「具体的に」とはどういうこと?
「ウソでも何でもいいから適当に書け!」と言われても、生徒たちの手はなかなか動きません。というよりも、彼らは、2行くらい書いたところでギブアップ。
「先生~もう書くことがありません~」
そんな彼らの書いた文章を見てみると、具体例や体験談を書かせたはずなのに具体的ではありません。彼らの作文の問題点を検討してみましょう。
具体的に書かれていない具体例や体験談
「先生~もう書くことがありません~」という生徒たちは、次のような薄っぺらい文章を書きます。
先日、私は友達とケンカして悲しくなりました。
これでは確かに「もう書くことがありません~」となりますよね。出来事を短くまとめ過ぎています。挙句、取って付けたような一般論を長々と盛り込もうとします。
ケンカしても仲直りするまではとても苦しいです。しかし、仲直りできれば友情は更に深まります。友達は大切だと思いました。
こんなどうでもいいことを書かずに、出来事をもっと具体的に書くべきです。
「具体的に」書くための方法
「具体的に」を生徒たちは勘違いしています。5W1Hが書かれていればOK。もしくは、固有名詞が入っていればOK。そんなふうに考える生徒たちの多いこと……。これでは、具体的に書いたことにはなりません。
「具体的に」とは、「読み手にイメージが伝わるように」という意味です。「先日、私は友達とケンカして悲しくなりました。」であれば、次の点をしっかり膨らませましょう。
- ケンカの内容はどういうものか?
- 「悲しい」とはどういう気持ちか?
丁寧に情報を伝える
1は、次のように書きます(実際には、もっと詳しく、長く書きましょうね)。
- 友達を無視した。
- 友達の悪口を言った。
- 友達に連絡事項を伝えなかった。
「ケンカ」といっても、いろいろなパターンがあります。生徒が書いた「ケンカ」の内容を読み手は想像できません。読み手に対して、丁寧に情報を伝えることが大切です。
直接的な心情表現を使わない
2も、「悲しい」で済ませずに、何がどういうふうに「悲しい」のか、を書きましょう。
- 友達を傷つけた自分が許せなくなり、自分を責め続けた。
- 友達との関係が崩れて孤立してしまい、校庭の隅で泣いてしまった。
ポイントは、直接的な心情表現を安易に使わないことです。「悲しい」「嬉しい」「楽しい」など、一言で感情を表せる語句の使用を控えましょう。
「悲しいとき、私はどうなるかな?」と自分に問いかけ、「●●と思って涙が出た」などと書きます。これで字数を稼げる上に、「悲しい」という心情も読み手にしっかり伝わりますよ。
練習すれば、誰でも作文が上手くなる
以上のアドバイスをした後、生徒たちに作文を書かせます。その作文を僕の方で添削、生徒たちに書き直させる、を何度か繰り返します。このように繰り返し練習させれば、最低限の日本語力を持った生徒なら、どんどん作文が上手になります。
作文を苦手とする生徒たちは、小中学校や塾などで、作文の書き方をまともに学んでこなかっただけ。200字程度の簡単な作文を適切に書く練習を通して、生徒たちの文章作成能力は飛躍的に向上します。
作文の練習には過去問を使うのが一番です。都立高校受験生は、都立高校入試の過去問が10年分収録されている「高校入試 虎の巻 」で問題や正答例を確認してください。
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