「れる」「られる」の使い分けと用法?受身・可能・尊敬・自発の識別

「れる」「られる」の使い分けと用法?受身・可能・尊敬・自発の識別 国文法

国文法の助動詞の中で「れる」「られる」は中学入試や高校入試でよく出ます。

本記事では、「れる」「られる」の基本とその使い分け、受身・可能・尊敬・自発の4つの用法についてわかりやすく解説します。

助動詞「れる」「られる」の基本

「れる」「られる」は単独で使うのではなく、動詞に接続して(くっつけて)使います。たとえば、「知る」という動詞に「れる」が接続すると「知られる」となります。

また、「知られる」に「ます」が接続すると「知らます」に、「ば」に接続すると「知られれば」になります。「れる」「られる」は、後に接続する言葉によって形が変わることがわかります。

このように、「れる」「られる」は単独で使われず(文節を作れず)、後に接続する言葉で形が変わる(活用する)ため、助動詞(活用する付属語)の仲間です

「れる」「られる」の活用表は次の通りです。

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
れる れる れる れれ れろ・れよ
られる られ られ られる られる られれ られろ・られよ

「れる」「られる」の使い分け

「れる」と「られる」には次の使い分けがあります。

  • れる … 五段活用・サ行変格活用(サ変)の動詞の未然形に接続
  • られる … 上一段活用・下一段活用・カ行変格活用(カ変)の動詞の未然形に接続

「れる」と「られる」を使い分けるためには、動詞の活用の種類を見分ける必要があります。しかし、この見分け方は簡単です。動詞に「ない」を接続して、次のように判断すればよいだけです。

「ない」の直前の音が

  • ア段音 → 五段活用 (例)言う+ない → 言(wa)ない
  • イ段音 → 上一段活用 (例)見る+ない → (mi)ない
  • エ段音 → 下一段活用 (例)食べる+ない → 食(be)ない

※サ行変格活用(サ変)は「する」、カ行変格活用(カ変)は「来る」だけ。

「れる」と「られる」の使い分けだけなら、五段とサ変の動詞で「れる」を使うと覚えておけば十分です。

  • 話す → 話(sa)ない → 五段 → 話される
  • 訪ねる → 訪(ne)ない → 五段ではない → 訪ねられる
  • 破壊する → する=サ変 → 破壊される
  • 笑う → 笑わ(wa)ない → 五段 → 笑われる
  • 起きる → 起き(ki)ない → 五段ではない → 起きられる
  • 来る → 来る=カ変 → 来られる
  • 逃げる → 逃げ(ge)ない → 五段ではない → 逃げられる
  • 信じる → 信じ(ji)ない → 五段ではない → 信じられる
  • 取る → 取ら(ra)ない → 五段 → 取られる

「ら抜き言葉」とは?

「起きる」は上一段活用動詞(起き(ki)ない)なので「られる」を使うべきです。「れる」を使って「起きれる」とすると「ら抜き言葉」とされます。

ら抜き言葉は日常会話でよく使われます。しかし、国語の試験ではら抜き言葉を使わないようにしましょう。ら抜き言葉は不正解にされたり、減点の対象になったりするからです。

可能動詞とは?

「買う」は五段活用動詞(買わ(wa)ない)なので「れる」を使って「買われる」となります。

「買われる」とは別に「買える」もあります。この「買える」は可能動詞の一種で、間違った言葉遣いではありません。可能動詞は「~することができる」という意味を含む動詞です。

「買われる」は品詞分解すると「買わ」(五段活用動詞の未然形)と「れる」(助動詞)です。一方、「買える」はこれで一つの単語で、「買え(e)ない」から下一段活用動詞だとわかります。

可能動詞には他に「会える」「行ける」「書ける」「飛べる」「遊べる」などがあります。

受身・尊敬・可能・自発の4つの用法

「れる」「られる」には、受身・尊敬・可能・自発の4つの用法があります。これらの用法を識別できるようにすることが大切です。

まずは次の【問題】にチャレンジしてみましょう。

【問題】「いたずらばかりするので、いつも父に怒られる。」の「れる」と同じ用法のものは、次の下線を付けた語のうちではどれですか。

ア ここから外に出られる

イ 先生が昼食を食べられる

ウ 毎朝6時に起こされる

エ 母の言葉が思い出される

可能(「~することができる」に言いかえられる)

アの「出られる」は「出ることができる」に言いかえられます。このように、「~することができる」に言いかえられる「れる」「られる」は可能です。

尊敬(目上の人が主語)

イの主語は「先生が」です。「先生」のように目上の人(偉い人)が主語のときの「れる」「られる」は尊敬です。

もっとも、目上の人が主語で「食べられる」が述語でも、「先生がライオンに食べられる。」のような文の「れる」「られる」は受身です。この文は「先生がライオンの餌になる。」という物騒な解釈ができるからです。

「れる」「られる」が尊敬かそれ以外の用法かは文脈から判断しましょう。

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自発(思考や感情を表す動詞に接続)

エの「れる」は「思い出す」に接続しています。「思い出す」「考える」「しのぶ」「慕う」など、思考や感情を表す動詞に接続する「れる」「られる」は自発です。

自発には次の2つの意味があります。

  1. 自分から進んで行う。
  2. 自然とそうなる。

「自発的に勉強する。」という場合の「自発」は1の意味です。このときの「自」は「みずから=自分から」です。

一方、「れる」「られる」の用法の自発は2の意味です。このときの「自」は「おのずから=自然と」です。

「母の言葉が思い出される。」は、何かあったとき、意識しているわけでないのにふと母の言葉を思い出してしまう状態を表します。

受身(可能・尊敬・自発以外)

可能・尊敬・自発のどの用法でもない「れる」「られる」が受身です。問題文の「怒られる」とウの「起こされる」が受身なので、答えはウです。

「れる」「られる」の使い分けと用法は大切

ら抜き言葉を人は少なくありません。そのため、「れる」「られる」を正しく使い分けられないと、文書やメールを送った相手にマイナスイメージを与えてしまうことがあります。

また、「れる」「られる」の4つの用法の識別は、国文法(口語文法)だけでなく古典文法(文語文法)にも登場します。古典文法では「る」「らる」の識別ですが、考え方は「れる」「られる」と同じです。

「れる」「られる」の使い分けと用法はとても大切なので、小中学生のうちにしっかり習得しましょう。

トップ画像=イラストAC

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