武蔵中国語2023年の傾向分析!論説文を読解して要約する記述問題

有名中学の傾向分析と対策(みみずく戦略室) 国語

武蔵中入試の2023年国語は、長めの論説文(評論文)を本文とする大問1つと、これとは別に漢字の書き取り問題8問という構成でした。

本文として採用された論説文の特徴

本文として採用された中島岳志『思いがけず利他』の一節は、「利他」と「利己」が実はつながっていて、「利他」行為の中には「コントロール」「支配」といった「利己」が潜んでいることを指摘します。その上で、贈与の危険な側面を追及したマルセル・モースの『贈与論』の紹介や、「沿うこと」に主眼を置いた認知症のケアの事例も交えながら、真の「利他」について考察します。

筆者は最近流行りの「持続可能な開発目標(SDGs)」に好意的ではありません。このことからもわかる通り、論説文の内容が小学校で教わる道徳と必ずしも一致するわけではありません。思い込みを捨てて本文内容を素直に読解しましょう

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武蔵中国語の出題傾向

読解問題の一は、問一の空欄補充問題以外はすべて、字数制限のない記述問題でした。

本文の傾向

同じようなテーマの論説文を読んだことがあって、本文の読解にそれほど苦労しなかった受験生も少なくなかったでしょう。『贈与論』の紹介や認知症のケアの事例は初見でも、何を言っているのかさっぱりわからないというレベルではなかったはずです。

ただし、長文なので、一回目に読むときに「どこにどんなことが書いてあるか?」を頭に入れたいところです。

設問の傾向

武蔵中国語は、御三家の開成中や麻布中のように枠だけ与えられるのではなく、設問文と設問文の間の空白に記述する形式です。そのため、書こうと思えばいくらでも書けます。しかし、そうすると、あっという間に時間オーバーです。必要な要素を過不足なく書くことが大切です。

傍線部に指示語が含まれていることが多いので、まずは指示語の内容を明らかにします。その上で、それぞれの設問に対応する意味段落の要約を書くことになります。

問二は企業の「社会的貢献」に対する筆者の考え、問三は頭木さんが感じた恐怖の内容、問四は贈り物の負の側面、問五は市川さんのケアの内容、問六は真の「利他」とは何かをそれぞれまとめます。

無理に自分の言葉で書こうとせず、本文中の言葉を上手く利用した方が書きやすいでしょう。字数が多くなってきたら適切なところで文を区切り、2~3文で解答を作るのがおすすめです。

武蔵中国語の対策となる勉強法

武蔵中はかつて物語文を出題していましたが、近年は論説文や説明文が続いています。

論説文などは物語文に比べて難しい印象があります。しかし、解答に盛り込むべき要素はほぼそのまま本文中に書かれているので、本文中の記述を手がかりに登場人物の心情を推測する物語文よりも簡単です。論説文などに苦手意識がある受験生は、まずはその「苦手」という思い込みを捨てましょう。

今後も2023年と同様の傾向が続くならば、塾の国語教材などを使った要約の練習が武蔵中国語の対策になります。武蔵中国語は字数制限がないので、字数を圧縮するために自分の言葉に言いかえる必要はありません。できるだけ本文中の言葉を使って要約するのがおすすめです。

論説文などを要約するだけなら、それほど時間をかけなくても合格水準に到達することは可能でしょう。ただし、長文を最後まで読み通すことへの慣れと、本文内容を理解するのに必要な語彙力の習得には時間がかかります。直前期に慌てて国語に取り組まなくて済むようにしたいところです。

国語が合否を明確に分けるわけではない

近年の武蔵中国語は、長めの文章を本文とする大問1つを出題する麻布中国語と対照的です。心情の把握や表現技法の解釈を求められない素直な問題なので、決して難しくありません。

麻布中国語2023年の傾向分析!論理的に読解する物語文問題の対策
麻布中入試の2023年国語の傾向を分析し、対策を考えます。少年の成長を描いた物語文を丁寧に読み、理解したことを適切な言葉で説明する問題です。

武蔵中が公開している入試データを見る限り、国語は100点満点で合格者の平均点と受験生全体の平均点の差が5点程度しかありません。平均点の差が15~20点程度である算数と比べても、国語が合否を明確に分けるわけではなさそうです。

一方で、国語が壊滅的にできないと致命的です。国語が苦手な受験生は、算数ばかり勉強するのではなく、国語が足を引っ張らないようにする必要があります。

トップ画像=写真AC

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