【場合の数】同じものを含む順列の公式や計算方法をわかりやすく解説

【同じものを含む順列】公式が成り立つのはなぜ?階乗やCを利用する 場合の数

「場合の数(並べ方)」では、異なるものではなく、同じものを並べなければならないことがあります。このようなタイプの並べ方を「同じものを含む順列」といいます。

【例題】黒い碁石3個と白い碁石2個を一列に並べます。並べ方は何通りありますか。

【例題】を使って、同じものを含む順列の考え方を紹介します。

順列や組合せの考え方を利用する解き方では、階乗(!)や組合せの公式(C)を理解していることが前提です。これらを理解できていない場合は書いて数えましょう。

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すべて書いて数えよう

黒い碁石を●、白い碁石を○として、地道にすべて書いて数える方法があります。

白い碁石の方が数が少ないので、「白い碁石を左から右に動かしていく」という規則性に従って並べていきます。

○○●●●
○●○●●
○●●○●
○●●●○
●○○●●
●○●○●
●○●●○
●●○○●
●●○●○
●●●○○

このようにすべての場合を書けば、10通りが答だとわかります。

シイタケくん
シイタケくん

「男子3人と女子2人が一列に並びます。並び方は何通りありますか」という問題も、【例題】と同じように考えていいんですか?

エリンギ先生
エリンギ先生

黒い碁石3個は普通一つ一つを区別しないから、同じものと考えるんだ。一方、男子3人は確かに性別が同じだけれど、一人一人は全く違う人だろう?だから、男子3人を同じものと考えることはできない。

エノキさん
エノキさん

「男子3人と女子2人が一列に並びます。並び方は何通りありますか」という問題は、5!=5×4×3×2×1=120(通り)になるのよ。人間が並ぶ場合、全員を異なるものと考えるのがポイントね!

階乗を利用しよう

異なるn個のものすべてを並べる順列はn!(nの階乗)で表されます。

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【例題】を階乗を利用して解く場合、すべてを異なるものとして並べた後、同じものの並べ方で割っていきます

黒い碁石をそれぞれ黒1、黒2、黒3、白い碁石をそれぞれ白1、白2とします。

5つの異なるものを一列に並べる並べ方は5!=5×4×3×2×1=120(通り)です。

ところで、黒い碁石について黒1、黒2、黒3は同じものなので、(黒1、黒2、黒3、白、白)(黒1、黒3、黒2、白、白)(黒2、黒1、黒3、白、白)などはすべて同じ並べ方です。

黒1、黒2、黒3を一列に並べる並べ方は3!=3×2×1=6(通り)です。この6通りで120通りを割れば、黒い碁石については余計な並べ方を消すことができます。

同じように、白い碁石について白1、白2は同じもので、白1、白2を一列に並べる並べ方は2!=2×1=2(通り)です。この2通りで120通りを割れば、白い碁石については余計な並べ方を消すことができます。

したがって、120÷6÷2=10(通り)が答です。

エリンギ先生
エリンギ先生

5!=120や3!=6などを先に計算するよりも、\(\frac{5!}{3!×2!}\)=\(\frac{5×4×3×2×1}{3×2×1×2×1}\)と表して約分してから計算した方が楽だよ。

順列の考え方を使った解き方は次のようにまとめられます。

n個のもののうち、p個が同じもの、q個が同じものであるとき、n個のものを一列に並べる並べ方は、n!÷p!÷q!通りです。

さらに、r個も同じものならばn!÷p!÷q!÷r!通り、s個も同じものならばn!÷p!÷q!÷r!÷s!通り、……となります。

Cの公式を利用しよう

異なるn個のものからr個を取り出す組合せの数はnCrで求められます。

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【例題】をCの公式を利用して解く場合、同じものをどこに置くかを決めていきます

5個の碁石を置く場所を12345とします。

たとえば、白い碁石を1と2に置けば○○●●●、2と4に置けば●○●○●となります。

このように白い碁石を置く場所を2か所決めればよいので、12345の5か所から2か所を選ぶ選び方は5C2=\(\frac{5×4}{2×1}\)=10(通り)です。白い碁石を1と2に置く場合と2と1に置く場合は同じなので、順列ではなく組合せとして計算します。

残った3か所にはすべて黒い碁石を置くことになるので、選び方を考える必要はありません。

したがって、10通りが答です。

エリンギ先生
エリンギ先生

黒い碁石を置く場所を3か所決めてしまっても、5C3=\(\frac{5×4×3}{3×2×1}\)=10(通り)で同じ結果になるよ。ただ、同じもののうち、数の少ないものから置く場所を決めた方が計算は楽になるんだ。

組合せの考え方を使った解き方は次のようにまとめられます。

n個のもののうち、p個が同じもの、q個が同じものであるとき、n個のものを一列に並べる並べ方は、nCp通りです。ただし、n=p+qです。

さらに、r個も同じものならばnCp×n-pCq通り(n=p+q+r)、s個も同じものならばnCp×n-pCq×n-p-qCr通り(n=p+q+r+s)、……となります。

階乗やCの公式を利用しなくても解ける

同じものを含む順列の問題は、階乗やCの公式を知っていると、計算で解くことができます。

ただし、中学受験では、階乗やCの公式を必ず覚えていなければならないわけではありません。これらは高校数学で教わるものだからです。

計算で解くのが苦手な中学受験生は、地道に書いて数えれば解けるので、絶対にあきらめてはいけません。

次の質問に答えましょう。(解答例は最後のページにあります)

① 同じものを含む順列の問題を階乗を利用して解く場合、どのように考えますか。

② 同じものを含む順列の問題をCの公式を利用して解く場合、どのように考えますか。

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