生徒が僕の指示通りに行動しないとき、僕はその生徒を厳しく叱責します。
「ノートに解きなさい」と僕が指示したのに、生徒が問題集に直接答を書き込んだ場合。「宿題はP10をやってきなさい」と僕が指示したのに、生徒がP11をやってきた場合。「xの値を答えて」と僕が指示したのに、「y=3です」と生徒が答えた場合。などなど。
僕の指示に従わない生徒が目的に適った結果を出せたとしても、「どうして君は僕の指示を守らなかったの?」と僕は問い詰めます。僕がこのようなことをする理由を説明します。
生徒が指示を守らない理由
生徒が指示を守らない理由は、主に以下の3つです。
- 他人の話を聞いていなかった。
- 何を指示されているのか理解できなかった。
- 指示を理解できたが、自分の考えで動いた。
1や2は、指示を「守らない」のではなく、「守れない」です。ありがちな話ですが、本記事では触れません。僕が特に問題と考えるのは3です。
我流で物事に取り組もうとする生徒たち
3のタイプの生徒は、地頭が良い場合が多いです。一方で、なかなか成績が上がりません。成績不振は、指導者の指示に従わないことが原因です(ここでいう「指導者」は、先生や保護者などの人間だけでなく、教科書や参考書等の解説も含むと考えてください。)。
3のタイプの生徒たちは、指示を無視して、我流で物事に取り組もうとします。
彼らは「自分のやり方が絶対に正しい」と思い込み、間違っていてもそれにこだわります。さんざん時間と労力を費やした挙句、「分かんない」と混乱をきたします。
指示を守らないことの本当の意味
僕は以前、ある生徒に「僕は『辞書で調べろ』って指示したはずだよな?君は、どうして単語帳を今開こうとしているんだ?」と激怒しました。
単語の意味を調べたいだけなら、辞書を使おうと単語帳を使おうと結果は同じ。結果だけ見れば、生徒の行為に問題はありません。しかし、僕は「どうして指示通りのことをやらないのか?」とかなり厳しく生徒を叱責しました。
その生徒は、僕の指示を理解しています。「単語帳で調べても同じだな」と言いながら、単語帳を開こうとしたのですから。その一部始終を見た上で、僕は彼を叱ったのです。
自分なりの工夫≠マナー違反
生徒が自分なりに考え自分なりに工夫することを僕は全否定しません。場合によっては、そうした態度を評価することすらあります。しかし、それと指示通りに動かないこととは話が別です。
自分なりの考えがあって別のことをしたいのなら、生徒は、指示を出した人に「指示とは違いますが、~をしてもいいですか?」と聞くべきです。それをせずに勝手なことをするのはマナー違反です。
マナー違反を繰り返す生徒は、普段から先生のアドバイスを無視し、教科書などの解き方も見ないで我流で勉強し、時間と労力を浪費します。成績が低迷した挙句に、「あの先生の教え方が悪い」などと言い出します。そもそも指示を無視している時点で、「教え方」の良し悪しを評価する資格はありません。生徒の自業自得です。
指示を守らない=楽をしたい
単語帳を開いて僕に叱られた生徒は、散々僕の指示を無視して宿題などをやらず、受験学年になって焦り始めました。もっとも、焦っている割には、やっていることがことごとく空回りします。
彼は、「学校の先生が『●●を覚えなさい』と言うんですが、本当に覚える必要がありますか?」と僕に聞いてきました。この質問からも分かる通り、彼の頭の中にあるのは、「どうしたら楽できるか?」ばかり。自分なりの工夫を試したいという前向きな姿勢ではありませんでした。
彼のようなわがままを「自主性」などと評価してはいけません。本来は小学生のうちに矯正されるべき悪癖です。
指示を守らない生徒たちの将来
指示を守らない生徒たちが大人になると、困った社会人になります。彼らは、マニュアルがあっても失敗する「役立たず」です。もちろん、上司から嫌われる「無能社員」の典型ですね。なぜなら、マニュアルや上司の指示を無視して勝手に動くわけですから。
もちろん、自分勝手に動く人たちの中から「天才」が現れることもあります。しかし、それは例外中の例外です。「天才」になれなかった大多数は、評価されるどころか淘汰されます。そのリスクを考えたとき、僕は、指示を守らない生徒たちに厳しくならざるを得ないのです。
トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=大川竜弥
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