塾で国語の授業を取っていると、塾用の国語の問題集が配られます。宿題にされることもあって、多くの受験生はこの問題集を一生懸命解きますが、なかなか国語ができるようになりません。それはなぜでしょうか?
塾の国語の問題集が優れているとは限らない
高校受験に関していえば、市販の問題集や学校で配布される問題集に比べて塾の問題集が優れています。ただし、「国語以外に関しては」です。
僕は長年塾で勤務してきたので、多くの国語教材に目を通してきました。しかし、過去問集でない限り、「これは本当に役に立つのか?」と首を傾げざるを得ない問題集ばかりでした。
塾の国語の問題集の良くない点とは?
塾の国語の問題集の良くない点を挙げていきます。
解答の根拠が不明な問題が多い
理由の1つめは、解答の根拠が不明な問題が多いことです。
こういう問題があると、生徒から「どうしてこの答になるんですか?」と質問されます。しかし、僕自身、その答になる理由が分かりません。解説を読んでも「はあ?」という感じでした。仕方ないので、僕は「解答にはこう書いてあるから、とりあえず写しておいて」と言って終わりにしていました。
僕でも解答の根拠が分からない問題を生徒が自学自習で解いたところで時間と労力の無駄になるだけです。
解答の根拠が不明な問題が多いのは、執筆者と編集者のレベルが低いからです。何人かの執筆者で問題を作成するので、同じ問題集の中でも問題の質にばらつきが出ることが多々あります。それが他の科目に比べて顕著なのが国語です。
些末でくだらない問題が多い
理由の2つめは、些末でくだらない問題が多いことです。
1つの段落に2つも3つも問題があったり、指示語の内容を直前から抜き出させるだけの問題があったり……。「スペースを埋めるためだけに問題を作っただろ?」とツッコミたくなります。実際、こういう理由で問題を作らされることもあります。
簡単過ぎたり難し過ぎたりする
理由の3つめは、簡単過ぎたり難し過ぎたりすることです。
これは、採用されている本文の難易度ではなく、問題の難易度についてです。本文は、簡単でも難しくても構いません。
簡単過ぎる問題
「簡単過ぎる」というのは、本文から根拠を探したり複数の候補を検討したりしなくても解ける問題のことです。
たとえば、「天井には大きな絵が描かれていた。ぼくはそれを見上げて、思わず息をのんだ。」の「それ」に線が引いてあって、「『それ』の内容を四字で答えなさい。」という問題を考えましょう。この問題は、「四字」という条件があるため、何も考えずに「大きな絵」を選べてしまいます。
こういう簡単過ぎる問題をたくさん解いても、入試問題を解く力はつきません。公立小学校で使われているカラフルな国語のテストが、子どもたちの国語力向上に役立っていないのと同じです。
難し過ぎる問題
「難し過ぎる」というのは、たとえば、やたらと「行間」を読ませる問題や、本文に書かれていない背景知識をもとに解く問題などです。これらは入試国語の領域を逸脱しています。
また、記述問題ばかりであるのも、学習者にとってはハードルとなります。記述問題は、記述以外の問題が解けるようになってから取り組んでも遅くありません。国語が苦手な中学受験生へのアドバイスは「記述問題を捨てなさい!」ですが、これは国語が苦手な高校受験生も同じです。
どうしても子どもに記述をさせたいのなら、理科や社会の知識を文章でまとめさせた方が力になります。
塾の国語の問題集より過去問を解こう
高校受験生は塾の国語の問題集を解くのに時間をかけないのがよいでしょう。かといって、漢字や語句、古典などの知識を暗記するだけでよいわけでもありません。入試問題の過去問の読解問題を定期的に解きましょう。
過去問には、各学校の先生方が検討に検討を重ねて作った良問が散りばめられています。それらを解くことで読解力が鍛えられますし、実際の入試の傾向も分かってきます。優れた問題を作った学校に敬意を表しつつ丁寧に過去問を解くのが、国語では最良の勉強法です。
さまざまな学校の問題を解きたい場合は旺文社の『全国高校入試問題正解』(通称「電話帳」)がおすすめです。
また、志望校が決まっているならば、志望校の過去問を解くのが一番です。声の教育社の『スーパー過去問』シリーズなどが充実しています。
これらの過去問を解いた後、信頼できる国語指導者に答案を添削してもらうと、国語の偏差値がさらに上がるはずです。
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