正月明けの1月から2月にかけて、全国の高校では推薦入試が行なわれます。高校によっては、推薦入試で面接を実施します。
本記事では面接のコツをお伝えします。ただし、入退室のマナーや面接時の姿勢などは割愛します。これら一般的なことについては、学校の先生に教えてもらうか、参考書などで確認してください。
【面接のコツ1】細かい言葉遣いに執着しない
多くの受験生は、面接で聞かれそうなことに対する答を、事前に紙に書いておくと思います。そこまでは準備OK!
しかし、入念に準備した生徒が陥る落とし穴があります。それは、暗記した通りに話そうとして不自然な受け答えをしてしまう、という失敗です。よくあるパターンを見てみましょう。
- 言葉を思い出そうとして視線が泳ぐ。
- 一字一句正確に言おうとして言葉が途切れ途切れになる。
- ほんの少しの言い間違いでパニックになる。
- ちょっとした言い間違いをいちいち訂正しようとする。
たとえば、自分の書いたメモには「貴校について、私は~と思います」と書いてあります。しかし、面接官の前で「貴校について、私は~と考えます」と言ってしまいました。そこで受験生は言い直します。
この言い直しに意味がありますか?意味はありませんよね?「思います」も「考えます」も同じです。
どうでもいいことを言い直していると、しどろもどろになってみっともないです。面接官にとっては聞き苦しいだけです。
受験生は、よほど間違ったことを言った場合以外は、細かい言葉遣いに執着しないようにしましょう。
【面接のコツ2】暗記した通りに話そうとしない
自分が通う中学校や志望する高校の教育目標などを聞かれることもあります。この場合も、受験生は、標語を暗記した通りに話そうとせず、自分の言葉に言い換えましょう。
具体例を1つ挙げますね。東京都立日比谷高校の教育目標は次の通りです。
自律的で個性豊かな、しかも調和のとれた人格を確立し、進んでものごとを実行していく態度を養う。
長い!(笑)
これを一生懸命丸暗記しなくていいですからね。もし、日比谷高校の面接官に「我が校の教育目標についてどう思いますか?」と聞かれたら、受験生は「自律性や個性を重視する貴校の教育目標に共感します」などと答えましょう。これで十分です!
面接は暗記の試験ではありませんからね。一字一句間違わずに教育目標を諳んじでもしかたありません。
受験生は、「暗記した!」という結果を見せるのではなく、志望校の教育目標を自分なりに解釈し、「それを高校生活にどうつなげるか?」をしっかり伝えてくださいね。日比谷高校の教育目標であれば、たとえば次のように答えてみてはいかが?
【面接のコツ3】一文は短く、ゆっくりと
作文を書くときのクセで、長々と(ダラダラと)話してしまう受験生がいます。
息継ぎポイントを伸ばす(「~」の部分)のはだらしない印象を与えます。一文一文をもっと短く切りましょう。
短くハキハキ、そして、ゆっくり話す!
早口だと時間が余ります。そうすると、面接官は更に質問してきます。ゆっくり話した方が時間稼ぎになります(笑)。何よりも、ゆっくり話す人は、自信があるように見えます!
