4月から高校生になる中学3年生に向けて、中学校卒業から春休みにかけて取り組むべきことをまとめました。ただ、本記事の内容を生徒一人でこなすのは厳しいでしょう。信頼できる塾や家庭教師と相談しながら、高校内容の予習に取り組んでください。
国語(古文)
現代文については、読書と漢字の練習・暗記(漢字検定2級以上が目標)に毎日取り組むといいでしょう。ただ、現代文の学習は「時間があればやる」程度でOKです。それよりも古文の予習が大切です(漢文には手を出さなくて大丈夫です)。
用言の活用を覚える
古文の問題集には、薄くて安いものがあります。
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このような問題集を1冊購入して、信頼できる指導者と一緒に古文の世界を覗いてみます。予習すべきは古典文法です。
- 歴史的仮名遣い
- 動詞の活用
- 形容詞の活用
- 形容動詞の活用
動詞の活用は古典文法全体の基盤です。まずは、活用の種類と活用形をきちんと区別して覚えます。次に、「余談活用は a・i・u・u・e・e 」のように活用語尾を丸暗記します。
動詞の活用を覚えられれば、形容詞と形容動詞の活用は楽勝です。そして、用言の活用を習得していれば、後に覚えさせられる助動詞の活用にもスムーズに対応できます。
古語辞典を引けるように
動詞の活用を予習している段階で、古語辞典を購入するといいですね。
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高校入学後、購入すべき古語辞典を学校が指定してくるかもしれません。それはそれで購入してください。古語辞典は2冊あると便利だからです。学校指定の古語辞典は学校のロッカーに置いておき、自分で購入したもう一冊は自分の部屋の勉強机に置いておきましょう。
ちなみに、この時期は、ブックオフに大量の参考書・辞書が出回ります。半額以下になった古語辞典をブックオフで買うのも有りです。
というわけで、購入した古語辞典を使って、古語の調べ方を練習します。たとえば、「いとうつくしうてゐたり」の「ゐたり」の意味を調べたい場合、「ゐ」という文字から「ゐる」という動詞の終止形を把握できなければなりません。古語辞典の引き方を習得しておくと、高校で授業が始まったときに予習が楽になります。
数学
数学Ⅰの「数と式」を予習しながら、中学で学んだ計算に漏れが無いかを確認していきます。使用する問題集は『白チャート』のような易しいのがいいでしょう。
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展開・因数分解と混合を含む計算
中学内容のうち、次の分野の発展が数学Ⅰ「数と式」の前半に登場します。
- 整数(指数法則を含む)
- 文字式(式の変形を含む)
- 方程式(一次方程式・二次方程式・連立方程式)
- 根号を含む計算
ここで新たに学習するのは、3次式の展開・因数分解、循環小数、複雑な有理化、1次不等式です。これらをしっかり習得すると同時に、速く正確に計算できるように計算練習に励んでください。
単なる計算ができない生徒は高校の理系科目で地獄を味わいます。とにかく計算力を鍛えましょう!
絶対値、集合と命題
数学Ⅰの予習で生徒たちが詰まるのは、「絶対値」と「集合と命題」です。
「絶対値」では、|-5|=5のような単純なものは誰も苦労しません。しかし、場合分けが必要な|x-5|のようなものは鬼門です。高校数学の根幹をなす場合分けの第一歩として、生徒たちには慣れてほしいと思います。
「集合と命題」では、ベン図が大切です。高校数学では、自分で絵や図を描くことが大切です。「描く」という作業を面倒に思う生徒は、その怠惰な意識を変えましょう。
英語
「高校英語」というと難しそうですが、英文法に限っていえば、中学英語で学ぶ英文法に毛の生えた程度です。しかし、中学英語があやふやだと、高校英語でもつまずきます。
高校英文法の予習
高校英文法をキチッと理解できれば中学英語も完璧に理解できます。中学時代英語が得意だった生徒は、中学英語の復習ではなく高校英文法の予習を進めます。
また、予習を進める生徒は、『Forest』などの文法書を購入しておきましょう。これは、読み物というよりも辞書代わりに使うものです。指導者と一緒に、文法書の使い方を習得すると後々楽ができますよ。
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多くの学校では文法書が配布されます。文法書も古語辞典と同じで、2冊あれば学校用と自宅用にできます。高校入学前に購入した文法書は決して無駄になりません!
