都立高校入試理科の生物分野では、対照実験に関する問題がよく出ます。
対照実験とは、ある特定の条件以外の条件を全て同一にして行う実験です。
本記事では、過去問から対照実験に関する考察問題をピックアップして紹介します。
オオカナダモの光合成に関す津対照実験
27年度の大問4は、オオカナダモの光合成に関する問題でした。そして、[問1]が、対照実験をテーマにしていました。
試験管AからCを比較して分かることをまとめてみましょう。
光の有無
試験管Aと試験管Bの違いは、アルミニウムはくで覆われているかどうかです。この操作が何を意味するかは<実験1>の(4)を読むと分かります。
試験管Bはアルミニウムはくで覆い、光が入らないようにした。
アルミニウムはくの有無は光の有無を比較するための条件なのです。
試験管Aと試験管Bから得られた<結果1>を見ると、次のことが分かります。
- 試験管Aの葉 → ヨウ素液で青紫色に変色 → デンプンが生成された
- 試験管Bの葉 → ヨウ素液で変化無し → デンプンが生成されなかった
デンプンの生成は光合成の働きによるものです。したがって、この結果から分かるのは、光合成には光が必要ということです。
二酸化炭素の有無
試験管Aと試験管Cの違いは二酸化炭素の有無です。試験管Aと試験管Cから得られた<結果1>を見ると、次のことが分かります。
- 試験管Aの葉 → ヨウ素液で青紫色に変色 → デンプンが生成された
- 試験管Cの葉 → ヨウ素液で変化無し → デンプンが生成されなかった
この結果から分かるのは、光合成には二酸化炭素が必要ということです。
以上を踏まえて考えると、光合成には光と二酸化炭素が必要であると判断できます。したがって、正解はイです。
比較しても無意味な試験管
ところで、試験管Bと試験管Cは比較する意味があるのでしょうか?
試験管Bと試験管Cは、光と二酸化炭素の2つの条件が異なっています。このように、複数の条件が異なっているもの同士は対照実験と認められません。両者の結果に何らかの違いが表れても、その原因が光なのか二酸化炭素なのか、判断できないからです。
試験管Bと試験管Cを比較する意味はありません。
消化酵素の働きに関する対照実験
25年度の大問4は、消化酵素の働きに関する問題でした。そして、[問1]が、対照実験をテーマにしていました。
<実験1>で、消化酵素Xを入れない試験管②を用意した理由として適切なのは、次のうちどれか。ア 消化酵素Xはタンパク質でできていることを確かめるため。
イ デンプンは水のはたらきで分解されないことを確かめるため。
ウ デンプンが分解されて二酸化炭素が発生することを確かめるため。
エ 消化酵素Xがはたらくには水に含まれる酸素が必要であることを確かめるため。
試験管AからDを比較して分かることをまとめてみましょう。
ヨウ素液とベネジクト液
試験管Aと試験管Cにはヨウ素液を入れ、試験管Bと試験管Dにはベネジクト液を入れています。そして、それぞれの試薬では、次のことを確かめられます。
- ヨウ素液はデンプンに反応して青紫色になる。
- ベネジクト液は糖に反応して赤褐色になる。
したがって、<結果1>から、試験管Aにはデンプンが存在せず、試験管Cにはデンプンが存在することが分かります。また、試験管Bには糖が存在し、試験管Dには糖が存在しないことも分かります。
消化酵素の働き
試験管①(AとB)と試験管②(CとD)の違いは、消化酵素Xの有無です。<結果1>から、次のことが分かります。
- 試験管① → 試験管Aにデンプンが存在せず+試験管Bに糖が存在 → デンプンが分解されて糖になった
- 試験管② → 試験管Cにデンプンが存在+試験管Dに糖が存在せず → デンプンが分解されなかった
以上より、消化酵素Xがデンプンを分解し糖に変化させたことが分かります。
同時に、消化酵素Xが入っていなければデンプンは分解されないことも分かります。これは、水だけではデンプンを分解できないことも意味しています。したがって、正解はイです。
対照実験に関する考察問題は難しくない
対照実験に関する考察問題が苦手な受験生は、教科書を使って語句の知識や実験の手順、実験結果などを覚えましょう。また、有名な実験を網羅した以下の問題集を解いて、出題の形式や正解の導き方に慣れるのも効果的です。
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その後、過去10年の都立高校入試問題を徹底分析して分野別にまとめた問題集「高校入試 虎の巻」で類題をこなせば、「対照実験が苦手」という思い込みはなくなるはずです。対照実験に関する考察問題は難しくありません。
トップ画像=Pixabay
コメント
とてもよくわかりました
お役に立てたようで嬉しいです!