【面接のコツ4】結論を先に言う
一文を短くしたところで、次に文同士の順序を考えます。一般的には、次のような話し方が良いとされます。
ポイントは、結論を先に言ってしまうことです。まずは簡潔に結論を述べてしまい、その後に詳しい説明や体験談を付け加えていきます。結論を先に言っているので、大事なことを言い忘れる心配がありません。
面接官に「で、結局何が言いたいの?」と言われ(思われ)たら最悪です。受験生は、具体例の詳細よりも、「これは絶対に伝えたい」という結論をしっかり決めておきましょう。
【面接のコツ5】難しい言葉や話し言葉を使わない
面接では、難しい言葉や話し言葉を使わないのも鉄則です。
難しい言葉を使わない
受験生は、やはり作文のクセからか、難しい言葉を使いたがります。たとえば、「考える」を「考慮する」と言ったり、「残念です」を「遺憾です」と言ったり(これは政治家か?(笑))。
そんな難しい言葉を面接で使うと、面接官もびっくりします。中には意地悪な面接官もいて、「ところで、今あなたが言った『矜持』とはどういう意味ですか?」と質問してくるかもしれません。このとき、受験生が「えっと……その、あの……」となってしまったら最悪ですよ。
話し言葉を使わない
こういう話し言葉は論外。話し言葉を連発すると、面接官に言いたいことが伝わらないことも……。「●●が超ぱねぇっすよ!」という受験生に対して、50代を過ぎたオジサマ面接官の頭は「『ぱねぇ』って何???」となりますよ、きっと(笑)。
【面接のコツ6】敬語に注意する
中学生にとって使い方が難しいのは敬語です。間違った敬語表現は減点の可能性があります。一方で、適切に敬語を使いこなせれば、「おっ、この生徒、ちゃんと分かってるな!」と面接官に好印象を与えます。
自分の家族と他人の家族の区別
自分の家族を表現するときは、「お父さん」「お母さん」「お兄さん」「お姉さん」ではなく、全て「父」「母」「兄」「姉」と言います。
一方、他人の家族を表現するならば、「お父さん」「お母さん」「お兄さん」「お姉さん」でOKです。
自分の家族を表現する場合、尊敬語に当たる「お~さん」を使ってはいけません。逆に、他人の家族には尊敬語を使いましょう。
尊敬語の使い方
質問の意味が分からない場合は、「おっしゃる意味が分かりません」ですよ。「言ってる意味が分かりません」や「おっしゃられる意味が分かりません」はいずれもNGです。
目上の人(面接官を含む)の動作を表現する場合、尊敬語を使います。尊敬語は、「おっしゃる」「いらっしゃる」などの敬語動詞の他、「お~になる」「~れる・られる」があります。「おっしゃられる」という誤った敬語表現は、「おっしゃる」(尊敬語)+「られる」(尊敬語)という二重尊敬です。二重尊敬は単なる嫌味なのでダメです(笑)。
「先生がお話しになった」はOKですが、「先生がお話しした」は間違った敬語表現です。尊敬を表す「お~になる」と、謙譲を表す「お~する」を混同しやすいので要注意です。
【面接のコツ7】体験談は身近なものを
「誰も経験したことが無いような、自分だけの特別な体験を語らなくちゃ!」と勘違いをしている生徒がいます。こういう生徒は、「ボランティア体験はありますか?」と面接官に聞かれて、「老人ホームで高齢者の介護を手伝ったり、障害者と交流したり、そんな体験無いなぁ……」と黙り込みます。沈黙はいけません!!
面接官が聞きたいのは、特別な体験ではありません。受験生は、学校で参加させられたゴミ拾いや、子ども会でお祭りを手伝ったことなど、身近な体験を話すべきです。体験の特殊性を強調しても無意味です。それよりも、「その体験から何を得られたのか?」をしっかり伝えることが大切です。
ただのゴミ拾いでも、そこから地域の人たちとの交流が生まれ、「また参加したい」という気持ちになったのであれば、受験生はその体験をアピールしましょう。
一方、どんなに素晴らしい体験でも、「楽しかった」「嬉しかった」でしか語れないのなら、それを面接の場で言っても面接官の心には響きません。
【面接のコツ8】面接は、笑顔で、楽しく
最後に、受験生は感謝の気持ちを持ちましょう。
推薦入試を受験できること自体が特権です。推薦の機会を与えられた受験生は、中学校の先生方を始め、多くの人たちに背中を押してもらっています。その事実にまずは感謝!
同時に、貴重な時間を使って面接してくださる志望校の先生方にも感謝すべきです。その気持ちは、「ありがとうございます」という形式的な言葉で表すだけでなく、面接時の態度にも反映させましょう。
面接本番は緊張しますよね?そんな緊張の中でも、笑顔を絶やさず、楽しそうに話す――これができる受験生は面接官に好印象を与えます。
推薦入試受験生は、せっかく与えられたチャンスを最大限に活かし、志望校に自分をしっかりPRしてきてください。僕は皆さんを応援しています!!
トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=河村友歌
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