【敬語】小中学生必見!尊敬語と謙譲語の使い分けをわかりやすく解説

みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記 国文法

小中学校では、口語文法の「敬語」を学びます。しかし、生徒たちは敬語をなかなかマスターできません。そんな生徒たちのために、敬語の使い方をまとめました。テスト対策に活用してください。

敬語の種類

敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類があります。

尊敬語

尊敬語は、動作の主体に対する敬意を表す言葉です。尊敬語には、次の3種類があります。

敬語動詞

  • 先生がおっしゃる。(「言う」の尊敬語)
  • お客様がいらっしゃる。(「来る」の尊敬語)

お~になる

  • 先生がお帰りになる

~れる・られる

  • お客様がお菓子を食べられる
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謙譲語

動作の主体を低めて、動作の客体に対する敬意を表す言葉です。謙譲語には、次の2種類があります。

敬語動詞

  • 私が申し上げる。(「言う」の謙譲語)
  • 私の姉が参る。(「行く」の謙譲語)

お~する

  • 私がお客様をお送りする

丁寧語

丁寧語は、話し手が聞き手に敬意を表したり、上品に言ったりするときに使う言葉です。次の言葉が丁寧語です。

です・ます・ございます・おります

  • 今日は晴れです
  • こちらが商品でございます
尊敬語と謙譲語の敬語動詞については、以下の表を参考にしてください。
【敬語】小中学生必見!尊敬語と謙譲語の使い分けをわかりやすく解説

尊敬語と謙譲語の使い分け

敬語の中で使い分けが難しいのは尊敬語と謙譲語です。尊敬語と謙譲語はそれぞれどういうときに使えばいいのでしょうか?

ここで大切なのは主語(「~が」「~は」などのある文節)です。主語についてよくわからない場合は、以下の記事を参照してください。

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具体的には、次の基準で尊敬語と謙譲語を使い分けます。

  • 主語が目上(エライ) → 述語を尊敬語にする。
  • 主語が目下(エラクナイ) → 述語を謙譲語にする。

このことを踏まえて、次の各文の下線部を適切な敬語に直してみましょう。

(例1)お客様が来る

(例2)私の母が先生に言う

(例1)は、「お客様が」が主語です。「お客様」は目上扱いなので、「来る」を尊敬語「いらっしゃる」に直します。

(例2)は、「(私の)母が」が主語です。自分の身内は目下扱いなので、「言う」を謙譲語「申す」に直します。

ここで注意点をいくつか書いておきますね。

主語以外に惑わされない

(例2)は、主語でない「先生に」に惑わされて、「言う」を尊敬語「おっしゃる」に直してはいけません。「~が」「~は」などの文節が主語です。「~に」「~を」などの文節は無視しましょう。

目下扱いは自分の身内だけ

他人の身内は目上扱いです。

(例2)の主語が「彼のお母さんが」ならば、「言う」を尊敬語「おっしゃる」に直します。

主語が省略されている場合

面倒なのは、主語が省略されている場合です。

次の文章の下線部は、どう直すべきでしょうか?

(例3)ケーキを送ります食べてください。

こういう文章では、主語を補いながら考えます。

「送ります」の主語は「私は」です。「私」は目下扱いなので、「送る」を謙譲語「お送りする」に直して、「お送りします」と書き換えます。

「食べて」の主語は「あなたは」です。「あなた」は目上扱いなので、「食べる」を尊敬語「召し上がる」に直して、「召し上がって」に書き換えます。

テストに出題されやすい敬語の誤用

尊敬語と謙譲語の使い分けはできるようになりましたか?

次に、テストに出題されやすい敬語の誤用について解説しますね。

「お~になる」と「お~する」

(例4)先生が私の話をお聞きする。

(例4)はどこが間違っているのでしょうか?

(例4)の主語は「先生は」で目上の人です。それにもかかわらず、述語が謙譲語「お聞きする」となっています。ここでは、尊敬語「お聞きになる」とするのが正解です。

尊敬語「お(ご)~になる」と謙譲語「お(ご)~する」は紛らわしいので要注意です。

自分の身内に「お~さん」

(例5)私のお母さんが参ります。

(例5)はどこが間違っているのでしょうか?

自分の身内は目下扱いです。自分の身内の動作だけでなく、身内を表す言葉自体に尊敬語を使ってはいけません。

自分の両親や兄弟姉妹、祖父母などを表すときは、「父」「母」「兄」「姉」「祖父」「祖母」などと書きます。尊敬語「お~さん」を使って「お父さん」「お姉さん」などと書くのは誤りです。

二重尊敬

(例6)先生がおっしゃられました。

(例6)はどこが間違っているのでしょうか?

前ページで確認した通り、「おっしゃる」と「~られる」は両方とも尊敬語です。したがって、「おっしゃられる」は二重尊敬となります。

古文の世界では二重尊敬が重要です。しかし、現代の日本語では、二重尊敬は原則として使われません。「おっしゃられました」を「おっしゃいました」に直します。尊敬語「おっしゃる」と丁寧語「ます」は一緒に使えます。

また、よくある間違いで、「先生が申されました。」があります。主語が「先生が」で目上なのに、謙譲語「申す」を使う時点でNG。謙譲語「申す」と尊敬語「れる」を併用しているため、さらにおかしなことになっています。「申されました」も「おっしゃいました」に直します。

日常生活でも敬語は大切

日常生活でも敬語は大切です。

年配の人との会話では、特に敬語に気を付ける必要があります。客商売で敬語を使いこなせないのは、とても恥ずかしいですね。また、ビジネスメールなどで不適切な敬語を使ってしまうと、メールを書いた人の人格まで疑われてしまいます。

社会人として必須の敬語スキルを小中学生のうちに習得しておきましょう。

※敬語の練習問題はこちら → 無料プリント

トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=ゆうき

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