教えます。加えて、評論読解などにも共通する、正解の根拠の見つけ方も教えます。こうした地道な指導を生徒一人一人に合わせて実施すれば、生徒の「精神年齢が低い」を緩和できます。

もっとも、集団授業だと「生徒一人一人に合わせて」が無理なので、小説が苦手な生徒たちはいつまでも苦手なままです。このような機能不全の結果として、「小説が苦手なのは、心情を理解できないからだ。そして、心情を理解できないのは、精神年齢が低いからだ」という逃げ口上が生まれるんですね。

集団授業が機能していないのであれば、そんな授業を受け続けるのは時間とお金と労力の無駄です。「精神年齢」でごまかす国語指導者(?)の戯言に惑わされず、集団授業に出るのをやめて、有効な対策をしてくれる別の国語指導者を探しましょう。

塾の国語の授業は役に立たない?時間とお金と労力を浪費しないために
大手塾に通う生徒たちは、塾の国語の授業を真面目に受けています。それにもかかわらず、「国語ができない」という状況に陥るのはなぜでしょうか?しばしば国語の相談を受けるプロ家庭教師が徒然なるままに書き連ねます。

トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=河村友歌

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