緊急地震速報の発表から主要動を観測するまでの時間を求める方法は?

みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記 理科

中学理科2分野の「地学」では地震の知識を学びます。その中で時々出るのが、P波やS波が伝わる速さをヒントに考える緊急地震速報の問題です。

気象庁HPに掲載されている緊急地震速報の説明

そもそも緊急地震速報とは何なのでしょうか?

気象庁HPには、緊急地震速報について次のような説明が掲載されています。

緊急地震速報は、地震の発生直後に、各地での強い揺れの到達時刻や震度を予想し、可能な限り素早く知らせる情報のことです。

実際にどのような問題が出題されるのでしょうか?

平成23年度の都立高校入試を紹介ます。

都立高校入試で出た緊急地震速報の問題

緊急地震速報の発表から主要動を観測するまでの時間を求める方法は?

緊急地震速報の発表から主要動を観測するまでの時間を求める方法は?

図1に示された地震の緊急地震速報は、震源に2番目に近い観測点にP波が到達してから5秒後に発表されていたことが分かった。また、震源に2番目に近い観測点の震源からの距離は12kmであった。

震源からの距離が90kmの地点では、緊急地震速報の発表から主要動を観測するまでの時間は、何秒であったか。図1、図2を基に求めよ。

緊急地震速報の問題を見た受験生の多くは、「こんなの習ってない!」と思って大混乱に陥ったのではないでしょうか?

たしかに、ふつうの中学校では、緊急地震速報についてくわしく教えないと思います。だからといって、「わからない!」と頭ごなしに決めつけてはいけません。なぜなら、この問題は、知識を問うているのはなく、与えられた情報を整理して正解を導けるからです。

実際に、注目すべきポイントを解説しながら、問題を解いていきます。

緊急地震速報が発表された時刻を求める

問題文中の数値を図1のグラフと対応させる必要があります。

まずは、問題文1段落を考えます。「震源に2番目に近い観測点にP波が到達してから5秒後」、「震源に2番目に近い観測点の震源からの距離は12km」から、震源からの距離が12kmの地点とこの地点にP波が到達した時刻をチェックします。そこから、緊急地震速報が発表された時刻を求めます。

緊急地震速報の発表から主要動を観測するまでの時間を求める方法は?

図1のグラフは、横軸が1目盛り1秒の時間を表し、縦軸が1目盛り2kmの距離を表していることに注意しましょう。

主要動を観測する時刻を求める

次に、問題文2段落を考えます。とりあえず、震源からの距離が90kmの地点で主要動を観測した時刻を求めましょう。

緊急地震速報の発表から主要動を観測するまでの時間を求める方法は?

緊急地震速報の発表から主要動を観測するまでの時間を求める

最後に、緊急地震速報の発表から主要動を観測するまでの時間を求めます。図1から23秒です。

緊急地震速報の発表から主要動を観測するまでの時間を求める方法は?

都立高校入試の理科では思考力が試される

都立高校入試の理科では、大問3から6の中で、思考力を試す問題が出題されます。これらの問題は、知識があるだけでは解けません。最低限の知識をもとにして、実験・観察の結果を表す表やグラフなどから、正解を推測していくことが必要です。

本記事で扱った問題も、「P波」や「主要動」の意味を知っていることが前提ですが、それ以外の情報については全て与えられています。

与えられた情報を整理して正解にたどり着けた受験生はどのくらいいたのでしょうか?

見たことのない問題が出題されても、「わからない!」と諦めずに、落ち着いて粘り強く考える姿勢が受験生には求められます。

トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=茜さや

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