感情を表す言葉を覚えよう!国語の物語文が苦手な中学受験生の勉強法

国語の物語文が苦手を克服!中学受験生は気持ちを表す言葉を覚えよう 国語

国語の物語文が苦手な中学受験生は少なくありません。その苦手を克服するための勉強法を紹介します。

人生経験の少ない小学生にとって物語文は難しい

中学受験生にとって物語文が難しく苦手になりやすいのは、本文に書かれている登場人物の言動や表情、情景描写などを手がかりに、その人物の気持ち(心情・感情)を推測しなければならないからです。

人生経験の少ない小学生にとって、はっきり書かれていることと、はっきりとは書かれていない気持ち(嬉しい・楽しい・悲しい・悔しいなど)がパッと結びつくとは限りません。特に、友達とバカなことをして遊ぶことしか考えていない男子は、男女の恋愛を描いた物語文をさっぱり理解できないようです(笑)

そうはいっても、中学受験生は、期限のある中で、志望校の問題として出題されるレベルの物語文を読めるようにしなければなりません。そのための練習として、今回は「顔が赤くなる」という表現について考えてみましょう。

「顔が赤くなる」ときの気持ちを推測しよう

A 太郎の顔がみるみるうちに赤くなっていった

Aの傍線部の太郎の気持ちを答えてみてください。答えられますか?

Aだけだと、太郎の気持ちを答えられません。というのも、前後の文脈がないため、太郎の気持ちを推測する手がかりを得られないからです。

太郎に何らかの気持ちが生じたのかもしれませんし、単にのぼせて顔が赤くなっただけかもしれません。

このことからも分かる通り、傍線部だけを見ても、登場人物の気持ちを答えることはできません。傍線部以外、特に傍線部の前後を確認することが必要です。

いやなことをされて怒った

B 新一は太郎の筆箱をつかんで放り投げた。筆箱が床に落ちて、中に入っていた鉛筆や消しゴムが散らばった。新一はニヤニヤしながら「ざまあみろ」と言った。
 太郎の顔がみるみるうちに赤くなっていった

Bの文章から、太郎の顔が赤くなっていった理由を20字以内で答えましょう。

「新一は太郎の筆箱を~『ざまあみろ』と言った。」を読むと、太郎が新一からいやなこと(いじわる)をされたことが分かります。

しかし、「新一からいやなことをされたから。」だけでは理由になりません。なぜなら、このような出来事があっても、太郎が気にしなければ、太郎の顔は赤くならないからです。

新一からいやなことをされたことによって、太郎の気持ちがどうなったのでしょうか?

このときの太郎は、顔を赤くするほど怒ったと考えられます。したがって、「新一からいやなことをされたこと」と「怒った」を合わせて、太郎の顔が赤くなっていった理由は「新一からいやなこと(いじわる)をされて怒ったから。」と答えられます。

このように、物語文で理由を説明するときは、「出来事+気持ち+から。」の形で答えましょう

ちなみに、Aの出来事は「新一に筆箱を放り投げられ、ばかにされて」などと具体的に書いても構いませんが、20字しかないので「いやなこと(いじわる)をされて」などとしないと厳しいでしょう。解答欄の字数に合わせて、具体的に書くか、抽象化するかを選択する必要があります。

おならをしてはずかしかった

C 全員が真剣に作文を書いていた。それぞれが原稿用紙に鉛筆を走らせる音だけが聞こえる。その静かな教室にプウッという音が響きわたった。直後に「くさい」という新一の声も続いた。
 誰もが新一の方に顔を向ける。新一は鼻を手でおおっていた。隣の席の太郎の顔がみるみるうちに赤くなっていった

Cの文章から、太郎の顔が赤くなっていった理由を20字以内で答えましょう。

まずは、出来事から確認します。「静かな教室にプウッという音が響きわたった」「くさい」「新一は鼻を手でおおっていた」という表現から、太郎がおならをしたことが分かります。

次に、このときの太郎の気持ちを推測します。おならをして、それを教室の全員に知られてしまったら、普通ははずかしくなります。

したがって、「おならを聞かれてはずかしかったから。」が解答例です。字数がもっとあれば、「静かな教室で」「クラスの全員に」などを入れてもよいでしょう。

両思いだと分かって興奮した

D 手紙を読み終わった花子は黙りこんだ。手紙には「ぼくとつきあってください」と書かれていた。花子は目の前の太郎に対して、どのような返事をすべきか考えているのかもしれない。
 太郎は沈黙に押しつぶされそうだった。数秒が数時間のように感じられた。
「太郎君、ありがとう……」
 小さくつぶやいた花子は太郎を見つめた。にっこりほほ笑んで言葉を続けた。
「私も太郎君が好き。両思いだったのね」
 太郎の顔はみるみるうちに赤くなっていった

Dの文章から、太郎の顔が赤くなっていった理由を20字以内で答えましょう。

まずは、太郎は「ぼくとつきあってください」と書いた手紙、いわゆるラブレターを花子に渡しました。その後、花子が「私も太郎君が好き。両思いだったのね」と返事をしました。つまり、大好きな花子と両思いだったことが判明しました。

次に、このときの太郎の気持ちを推測します。大好きな人と両思いだと分かったら興奮するでしょう。気持ちが高ぶっていることを表す言葉で表現したいところです。

したがって、「花子と両思いだと分かって興奮したから。」が解答例です。

保護者が子供に気持ちを表す言葉を教える

ここまで見てきた通り、「顔が赤くなる」という表現は、前後の文脈によって「怒り」「恥ずかしさ」「興奮」などの気持ちに解釈されます。

とはいえ、「顔が赤くなる」がこれらの気持ちと結びつくことを知らなければ答えようがありません。そして、中学受験生は気持ちを表す言葉を知らないことが少なくありません。

国語の物語文が苦手な中学受験生は、気持ちを表す言葉を覚えていくことで苦手を克服できます。そして、そのサポートを行えるのは保護者です。

たとえば、保護者は、以下の言葉を子供が知っているかどうかをチェックして、知らないなら教えてしまいましょう。

  • 顔が真っ青になる=恐怖・ショック・血の気が引く
  • 顔がこわばる=緊張
  • 顔がほころぶ=うれしい・緊張がとける
  • 顔をしかめる=心配・不安・不快
  • 顔をそむける=気まずい・見たくない

「顔が赤くなる」に関連して「顔」シリーズをまとめました。こういうのを子供にどんどん教え、日常会話や作文で使わせていくことが大切です。

保護者は、国語の物語文が苦手な子供について、「精神年齢が低いから物語文ができない」と考えがちです。しかし、入試問題の国語レベルなら、精神年齢の高低は関係なく、言葉を知っているかどうかがすべてです。

保護者が語彙を増やすための働きかけを行っていけば、たとえ幼さの残る子供でも、入試本番までに物語文の問題も解けるようになります。

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