高校英語で習う「無生物主語構文」の訳し方についてわかりやすく解説します。和訳が与えられる並べ替え問題で混乱しないようにしましょう。
無生物主語構文とは何か?
主語が無生物(=人間以外のもの)である英文が無生物主語構文です。次のような英文が例として挙げられます。
The letter made me happy.
中学英語でも“make A B”(AをBにする)の学習時に登場する英文ですが、当時は無生物主語構文について言及されなかったはずです。「その手紙は私を幸せにしました。」と訳せばOKだったのではないでしょうか?
しかし、高校英語では、「その手紙は私を幸せにしました。」と訳すことは好まれません。では、どのように訳せばいいのでしょうか?
無生物主語構文は意訳しよう
“The letter made me happy.”なら、「その手紙は私を幸せにしました。」という直訳でもあまり問題ないでしょう。しかし、次の英文を直訳したらどうでしょうか?
A helmet keeps you from hurting your head.
「ヘルメットはあなたにあなたの頭を傷つけさせません。」だと、意味は通じないこともないですが、何というか、日本語としてちょっと……。
無生物主語構文は直訳すると不自然になりがちなので、意訳することを求められます。意訳の手順は次の通りです。
- 主語(S)を副詞的に訳す。
- 目的語(O)を主語(S)として訳す。
- 述語(V)を和訳の主語に合わせる。
“The letter made me happy.”を使って、一つ一つの手順を確認しましょう。
1. 主語(S)を副詞的に訳す。
英文のS「~は・が」を「~によって・おかげで」などと訳します。
“The letter”は、「その手紙は」ではなく、「その手紙によって(のおかげで)」と意訳します。
2. 目的語(O)を主語(S)として訳す。
英文のO「~を・に」を主語「~は・が」として訳します。
“me” は、「私を」ではなく、「私が」と意訳します。
3. 述語(V)を和訳の主語に合わせる。
英文のVを主語に合わせて受け身などにします。
「私を~にしました。」の「私を」を「私は」と意訳した場合、「私は~になりました。」と訳さないと却って不自然になります。
途中までは「その手紙によって私は幸せに……」と訳せているのに、文末が「~にしました。」だと、「その手紙によって私は幸せにしました。」という変てこな日本語の出来上がりです。こんな訳をするくらいなら直訳の方がマシです(笑)
以上をふまえて“The letter made me happy.”を訳すと、「その手紙によって私は幸せになりました。」です。
意訳と直訳の両方をできるようにしよう
無生物主語構文は並べ替え問題でもよく出ます。というのも、無生物主語構文が受験生を混乱させるのに最適だからです。
たとえば、“The letter made me happy.”という英文を作らせる問題に、「私はその手紙を見て幸せになった。」という和訳を付けると、受験生は大パニックです。「『私は』が主語なのに、”me”しかない!」と思ってしまうからです。
同じように、”A helmet keeps you from hurting your head.”を作らせる問題には、「ヘルメットをかぶれば頭を守れます。」のような和訳を付けておきます。”you”や”your”の訳が無い上に、”keep A from doing”の「Aに~させない」の意味すら失われています。
このような嫌がらせをすることで、出題者は受験生をふるい分けます。受験生は出題者の罠に引っかかってはいけません。
和訳に対応する主語が無い場合は無生物主語構文を疑いましょう。そして、「これは無生物主語だ!」と気づいたら、意訳ではなく直訳を考えながら語句を並べ替えましょう。
並べ替え問題の攻略法については、以下の記事で詳しく解説しています。
また、無生物主語構文についてより深く学びたい受験生は、西きょうじ先生の『ポレポレ英文読解プロセス50』にチャレンジしてみましょう。かなり難しいですが、これを徹底的にやり込めば、上位大学の英語にも対応できます。
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無生物主語構文に慣れれば、英語と日本語の両方を使いこなせるようになります。
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