国語の記号選択問題で使える“裏技”5選!不正解の選択肢を消去する

国語の選択問題で使える“裏技”4選!不正解の選択肢を消去する視点 国語

国語の記号選択問題では、本文を読むまでもなく不正解と判断できる選択肢が紛れていることがあります。それはどのような選択肢でしょうか?

「本文を読まずに正解の選択肢を選べる」は都市伝説

「本文を読まずに正解の選択肢を選べる」という“裏技”の話をしばしば耳にします。

もちろん、このような“裏技”は、検討するのすらバカバカしいレベルのものがほとんどです。都市伝説の一種だと思って無視しましょう。

しかし、本文を読まずに消去できる選択肢が紛れていることはあります。こういう選択肢を選んではいけませんが、ぼんやり選択肢を眺めていると、うっかり選んでしまうことがあるので要注意です。

本文を読まずに不正解の選択肢を消去する”裏技”5選

本文を読まずに不正解の選択肢を消去する”裏技”を5つ紹介しましょう。

【裏技No1】主述関係がおかしい選択肢

東洋大学の2009年度文系の問題に、次の選択肢がありました。

自己を取り巻く外側の世界の問題が、二十世紀の文明の危機において解体されようとしているから。

この選択肢の主述関係は、主語は「問題が」、述語は「解体されようとしている」です。「問題が解体される」という不自然な日本語です。

しかも、「文明の危機において」「問題が解体(=解決?)される」なら、「文明の危機」は危機ではなく、人間にとってありがたい現象といえるはずです。

こういうとんでもない選択肢を選ばないためにも、まずは選択肢の主述関係を必ずチェックしましょう。

【裏技No2】常識的におかしい選択肢

現代文の読解に常識を持ち込むのはNGです。とはいえ、明らかに常識外れな選択肢は、本文と照らし合わせるまでもなく不正解です。

平成15年度の都立高校入試共通問題には次の選択肢がありました。

人間の生活と密接にかかわっているものの中で、時間の流れにしたがってその役割が変化するのは、川の流れだけであると考えたから。

「川の流れだけ」という限定表現が正しいとすれば、川の流れ以外のあらゆるものは、時間が経過してもその役割が変化しないことになります。いくら何でも、ここまで非常識な選択肢が正解になるわけがありません。

この選択肢に限らず、狭すぎる言葉(「だけ」「のみ」など)や広すぎる言葉(「必ず」「全て」「あらゆる」などの)には注意しましょう。普通に考えれば「学校だけが学びの場だ」や「勉強すれば必ず合格する」などが間違いだと分かりますが、これは国語の記号選択問題でも同じです。

【裏技No3】論理的におかしい選択肢

国語の記号選択問題では、ときどき意味不明な選択肢が紛れています。意味が分からないのは、受験生の語彙力や読解力の問題ではなく、選択肢そのものが論理的におかしい可能性があります。

たとえば、日比谷高校の平成21年度では、次の選択肢がありました。

人間は最初と最後や最大や最小など、対象を二分化して考える存在なので、その特質が解決されない限りは、種として継続されていかなければならないのだということ。

一読して、何を言っているのかを理解できますか?

「なので」の前後は根拠と結論の関係になるはずです。しかし、根拠の「対象を二分化して考える」と結論の「種として継続されていかなければならない」との間に、どう考えても論理関係を見出せません。

さらに、同じ大問の他の選択肢はもっとひどいものでした。

人間は肉体の消滅によって永遠に生き続ける存在なので、痕跡が、建物や建造物として残っている限りは、本質である精神は生き続けているのだということ。

「人間は肉体の消滅(=死)によって永遠に生き続ける」という部分を読んで、「どこのカルト宗教ですか?」となりませんか?

もちろん、この選択肢も不正解です。

日比谷高校を始めとする上位校の国語では、本文も選択肢も難解な場合がほとんどです。しかし、表面的な難解さに惑わされて、論理的におかしい選択肢を選んではいけません。

【裏技No4】優劣を決めつけている選択肢

センター試験国語の2000年度の第一問に、次の選択肢がありました。

一九六〇年代の前衛音楽は、演奏者に確かな解釈を与える「テクスト」の優位に反発して、口頭伝承依存期の即興演奏に回帰し、非筆記的な音楽へと衰退した。

この選択肢の「前衛音楽は…非筆記的な音楽へと衰退した」を考えましょう。

「衰退=衰える」ですから、マイナスのニュアンスで使われます。そのため、この選択肢は「非筆記的な音楽は、口頭伝承依存期の即興演奏に回帰する前の前衛音楽より劣っている」と解釈できます。

音楽に限りませんが、社会・文化・宗教などの優劣を決めつけている選択肢は基本的に不正解です

かつて「人間の社会・文化・宗教などは生物学の進化論と同様の進化を遂げる」という社会ダーウィニズムが学問や思想の主流でした。これは「西欧が優れていて非西欧が劣っている」という差別的な考え方につながるので、現代では否定されています。そして、社会ダーウィニズムの代わりに主流となったのは、「人間の社会・文化・宗教などに優劣がない」とする文化相対主義です。

真っ当な入学試験で、社会ダーウィニズムのような差別的な選択肢が正解になるはずがありません。

【裏技No5】どちらでもOKな選択肢

次の問題を考えてみましょう。

問、(  )に入る適切な接続詞を一つ選べ。

ア だが  イ だから  ウ また  エ しかし  オ ところで

ア「だが」とエ「しかし」はどちらも逆接の接続詞で、意味に違いはありません。そのため、もし「しかし」を入れて正解になるなら「だが」を入れても正解になり、正解が2つあることになります。

このような問題は多くありませんが、空欄補充問題では時々見かけます。どちらでもOKな選択肢はどちらも正解になりません。

正解を選ぶ場合は正攻法で勝負しなければならない

今回紹介したのは、正解を選ぶ“裏技”ではなく、不正解を選ばない“裏技”です。正解を選ぶ場合は、きちんと本文中から根拠を探し、それに基づいて選択肢を検討する正攻法で勝負しましょう。

トップ画像=Pixabay

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