【中学受験】国語の点数がひどい?まずは「記述問題を捨てなさい!」

みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記 国語

「国語の点数がひどい」と悩む中学受験生は「記述問題ができないからダメなんだ」と考えがちです。

確かに、彼らは記述問題で減点もしくは失点しています。しかし、ほとんどの場合、記述問題以外の記号選択問題や抜き出し問題もできていません。「選ぶだけ」「抜き出すだけ」の問題で失点しているために全体の点数が下がっています。

このような状況を解決するためにはまず、記述問題を捨てることから始めましょう。

塾の国語の授業は記述問題対策ばかり重視する

最難関中学の合格実績を重視する大手進学塾の中には、記述問題対策に力を入れている塾があります。御三家(開成・麻布・武蔵)などの国語の入試問題は記述中心なので、これに合わせて授業が行われます。

このような塾の国語の先生は、50字~100字くらいの記述問題は丁寧に解説します。一方で、記述問題以外の問題(記号問題や抜き出し問題など)はサラッと流すことがあります。「これはできるよね」と正解を言って終わる先生もいるそうです。

そのため、生徒はいつまで経っても記号問題や抜き出し問題を解けるようになりません。塾の国語の授業が機能していないといえそうです。

塾の国語の授業は役に立たない?時間とお金と労力を浪費しないために
大手塾に通う生徒たちは、塾の国語の授業を真面目に受けています。それにもかかわらず、「国語ができない」という状況に陥るのはなぜでしょうか?

塾にとっては、次年度以降の生徒を確保するため、最難関中学の合格実績が何よりも大切だからです。しかし、これは塾の都合に過ぎず、生徒はいたずらに振り回されるばかりです。

そもそも、全ての生徒が最難関中学を受験するわけではありません。早稲田や海城など、記号問題や抜き出し問題がメインの出題をしてくる中学を志望する生徒にとっては、記述問題の対策ばかりでオーバーワークです。

塾の経営戦略と個々の生徒の都合が必ずしも一致していないところに、「国語の点数がひどい」という中学受験生たちの悩みの原因があります。

悪問が多い模擬試験では点数を取れない

不思議なことに、大手進学塾の模擬試験では、全科目の中で国語の平均点が一番低いことがよくあります。国語の平均点が3割~5割という事態も珍しくありません。

模試の国語の平均点が異様に低い理由は、前述の通り、塾の国語の授業が機能していないからです。加えて、模試の問題が悪問であるケースも少なくありません。

大手進学塾が主催する模試の国語は、長ったらしくて難解な文章が本文に採用され、問題数もやたらと多いのが特徴です。それだけならまだしも、記述問題の模範解答は、日本語がメチャクチャだったり、異様に難しい語句が用いられていたり、解答に至る根拠が不明確だったり……。質の悪さも見られます。

このような模試で点数を取れないのは、必ずしも生徒の能力不足が原因ではありません。ましてや、精神年齢の低さは関係ありません。

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「国語の読解で小説が苦手」という生徒たちの傾向を分析し、具体的な対策を考えます。「小説が苦手=精神年齢が低い」とは異なる視点を提供します。

「記述問題を捨てなさい!」から国語の勉強が始まる

僕は、「国語の点数がひどい」と悩む生徒を指導する場合、最初に「記述問題を捨てなさい!」と言います。

もちろん、僕の国語指導の最終目標は、「記述問題でも高得点を叩き出す」です。それでもあえて「記述問題を捨てなさい!」と言うのには理由があります。

1つめは、記述問題対策を重視する大手進学塾の呪縛から生徒を解放したいからです。「国語ができる=記述問題を解ける」と思い込んでいる生徒たちは、国語それ自体を嫌う傾向にあります。「文章を書く」という作業が面倒だからです。その面倒な作業をいったん脇に置いておけば、生徒たちの国語アレルギーが緩和されます。

2つめは、模試などで得点するためです。開成中模試など、特定の中学入試を想定した模擬試験でない限り、模試の国語では8割以上が記号選択問題や抜き出し問題、知識問題です。記述問題が1問10点で2問出題されるとしても、その2問以外を全問正解できれば8割は得点できます。

「国語の点数がひどい」と悩む生徒たちは、普段の国語の勉強でも、記述問題に多大な時間を費やします。その結果、記号選択問題や抜き出し問題の練習や漢字・語句などの暗記に時間を割けず、これが大失点の原因となります。こうした失点を無くすことで国語の点数が安定します。

消去法ではなく積極法で解く習慣を身につける

巷では「記号選択問題は消去法で解く」がメジャーなようです。消去法は、誤りを含む選択肢を消していって、最後に残った選択肢を正解とする方法です。

一方、記号選択問題でも、まずは本文中の根拠から自分なりの解答を作り、それと一番ぴったりな選択肢を選ぶ方法が「積極法」です。ここで大切なのは「どうやって本文中の根拠を見つけるか?」という視点です。もちろん、正解以外の選択肢の誤りを指摘できれば、積極法の精度はさらに高くなります。

この積極法は抜き出し問題でも威力を発揮します。記号選択問題を通して、本文中から根拠を探すスキルが鍛えられるからです。

さらには、どんな問題でも根拠を探すことが習慣化した生徒は記述問題も得意になります。なぜなら、記述問題の多くは、本文中の根拠をつないで、それらを加工して書くだけだからです。

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「国語が苦手」「国語ができない」のほとんどは単なる思い込みです。「国語はパズルゲームだ」という意識で、本文から解答の根拠を探しましょう。

「記述問題を捨てなさい!」が記述問題対策になる

生徒は、積極法でさまざまな問題を解いているうちに、最終的には記述問題でも高得点を叩き出せるようになります。「記述問題を捨てなさい!」が実は記述問題対策にもなっています。

トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=ゆうき

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