ある事柄の起こり方全てを数え上げるのが「場合の数」です。その中でも、並び順を考える場合の数を「順列」といいます。
今回は、男女が一列に並ぶ順列の問題について、よく出るパターンをわかりやすく解説します。
男女が一列に並ぶ問題
【例題】男子2人、女子3人が一列に並びます。このとき、次の各問いに答えなさい。
(1) すべての並び方は何通りありますか。
(2) 男子が両端に来る並び方は何通りありますか。
(3) 男子2人がとなり合う並び方は何通りありますか。
(4) 男子2人がとなり合わない並び方は何通りありますか。
(5) 女子3人がとなり合う並び方は何通りありますか。
(6) 女子3人がとなり合わない並び方は何通りありますか。
(7) 女子の春子、夏子、秋子の3人がこの順番で並ぶ並び方は何通りありますか。
男女が一列に並ぶ問題は順列では定番です。
男子も女子も一人一人は全く違う人です。そのため、「男子2人は性別が同じだから区別しない」と考えてはいけません。男子2人も女子3人も一人一人をきちんと区別しましょう。
「黒い碁石2個、白い碁石3個を一列に並べます。」という問題でも、黒い碁石2個と白い碁石3個を一つずつ区別するんですか?
碁石の場合、それぞれの碁石に印でもつけない限り、黒い碁石同士は区別しない。もちろん、白い碁石同士も区別しない。碁石を並べるような問題は、「同じものを含む順列」の問題だから、人間が並ぶ問題とは考え方が違うよ。
(1)の解答(すべての並び方を求める)
5人が並ぶ場所をABCDEとします。
- Aに並ぶのは5人のうちの1人なので5通りです。
- Bに並ぶのは、Aに並んだ1人を除いた4人のうちの1人なので4通りです。
- Cに並ぶのは、ABに並んだ2人を除いた3人のうちの1人なので3通りです。
- Dに並ぶのは、ABCに並んだ3人を除いた2人のうちの1人なので2通りです。
- Eに並ぶのは、ABCDに並んだ4人を除いた1人なので1通りです。
したがって、5×4×3×2×1=120(通り)が答です。
A~Eに誰が並ぶかは同時に決めなければならないから、和の法則ではなく積の法則を使うよ。5+4+3+2+1=15(通り)じゃないから、気をつけてね!
5×4×3×2×1は5!(5の階乗)で表すこともできるよ。n!=n×(n-1)×(n-2)×…×3×2×1は、異なるn個のものすべてを並べる順列を意味するんだ。
(2)の解答(両端に来る人を考える)
男子を●、女子を○として、男女の並び方を決めてしまいます。
男子が両端に来る並び方は●○○○●しかありません。
- 男子2人の並び方は2×1=2(通り)です。
- 女子3人の並び方は3×2×1=6(通り)です。
したがって、2×6=12(通り)が答えです。
(3)の解答(2人がとなり合う)
となり合う男子2人の並び方は2×1=2(通り)です。
となり合う場合を求める問題では、となり合う人たちを1人と考えるのがポイントです。
となり合う男子2人を1人と考えて、4人の並び方は4×3×2×1=24(通り)です。
したがって、2×24=48(通り)が答えです。
(4)の解答(2人がとなり合わない)
余事象の考え方を使うと簡単に答えを求められます。
「男子2人がとなり合わない並び方=すべての並び方-男子2人がとなり合う並び方」なので、(1)の答えから(3)の答えを引いて120-48=72(通り)が答えです。
(4)の別解
女子を○とすると、△○△○△○△の△から2か所を選んで男子を並べます。
- 男子は△から2か所を選んで並べるので4P2=4×3=12(通り)です。
- 女子は○に並べるので3×2×1=6(通り)です。
したがって、12×6=72(通り)が答えです。
余事象の考え方も別解も思いつかないんですが……
それなら、下のように、男子の位置をすべて書き上げてみるといいよ。
男子を●、女子を○として、男女の並び方を決めてしまいます。
●○●○○ ●○○●○ ●○○○● ○●○●○ ○●○○● ○○●○●
男女の並び方はこれら6通りしかありません。
男子の並び方は2×1=2(通り)、女子の並び方は3×2×1=6(通り)です。
したがって、6×2×6=72(通り)が答えです。
よい解き方が思いつかないときは、地道に書き上げて数えればいいんですね!
(5)の解答(3人がとなり合う)
となり合う女子3人の並び方は3×2×1=6(通り)です。
となり合う女子3人を1人と考えて、3人の並び方は3×2×1=6(通り)です。
したがって、6×6=36(通り)が答えです。
(6)の解答(3人がとなり合わない)
男子を●、女子を○として、男女の並び方は○●○●○の1通りしかありません。
男子の並び方は2×1=2(通り)、女子の並び方は3×2×1=6(通り)です。
したがって、1×2×6=12(通り)が答えです。
(6)も(4)と同じように余事象で解くと、(1)の答えから(5)の答えを引いて120-36=84(通り)。あれ、答えが全然違う?
(1)の答えから(5)の答えを引いただけだと、女子2人がとなり合う場合も残ってしまうんだ。もし、余事象を使いたければ、下のように、女子3人のうち2人だけがとなり合う場合も考える必要がある。
女子3人のうち2人だけがとなり合う場合を考えます。
男子を●、女子を○として、男女の並び方を決めてしまいます。
●○●○○ ●○○●○ ○●●○○ ○●○○● ○○●●○ ○○●○●
男女の並び方はこれら6通りで、男子の並び方は2×1=2(通り)、女子の並び方は3×2×1=6(通り)です。
したがって、6×2×6=72(通り)です。
シイタケくんが出した84通りからこの72通りを引けば12通りが出ます。
うわぁ、めんどくさい……
余事象を使えるかどうか、使ったとして楽になるかどうかは、問題によって異なるんだ。
(7)の解答(並び順が決まっている)
女子の春子、夏子、秋子の3人がこの順番で並ぶので、女子3人の並び方を考えなくてよいことになります。
女子3人の並び方は3×2×1=6(通り)なので、(1)の答えをこの6通りで割ると、女子3人の並び方を固定できます。
したがって、120÷6=20(通り)が答えです。
(7)の別解(Pの公式を使う)
5人が並ぶ場所を△△△△△とします。
この5つの△から2つを選んで男子を並べるので、5P2=5×4=20(通り)です。
他の3つの△には女子の春子、夏子、秋子をこの順番で並べるので、20通りで終わりです。
わからないときは、地道に書き上げて数えてしまった方が早いよ。
以下の記事には数値替えの類題があります。学んだことを練習してみましょう。
トップ画像=写真AC
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