英語の時制の一致・不一致とは?現在・過去・大過去を使い分けるコツ

英語の時制の一致・不一致とは?現在・過去・大過去を使い分けるコツ 英語

多くの中学生や高校生にとって、英語の時制は難しいようです。特に、日本語では曖昧にされがちな時制の一致・不一致で悩む生徒が後を絶ちません。

本記事では、”It is said that SV ~.”とその言いかえを通して、時制の一致・不一致をわかりやすく解説します。

「SはVすると言われている。」を英語にする

「SはVすると言われている。」を英語にすると次のように作ります。

It is said that SV ~.

= They say that SV ~.

= S is said to do ~.

“It is said that SV ~.”の”it”は形式主語(仮主語)で、真主語はthat節です。そのため、”it”を「それは」と訳すのではなく、that節の内容を主語にして訳します。

また、“They say that SV ~.”の主語”they”は一般的な人びとを表すので、訳すときは無視します。他の書きかえで受け身(受動態)の文にするときも、”by them”としないので要注意です。

似たような表現に以下のものがあります。

  • It is believed that S V ~. = S is believed to do ~. 「SはVすると信じられている」
  • It seems that S V ~. = S seems to do ~. 「SはVするようだ」

これらについても、以下の説明に従って時制の一致・不一致を考えます。

主節と従属節(that節)の時制を時間軸に表す

時制の一致・不一致が難しいのは、日本語だと時制の判断が難しいことにあります。英語の時制の感覚を目に見えるように、時間軸を描いてみましょう。

主節の時制が現在形のときはどうなる?

次の2つの文を英語にしてみましょう。

  1. 彼は天才だと言われている。
  2. 彼は天才だったと言われている。

1と2の違いをチェックします。1は「天才だ」で、2は「天才だった」です。

「だ」と「だった」の違いを国文法的に説明すれば、1は断定の助動詞「だ」だけなのに対して、2は断定の助動詞「だ」+過去の助動詞「た」です。つまり、2は過去時制だとわかります。

1では、彼は今も天才です。一方、2では、彼は昔は天才だったけれど、今は天才ではないのでしょう。

このことを現在時制の「言われている」との関係から考えましょう。1と2を時間軸で表すと、次の図になります。

英語の時制の一致・不一致とは?現在・過去・大過去を使い分けるコツ

1は「言われている」の時点と「天才だ」の時点がどちらも今です。一方、2は「言われている」の時点が今で、「天才だった」の時点が今よりも前です。この違いを英語で表現してみましょう。

“It is said that SV ~.”で書くと次の通りです。

  1. It is said that he is a genius.
  2. It is said that he was a genius.

1が時制の一致で、2が時制の不一致です。

1では、主節と従属節(that節)のbe動詞がどちらも現在形です。一方、2では、主節のbe動詞が現在形で、従属節(that節)のbe動詞が過去形です。

これらを”They say that SV ~.”で書きかえると次の通りです。

  1. They say that he is a genius.
  2. They say that he was a genius.

では、これらの英文を”he”を主語にして書きかえましょう。

  1. He is said to be a genius.
  2. He is said to have been a genius.

to不定詞では、”to”の後ろが動詞の原形です。be動詞を原形にするだけだと、1と2の時制の違いを表現できません。そのため、2では時制の不一致の目印として”to have been”を使いますこの”to have been”に完了形の意味はありません

to不定詞の”to have p.p.(過去分詞)”に限らず、分詞でも動名詞でも”having p.p.”は登場します。これらの“having p.p.”も時制の不一致(=主節よりも前の時制)を表していて、完了形の意味はないことに注意しましょう。

主節の時制が過去形のときはどうなる?

次の2つの文も英語にしてみましょう。

  1. 彼は天才だと言われていた。
  2. 彼は天才だったと言われていた。

1では、「天才だ」が現在時制のように見えますが、正しくは「言われていた」と同じ過去時制です。つまり、1は時制の一致です。

一方、2では、「天才だった」は過去時制ではありません。「天才だった」の時点が「言われていた」の時点よりもさらに過去です。このように過去よりもさらに過去になることを「大過去」といいます

1と2を時間軸で表すと、次の図になります。

英語の時制の一致・不一致とは?現在・過去・大過去を使い分けるコツ

この時間軸をふまえて、”It is said that SV ~.”で書くと次の通りです。

  1. It was said that he was a genius.
  2. It was said that he had been a genius.

1が時制の一致で、2が時制の不一致です。

1では、主節と従属節(that節)のbe動詞がどちらも過去形です。一方、2では、主節のbe動詞が過去形で、従属節(that節)のbe動詞が過去完了形です。2の”had been”は大過去を表しているだけで、過去完了形の意味はありません

これらを”They say that SV ~.”で書きかえると次の通りです。

  1. They said that he was a genius.
  2. They said that he had been a genius.

では、これらの英文を”he”を主語にして書きかえましょう。

  1. He was said to be a genius.
  2. He was said to have been a genius.

1は時制の一致なので、”was”が過去形なので”to be”も過去時制です。一方、2は時制の不一致なので”to have been”が大過去を表します。ここでもやはり“to have p.p.”に完了形の意味はありません

日本語とは異なる英語のルールをしっかり理解する

英語の時制の一致・不一致が苦手な中学生や高校生は、日本語で書かれた文の時制を時間軸に表しましょう。その上で、時制の不一致がある場合、その不一致を表すために”to have p.p.”や”had p.p.”を使いましょう。

日本語とは異なる英語のルールをしっかり覚えることが英作文上達のコツです。

トップ画像=写真AC

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