【濃度算】食塩水の濃さを割合の公式や面積図・天秤図から求めよう!

【濃度算】食塩水の濃さを割合の公式や面積図・天秤図から求めよう! 割合と比

日常生活の中で「濃い」「薄い」という言葉が使われます。今回は、こうした「濃さ」、すなわち「濃度」について考えます。算数の問題となりやすい食塩水の濃度(濃さ)の基本を理解しましょう。

食塩水の中に溶けている食塩の重さの割合が濃度

食塩水の濃度(濃さ)は、食塩水の中に溶けている食塩の重さの割合です。食塩と水を合わせた食塩水の重さを100%とするとき、食塩の重さは何%になるかを表します。

たとえば、300gの食塩水に60gの食塩が解けているとすると、その濃度は次の図から20%とわかります。20%は百分率で表した濃度ですが、小数で表す場合は100倍せずに0.2です。

【濃度算】食塩水の濃さを割合の公式や面積図・天秤図から求めよう!

食塩水の重さがもとにする量、食塩の重さがくらべる量(くらべられる量)、濃度が割合に当たります。したがって、「くらべる量÷もとにする量=割合」の関係から、「食塩の重さ÷食塩水の重さ=濃度(小数)」の式を作れます。この式を変形したのが「食塩水の重さ×濃度(小数)=食塩の重さ」と「食塩の重さ÷濃度(小数)=食塩水の重さ」です。

3つの公式を丸暗記するのではなく、次の面積図で理解しておくといいでしょう。

【濃度算】食塩水の濃さを割合の公式や面積図・天秤図から求めよう!

シイタケくん
シイタケくん

濃度の面積図は、縦を濃度、横を食塩水の重さにするといいんだね!

基本的な濃度の問題を解いてみよう

【例題1】(1) 230gの水に20gの食塩を溶かして作った食塩水の濃度は何%ですか。

(2) 12%の食塩水150gに溶けている食塩の重さは何gですか。

(3) 32%の食塩水300gを25%にするには、何gの水を加えますか。

(1)の解答(食塩水の濃度を求める)

「食塩+水=食塩水」なので、食塩水の重さは20+230=250(g)です。

「食塩の重さ÷食塩水の重さ=濃度(小数)」より、20÷250=0.08です。これを100倍して8%が答です。

(2)の解答(溶けている食塩の重さを求める)

「食塩水の重さ×濃度(小数)=食塩の重さ」より、150×0.12=18(g)が答です。

(3)の解答(加える水の重さを求める)

濃度の変化を考える問題では、食塩の重さに着目します。まずは、食塩の重さを求めてしまいましょう。

32%の食塩水300gに溶けている食塩の重さは、「食塩水の重さ×濃度(小数)=食塩の重さ」より、300×0.32=96(g)です。

この食塩水に水を加えても食塩の重さは変わらないので、水を加えた後の食塩水(25%)に溶けている食塩の重さも96gです。また、水を加えた後の食塩水(25%)の重さは、「食塩の重さ÷濃度(小数)=食塩水の重さ」より、96÷0.25=384(g)です。

加えた水の量は、25%の食塩水384gと32%の食塩水300gとの差です。したがって、384-300=84(g)が答です。

濃度の異なる食塩水を混ぜ合わせる問題を解いてみよう

濃度の異なる食塩水を混ぜ合わせる問題を考えます。いくつかの解き方を紹介します。

【例題2】16%の食塩水150gと8%の食塩水250gを混ぜると、濃度は何%になりますか。

食塩の重さを求める解き方

濃度の変化を考える問題では、食塩の重さに着目するのがコツです。そこで、それぞれの食塩水に溶けている食塩の重さを求めます。

16%の食塩水150gに溶けている食塩の重さは、「食塩水の重さ×濃度(小数)=食塩の重さ」より、150×0.16=24(g)です。また、8%の食塩水250gに溶けている食塩の重さは、250×0.08=20(g)です。

これらを混ぜた後の食塩の重さは24+20=44(g)で、食塩水の重さは150+250=400(g)です。したがって、この食塩水の濃度は、「食塩の重さ÷食塩水の重さ=濃度(小数)」より、44÷400=0.11です。これを100倍して11%が答です。

計算するだけですが、「自分が何をしているのか?」を見失ってしまうと混乱します。そういう場合は、次のようなビーカー図を描きながら情報を整理するといいでしょう。ビーカー図では、答にすべきもの(混ぜた後の食塩水の濃度)を□で表しています。

【濃度算】食塩水の濃さを割合の公式や面積図・天秤図から求めよう!

面積図と比を使う解き方

面積図を使って混ぜ合わせの問題を解くこともできます。

【濃度算】食塩水の濃さを割合の公式や面積図・天秤図から求めよう!

