受験学年に突入した生徒たちは志望校の過去問を解き始めます。
とはいえ、夏休み前の学力では、生徒が自力で解ける問題も限られてきます。そのため、虫食い状態で過去問を解くことになるでしょうが、このときに次の問題が出てきます。
- どの年度の問題を解いたのか分からなくなる。
- 解き直しをするときに、問題を探すのが面倒。
- あちこちに情報が分散して混乱する。
これらの問題を解決するため、過去問ノートを作るのがおすすめです。
過去問ノートとは?
過去問ノートとは、志望校の過去問に関する情報を1冊に集約したノートのことです。具体的には、次の手順で過去問ノートを作成します。
- 科目別にノートを用意する。
- 過去問集の問題をコピーしてノートに貼る。
- 2と同じページか隣のページに問題を解く。
- 3を添削して、正しい解答を書きこむ。
- 必要に応じて模範解答&解説もコピーして貼る。
市販の過去問集には、学校情報や受験情報、自分が受験しない科目の問題と解説、さらには広告まで載っています。これらのページがあるから1冊1冊が分厚くなります。無駄なページは持ち運びや問題演習の邪魔です。
過去問集をコピーするために、以前はコンビニで10円コピーする必要がありました。お金がかかる上に面倒で、気軽にコピーできない時代でした。
しかし、現在は一家に一台パソコンがある時代です。パソコンがあれば、普通はプリンターもあります。最近のプリンターの多くにはコピー機能が付いているので、自宅で気軽にコピーできるはずです。これを活かさない手はありません。
必要な問題だけを切り貼りした過去問ノートは、無駄がなく、使い勝手のいい、自分だけのオリジナル問題集です。
過去問ノートをブラッシュアップするコツ6選
もっとも「過去問集の一部をコピーしてノートに貼り付けて問題を解く」だけでは、入試本番まで役立つ過去問ノートにはなりません。
過去問ノートでは、自分の解答に赤入れしつつ、途中計算や公式・知識なども書き込みましょう。市販の過去問集の解答解説では、途中計算が省略されていることが少なくありません。そういう部分を自分で補って、「わからない」を徹底的に潰します。
これに加えて、以下では、過去問ノートをさらにブラッシュアップするコツをお伝えします。
1. 余白を多めに取る
過去問ノートを作る際のポイントは、余白を多めに取ることです。
コピーした問題を詰め詰めで貼り付けたり、「ページがもったいない」といってぎっちりと文字を書き込んだりしてはいけません。一見すると「無駄」な余白こそが過去問ノートの命です。
余白には、後からさまざまな情報を書き加えます。他の問題を解いている際に出会った知識や関連事項、別解、派生語などをどんどん余白に追加します。学校や塾の先生に質問して教わったこともメモしましょう。
また、頻繁にノートを見直すことで理解不足が判明するはずですので、それを補う説明を余白に追記していきます。
2. 問題集のページとリンクさせる
過去問ノートは、あらゆる情報が集約されているのが理想的です。しかし、情報が間違っていたり、不足していたりするのはよくあることです。自分の手で書いた情報を過信しない方が賢明です。
だからこそ、過去問ノートには、問題集や参考書などのページを必ず書いておきましょう。「平成20年度第3問 過去問集P45」のように、「どの問題集からコピーしたのか?」「どの参考書の解説を参考にしたのか?」をメモしておきます。
復習時に「あれ?この解き方おかしいぞ」と気づいたら、メモを辿って、もとになった問題集や参考書の該当箇所を確認しましょう。「おかしいぞ」と思いながらそれを放置して、間違ったことをそのまま覚えてはいけません。
復習は、知識を覚えたり深めたりする作業であると同時に、誤りを発見して軌道修正する作業でもあります。
3. 古い年度の過去問も貼り付ける
最近は、古書店やネットオークションで、古い年度の過去問も購入できるようになりました。10年以上過去問を遡ることも可能です。
古い過去問集をどんどん購入していくと、過去問集だけで2~5冊になってしまうこともあります。特に、大学受験の赤本は分厚くて無駄が多いので、それらを整理する必要があります。その整理で役立つのが過去問ノートです。
古い年度の問題も過去問ノートに貼り付けて、過去問集を何冊も見なくていい状態にしましょう。
4. 模試などの問題も貼り付ける
模試(模擬試験)で解いた問題や、他の問題集に載っている問題も、志望校の傾向に近い問題は過去問ノートに貼り付けます。
たとえば、数学の確率漸化式や格子点が苦手だとします。しかし、確率漸化式や格子点だけを集めた問題集は市販されていません。このような分野に関しては、自分の苦手分野の問題をたくさん貼り付けて、類題を何問も解ける状態にしておくとよいでしょう。
5. 付箋で目印をつける
過去問ノートは、ページが増えてくると、どこに何が書いてあるのか分からなくなってきます。自分が知りたい情報を探すのに何分もかかっていて効率が悪過ぎます。そこで付箋が大活躍します。
付箋には、年度などの情報と分野名を書いておきましょう。「H23 一次関数と図形」といった感じです。
下のリンクのような大きめの付箋にはたくさん書き込めるので、余白がなくなってしまった場合に便利です。
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6. ルーズリーフを使う
過去問ノートを作る際、生徒によってはルーズリーフを利用するといいでしょう。ルーズリーフだとページの入れ替えが楽なので、「確率」「二次関数」「ベクトル」などと単元ごとに整理しやすいメリットがあります。ルーズリーフは、数学で特に効果を発揮します。
もちろん、ルーズリーフには、ページを紛失しやすいというデメリットもあります。プリントなどの整理が苦手ならばノートを使うのが無難です。
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過去問ノートは受験生の強い味方
過去問ノートを作ることで、過去問集への書き込みが必要なくなります。綺麗な状態で過去問集を保存しておけば、入試直前期に、過去問集を模擬試験のように使えます。
「一度解いた問題を解き直しても意味ないだろ?」という意見もあるでしょう。
しかし、入試直前期という極限状態において、時間を正確に計って過去問と改めて向き合うことで、受験生は新たな気づきを得られます。「できた」と思っていたことができていなかったり、以前解いたときよりも時間がかかってしまったり……。
一度解いた問題だからこそ見えてくるものがあるはずです。その気づきを過去問ノートに追記しましょう。
過去問ノートは受験生の強い味方です。受験学年に突入したら、早めに過去問ノートを作り始めることをおすすめします。
トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ
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