多くの中高生が悩むのが関係代名詞と関係副詞の違いです。この違いを理解しているかどうかを問う問題を3STEPで解きましょう。
問題のタイプをチェックする
【問題】次の( )に入る適切な語を1~4から1つ選びなさい。
I bought a new book yesterday, ( ) I found very interesting.
1. when 2. which 3. that 4. who
今回の問題は空欄補充問題なので、まずは問題のタイプをチェックします。
英語の空欄補充問題は、文法問題と語法問題に分かれます。
文法問題は文法規則に則って考えます。文法知識をふまえて文の構造を把握し、和訳に惑わされずに選択肢を検討することが大切です。
一方、語法問題は単語や熟語に関する問題です。単純に「知っているかどうか?」を試されるだけで、考えたからといって分かるわけではありません。ほとんどの場合、和訳して最も適切な答を選べばOKです。
関係詞の理解を問う問題を解く3STEP
【問題】では、問題文に?がないこと、選択肢の中にthatが紛れていることから、関係詞の理解を問う文法問題だと判断できます。このタイプの問題の解き方を3STEPで考えましょう。
【STEP1】関係代名詞と関係副詞の使い分けを考える
関係詞の理解を問う問題では、多くの場合、関係代名詞と関係副詞の使い分けがポイントです。これらの使い分けについては以下の記事を参照してください。
【問題】では、( )の後ろが完全な文か不完全な文かを検討します。「( )の後ろは完全な文だ!」と思うかもしれませんが、残念ながら間違いです。
間違いの原因は、動詞findを文法的に把握できていないことにあります。【問題】のfindは自動詞ですか?それとも他動詞ですか?
中学や高校のレベルでは、findは他動詞と考えて問題ありません。そうであれば、findの直後に来るべき品詞は何ですか?
他動詞は目的語を取る動詞です。つまり、findの直後には、目的語となる品詞、すなわち名詞が来ます。
ここまで理解した上で、( )の後ろの“I found very interesting”を確認します。foundの直後が“very interesting”です。
veryは副詞、interestingは形容詞で、いずれも名詞ではありません。したがって、foundの目的語が欠けているので、“I found very interesting”は不完全な文です。不完全な文の前に関係副詞は来ないので、選択肢の中から1を除きます。
ちなみに、findの用法には要注意です。中学や高校の範囲では、次の2種類の用法が頻出です。
- find O → 「Oを見つける」
- find O C → 「OがCだと分かる」
たとえば、高1のワークには、次のような例文がよく載っています。
I found it easily. 私は、それを簡単に見つけた。
I found it easy. 私は、それが簡単だと分かった。
easilyは副詞で、easyは形容詞です。後に続く単語が違えば文型も違うため、findの訳が異なってきます。
【問題】の“I found very interesting”は、interestingという形容詞があるので、find O Cの用法になります。ここまで正しく把握する必要があります。
【STEP2】先行詞を探す
( )に入るのが関係代名詞だと分かったら、次は先行詞を探します。
「先行詞はyesterdayだ!」と考えてはいけません。直前にある単語が先行詞とは限らないからです。
先行詞を探す際には、各単語の品詞をチェックします。先行詞は、原則として名詞だからです。ただし、先行詞が不要な関係詞(what, how)と、次のような場合には注意しましょう。
He said that he’d graduated from the university, which was’nt true.
この例文では、直前の that 節全体が先行詞です。コンマの後ろに関係詞が来る場合、名詞節や主節全体が先行詞となる場合があります。
では、今回の問題に戻りましょう。
生徒がしばしば先行詞と勘違いするyesterdayは、文中での位置を考えると副詞です。関係代名詞節は副詞を修飾しません。したがって、先行詞は”a new book”だと判断できます。”a new book”は人間以外の物なので、先行詞が人の場合に使う(4)のwhoを選択肢から除きます。
もっとも、今回の問題を解く上では、先行詞を(名詞と勘違いして) yesterdayと考えようと、正しくa new bookと捉えようと結果に影響はありません。
しかし、英文法問題では、「正解できればOK」という考えはやめましょう。問題の正誤よりも大切なのは、論理的な思考と答に至る過程への拘りです。
【STEP3】whichとthatの使い分けを考える
「関係代名詞はとにかくthatを使う!」と考えてはいけません。記号問題にthatが紛れている英文法問題では、thatを使えるかどうかが問われているからです。そのため、何も考えずにthatに飛びついてはいけません。
今回の問題のようにコンマがある関係詞の用法は継続用法(非制限用法)と呼ばれます。継続用法(非制限用法)ではthatを使えません。このルールに従うと、正解は(2)のwhichだとわかりました。
論理的思考と答に至る過程への拘り
たった1問を長々と解説しましたが、受験生の皆さんは、ここまでの解説を瞬時に頭の中に思い浮かべ、数秒で正解を選ぶ必要があります。「何となく」で答を選んで、正解・不正解の結果だけを見て一喜一憂してはいけません。
英文法問題では、問題の正誤よりも、論理的な思考と答に至る過程への拘りが大切です。1問1問を丁寧に検討する習慣を身に付けることで、上位校合格の可能性も広がります。
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