例題2は食塩の重さを求めるのが目的でないので、百分率(%)を小数の割合に直しませんでした。面積図を使って混ぜ合わせの問題を解く場合、小数計算をしなくて済むというメリットがあります。

上の図の右側にある赤い長方形が、混ぜた後の食塩水を表します。赤い長方形の高さ(□%)を求めます。

【濃度算】食塩水の濃さを割合の公式や面積図・天秤図から求めよう!

赤い長方形の高さ(□%)は、2つの長方形の高さ(16%と8%)の平均です。そのため、長方形Aが長方形Bの位置に移動したと考えられるので、長方形Aの面積と長方形Bの面積は等しいとわかります。

長方形Aの高さを■、長方形Bの高さを▲とすると、■×150=▲×250です。この式を逆比の関係に書きかえて、■:▲=250:150=5:3です。また、左の図から■+▲=16-8=8なので、■=8÷(5+3)×5=5と求められます。したがって、□=16-■=16-5=11(%)が答です。

面積図から□を使った式を作る解き方

面積図と比を使う解き方は、比を苦手とする生徒や比を習っていない生徒にとってはハードルが高いかもしれません。そういう生徒は、赤い長方形の面積と2つの長方形の面積の和が等しいことに着目して、□を使った式を作って計算で答を求めましょう。

□×(150+250)=16×150+8×250

□×400=4400

□=4400÷400=11(%)

天秤図を使う解き方

面積図と比を使う解き方から、「天秤図」(てんびんず)と呼ばれる図を使った解き方が生まれました。

【濃度算】食塩水の混ぜ合わせ・蒸発・やりとりの問題を天秤図で解く
食塩水の濃度(濃さ)に関する問題では天秤図がよく使われます。混ぜ合わせ問題や蒸発問題、やりとり問題などを天秤図を描きながら解いてみましょう。

例題2では、面積の等しい長方形Aと長方形Bが天秤になります。食塩水の重さをおもりで、食塩水の濃度をおもりから支点までの腕の長さで表します。

腕の左端は一番低い濃度の食塩水を、右端は一番高い濃度の食塩水とします。中央の支点は、これらの濃度の間にある濃度の食塩水です。例題2は、左から8%の食塩水250g、混ぜた後の食塩水400g、16%の食塩水150gとなります。

【濃度算】食塩水の濃さを割合の公式や面積図・天秤図から求めよう!

面積図と比を使う解き方でも確認しましたが、長方形Aと長方形Bの縦(濃度)と横(食塩水の重さ)は逆比の関係です。食塩水の重さの比がA:B=150:250=3:5なので、濃度の比はA:B=■:▲=5:3です。天秤の腕全体の長さは16-8=8(%)なので、■=8÷(3+5)×5=5(%)となり、□=16-5=11(%)が答です。

エノキさん
エノキさん

入試本番で天秤図を使っていいんですか?

エリンギ先生
エリンギ先生

天秤図は、食塩水の濃度をてこの原理に無理やり置きかえた考え方だ。中学や高校の数学で習う公式や定理ではなく、インチキっぽいところがある。だから、記述問題で天秤図を描くのはやめた方がいいと思うよ。天秤図の考え方を使いたい場合は、面積図を使うか逆比の式を立てるかのどっちかだろうね。ただ、答を書くだけの問題ではバンバン使って構わない。採点者は解き方を見ることができないからね。

【濃度】溶液中に溶けている溶質の割合は?イモリの黒焼きとコーヒーで惚れ薬を作る
イモリの黒焼きの粉をコーヒーに溶かして惚れ薬を作るとき、濃度は何%になるのでしょうか?中学受験算数でよく出る割合の応用問題を解説します。

算数や理科で濃度の計算問題を得意にしよう

算数で学んだ濃度の考え方は、理科の水溶液の問題でも使えます。水に溶けているものが食塩以外のホウ酸などでも濃度の考え方は同じです。

濃度は割合であるということと濃度の変化を考える場合は溶けているものの重さに着目することの2点を意識して、濃度の計算問題を得意にしましょう。

次の質問に答えましょう。(解答例は最後のページにあります)

① 食塩水の濃度(濃さ)とは何ですか。

② 食塩水の重さ・食塩の重さ・濃度は、それぞれ割合の式の何に当たりますか。

③ 濃度の変化を考える問題では、何に着目しますか。

④ 天秤図では、食塩水の重さと濃度を何で表しますか。

コメント

  1. 匿名 より:

    参考になりました。
    ありがとうございました。

    • みみずく みみずく より:

      お役に立てたようで何よりです。
      頑張ってください。

      • アラガミ より:

        わかりやすい解説ありがとうございます⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠
        おかげで塾の宿題が完璧に終わりました!

        • みみずく みみずく より:

          お役に立ててうれしいです!
          食塩水の濃度は解き方がいろいろありますので、
          自分に合った解き方を見つけてもらえればと思います。

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