演習問題
次の文章を読んで、あとの問に答えなさい。
昔の人々は、不思議な自然現象を理解する手段として、人格を有した神々を生み出した。神々の喜怒哀楽が豊穣や災厄などをもたらすと考え、場合によっては、神々への信仰によってこれらをコントロールしようとした。自然現象のメカニズムが知られていなかった時代には、信仰に基づいた儀式が「最先端の科学」として尊重された。
たとえば、世界各地の①神話や伝承に雷神が登場する。ゴロゴロと音が鳴り、ピカッと光り、地上に落ちて来る雷は、今も昔も恐ろしい自然現象である。その雷が発生する原因を昔の人々は雷神の仕業とした。雷が激しいときは、雷神が怒り狂っているからに違いないと考え、その怒りを鎮める儀式を執り行うこともあった。
現代に生きる我々は、②雷が雲や地面の間で起こる放電現象であることを知っている。そのため、雷神を信じない。雷神に限らず、神々が自然現象を引き起こすという話をばかばかしいデタラメだと思いがちである。問一、傍線部①「神話や伝承」とあるが、現代人は神話や伝承をどのように評価することが多いか。本文中から十字で抜き出しなさい。
問二、傍線部②「雷」とあるが、昔の人々は雷が発生する理由をどう考えたか。本文中から十五字以内で抜き出しなさい。
「受験国語読解講座」シリーズでは毎回、演習問題を掲載していく予定です。一般的な中学入試や高校入試の国語に近い形式の問題で、本文を短くして取り組みやすくしてあります(本文もみみずくのオリジナルなので、本文内容が必ずしも正しいとは限りません)。
では、早速問一から解説していきます。「何を、どのように答えるか?」を意識することからスタートです。ちなみに、問題の解き方を解説するだけで、本文内容の解説はありません。
問一の解き方(評価を抜き出す問題)
まずは、設問に「現代人は」とあることに着目しましょう。
「現代人」について書かれている段落は、「現代に生きる我々は」で始まる3段落だけです。したがって、1段落や2段落を見る必要はなく、3段落から解答を探せばよいと判断できます。
このように、傍線部や設問のヒントから、本文の見るべき部分を狭めることが大切です。
次に、傍線部「神話や伝承」の言いかえになる言葉を3段落から探します。そして、最後の文にある「神々が自然現象を引き起こすという話」が言いかえだと判断します。現代人はこの話を「ばかばかしいデタラメだと思いがち(=評価することが多い)」なのですから、「ばかばかしいデタラメ」が答です。十字という字数制限にも合致します。
問二の解き方(理由を抜き出す問題)
問一と同じように、まずは、設問に「昔の人々は」とあることに着目しましょう。「昔の人々」について書かれている段落は、1段落と2段落です。
さらに、「雷が発生する理由」を答えなければならないので、雷について書かれている2段落だけを見ればよいと判断できます。
次に、「雷が発生する理由」の言いかえを探すと、2段落3文目にある「雷が発生する原因」を見つけられるでしょう。そのため、「雷神の仕業」を抜き出したくなりますが、明らかに字数が足りません。
3文目に続く文も見ると、雷の原因が「雷神が怒り狂っているから」と書かれています。字数も十二字で十五字以内なので、「雷神が怒り狂っているから」が答です。
トップ画像=写真AC
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