重複組み合わせをわかりやすく解説!公式を使えない問題も攻略しよう

みみずく戦略室 数学

先日、生徒から質問された数学の問題を解説します。

x+y+z=9 (x≧0,y≧0,z≧0)を満たす整数(x,y,z)の組みの個数は何組あるか。また、x+y+z=9 (x≧1,y≧1,z≧1)を満たす整数(x,y,z)の組みの個数は何組あるか。

整数分野の問題に見えますが、れっきとした順列・組合せの問題です。

生徒の持っていた問題集では、この問題を重複組合せの公式nHrで処理していました。この公式を知らない生徒は、「どうしてこうなるんですか?」と悩んでいました。

重複組合せの公式と使わない?

重複組合せの公式は、一般的に次のように表されます。

異なるn個のものから重複を許してr個のものを取り出す場合の数は nHr=n+r-1Cr

「重複」とは、同じものを何回も選ぶことです。たとえば、A,B,C,D,Eの5文字から3文字を選んで文字列を作るとします。重複NGの場合、AABやAAAを作れません。Aを一回しか使えないからです。一方、重複OKの場合、AABやAAAも作れます。Aを何回使ってもいいんですね。

「重複」は、国語の授業では「ちょうふく」と読みますが、数学だと「じゅうふく」と読む場合があります。「ちょうふく」も「じゅうふく」も同じなので、混乱しないでくださいね。

重複組合せの公式は、証明がめんどくさい上に、どの場面に適用できるのかが分かりにくいという欠点もあります。

順列・組合せの問題では、訳も分からずに公式を振り回すと撃沈します。公式に頼るよりも、図や表などを描きながら考える方が賢明です。

「また」の前~整数に0を含む場合~

冒頭の問題を「また」の前後で分けて、「また」の前から考えていきましょう。

x+y+z=9 (x≧0,y≧0,z≧0)を満たす整数(x,y,z)の組みの個数は何組あるか。

同じものを含む順列

(x≧0,y≧0,z≧0)は、整数x,y,zに0を含む、という意味です。この場合、9個の同じものの間に2個の仕切りを入れる、と考えます。絵に表すと次の通りです。

(1) ○○|○○○○|○○○
一列に並べた9個の○の間に2個の仕切り(|)を入れます。そして、○の数を左から順にx,y,zとしてします。(1)の絵だとx=2,y=4,z=3ですね。

他にも、次のような絵を描けます。

(2) ○○○○||○○○○○

(3) ||○○○○○○○○○

(2)と(3)は仕切り(|)が連続して2つ並んでいます。この場合は次のように考えましょう。

(2) → x=4,y=0,z=5

(3) → x=0,y=0,z=9

x,y,zが0でもOKなので、仕切り(|)が連続しても構わないのです。

では、(1)~(3)の絵をまとめて式で表すとどうなるでしょうか?

9個の○と2個の仕切り(|)をそれぞれ同じものと考えて、同じものを含む順列の公式を適用します。同じものを含む順列の公式は次の通りです。

n個のもののうち、p個は同じもの、q個は別の同じもの、r個はまた別の同じもの、……であるとき、これらn個のものを1列に並べる順列の総数は、

\(\frac{n!}{p!q!r!…}\) ただし p+q+r+…=n

この公式は、高校数学の教科書に載っています。公式に当てはめます。

\(\frac{11!}{9!2!}\)=\(\frac{11×10}{2×1}\)=55 答、55通り

※11!と9!で約分しました。

11個から2個を選ぶ組合せ

同じものを含む順列の公式が怪しい生徒は、別の解法で問題を処理します。

まずは、次のように11個の□を考えます。

□□□□□□□□□□□

この□の2ヶ所を仕切り(|)とし、仕切り(|)以外の9ヶ所を○と考えます。

そうすると、上記の(1)~(3)と同じ絵を描けます。つまり、11個の□から2個を選ぶ組合せと考えます。これを式で表すと次の通りです。

11C2 =\(\frac{11×10}{2×1}\)=55 答、55通り

同じものを含む順列の解法と同じ結果が出てくることを確認してください!

「また」の後ろ~整数に0を含まない場合~

冒頭の問題の「また」の後ろを考えますよ。

また、x+y+z=9 (x≧1,y≧1,z≧1)を満たす整数(x,y,z)の組みの個数は何組あるか。

整数に0を含まないと……

(x≧1,y≧1,z≧1)は、整数x,y,zに0を含まない、という意味です。「また」の前と比べたとき、(x,y,z)=(4, 0, 5)(0, 0, 9)などの組みは認められません。そのため、前ページの解法を使えません!

では、どう考えればいいのでしょうか?

仕切りの入り得る場所を決めておく

整数x,y,zに0を含まない場合、仕切りの入り得る場所を予め決めておきます。具体的には、次のような絵を描きます。

○A○B○C○D○E○F○G○H○

この絵のA~Hから2ヶ所を選んで仕切り(|)にします。仕切り(|)にならなかったアルファベットは、無かったものとして無視してください。あとは、左から○の数を数えればOKです。

たとえば、BとFを選べば次のようになります。

○○|○○○○|○○○ → x=2,y=4,z=3

同様に、DとEを選べば次のようになります。

○○○○|○|○○○○ → x=4,y=1,z=4

この方法で仕切り(|)を入れれば、x,y,zは必ず1以上の整数になりますよ。これを式に表わすと次の通りです。

A~Hの8個から2個を選ぶ組合せなので、

8C2 =\(\frac{8×7}{2×1}\)=28 答、28通り

以上で全ての問題が解けました!!

公式に振り回されないことの大切さ

順列・組合せや確率の分野では、いくつかの重要公式が登場します。しかし、それらの公式も元を辿れば数え上げに行き着きます。数え上げの基本は、とにかく図や表を描くことです。

共通テストや二次試験の「場合の数」や「確率」では、公式を適用すれば簡単に解ける問題が減少しています。だからこそ、公式に振り回されて混乱してはいけません。問題文をきちんと理解して、読み取った情報を視覚的に図示することが大切です。

小学生でも分かるように重複組合せを解説した以下の記事も参照してください。

【場合の数】同じものを何人かで分ける!重複組合せは何通りあるか?
同じものを何個でも取り出せる組合せを「重複組合せ」といいます。このタイプの問題にはさまざまな解き方があります。図を描きながら考えましょう。

トップ画像=Pixabay

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