中学英文法の復習
中学時代英語が苦手だった生徒は、中学英語の復習を行ないます。独学できるテキストがありますので、それを自力で進めながら、分からないところを指導者に質問するといいでしょう。
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英単語・イディオムの暗記
英文法以上に大切なのが英単語・イディオムの暗記です。
英単語・イディオムの暗記は、指導者がいなくても自力でできます。生徒は、書店で自分好みの単語帳を1冊購入して暗記に励みましょう。
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語彙力が貧弱だと英文を読めません。いくら英文法に精通していても、知らない単語や熟語が多過ぎると、前後の文脈から意味を類推することすら適わないからです。その意味でも、語彙力が高校英語の肝になるのです。
塾や家庭教師を継続するか?
春から高校生になる中学3年生にとって、勉強以上に大切なことがあります。それは、中学時代に利用していた塾や家庭教師を高校入学後も継続するかどうかの判断です。
多くの塾や家庭教師は、中学卒業後の生徒に対して、高校以降の継続を提案してきます。志望校に合格した生徒の多くは、浮かれ気分とも相俟って継続を快諾します。
しかし、実際のところ、高校受験まではきちんと対応できる塾や家庭教師でも、高校の学習内容や大学受験の指導では力量不足のケースが結構あります。春休みの指導(授業)を通して、現在お世話になっている塾や家庭教師の力量を確かめてください。その際には、次の点をしっかりチェックしましょう。
1. どの科目を教えられるのか?
「高校生の指導では英語(数学)しか教えられません」という塾や家庭教師が少なくありません。こういう指導者(塾)に1科目だけ指導してもらっても、他の科目を同じ人に指導してもらえないのでは総合的に成績を伸ばせません。
高校生になっても塾や家庭教師を利用する場合は、最低でも英語・数学、可能であれば物理・化学・古典にも対応できるところ(人)を選びましょう。
2. どのレベルまで対応可能か?
たとえば、「高校数学指導可能」と謳いながら、「教科書レベルまで」「数学ⅠAⅡBまで」「共通テストレベルまで」などという指導者がいます。
数学Ⅲを教えられない指導者は、数学の全体像が見えていないため、頓珍漢なことを教えるケースがあります。暗記すべきこととその場で導くこととの区別が無く、公式の導出過程も説明せず、ひたすら「覚えて!」と言うのもこのタイプの指導者です。
こういう指導者に数学を教わった生徒は数学ができなくなります。特に理系志望の生徒は、数学Ⅲまで指導してくれる人に教わるべきです。
高校生指導では、塾や家庭教師の学力が重要です。
3. 大学受験まで対応できるのか?
高校受験が終わってホッとしている生徒たちには酷かもしれませんが、今の時期から、大学受験を視野に入れて勉強すべきです。だからこそ、高校生を指導する塾や家庭教師の大学受験戦略が大切になってきます。
特に注意すべきは、大学生中心の塾や家庭教師です。アルバイト感覚の大学生は、ほとんどの場合、戦略など持ち合わせていません。場当たり的な指導の積み重ねの先にあるのは、大学受験での大失敗です。
また、大学受験に対応できる塾などでも、「MARCHを目指す」「上位私大を目指す」のように、私大入試に特化している場合は要注意。生徒(もしくは保護者)が国公立大志望ならば、私大受験にしか対応できない指導者に教わっても時間の無駄です。
特に、旧帝大などの上位国公立大学は、試験科目ごとの難易度が高い(記述が原則だから)上に、大学入学共通テストでも高得点が必要です。私大受験のように「数科目だけでOK」ではなく、総合的な学力を求められます。上位国公立大学を目指す生徒は、塾や家庭教師の選択を誤ると3年後に撃沈します!
生徒は、自分の大学受験について考えた上で指導者に受験戦略を尋ねてみてください。そこで、指導者が明確な回答を出せないならば、その指導者には大学受験を指導するだけの力量がありません。そういう指導者にはさっさと見切りをつけて、プロ講師の在籍する予備校かプロ家庭教師に切り替えましょう。
4. 大学受験の合格実績はどうか?
現在お世話になっている塾や家庭教師の合格実績は確認しておくべきです。
ただ、上位私大(早慶上理など)の合格実績には要注意です。たとえば、「早稲田合格」と誇らしげに記載されていても、それが推薦入試での合格だった場合、その合格は塾や家庭教師のおかげとは限りません。その生徒の能力が高かっただけかもしれません。
塾や家庭教師の合格実績を見るときは、推薦入試・AO入試の合格実績を除いて考えましょう。そうしないと、塾や家庭教師の力量を正確に把握できないからです。
大学受験は既に始まっている!
春から高校生になる中学3年生にとって、大学受験は既に始まっています!
中学までお世話になった塾などを継続するかどうかの判断はスタート地点です。そのスタート地点で方向性を誤れば、3年後涙を呑むことになります。
中学3年生の皆さんは、高校入学前までのこの時期、3年後の自分の姿に思いを馳せ、何をどうすべきかをしっかり考えましょう。
トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ
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