算数の基礎となる足し算・引き算・かけ算・わり算を四則計算といいます。今回は、整数の四則計算を図で表す方法と基本的な逆算(□を求める計算)を紹介します。
足し算・引き算は線分図で表そう
足し算は加法ともいい、その答は和です。引き算は減法ともいい、その答は差です。
足し算と引き算は、次のような線分図で表せます。
この線分図から、6+4=10という足し算の式を作れます。また、6と4を入れかえて、4+6=10も成り立つことがわかります。
一方、引き算の式は、10-6=4と10-4=6の2種類を作れます。10-6=4で10と6を入れかえることはできません。
線分図で考えれば、足し算・引き算の逆算がどうして成り立つのかも理解できるでしょう。
足し算の逆算は次の通りです。
□+4=10 → □=10-4
4+□=10 → □=10-4
引き算の逆算は次の通りです。
このタイプの引き算では、-の後ろの□と=の後ろの数を入れかえられます。
また、次の線分図は、別のタイプの引き算の逆算を表しています。
□-6=4 → □=4+6
□-4=6 → □=6+4
「線分」と「直線」って違うんですか?
下の図のように、点Aと点Bで止まっている直線を「線分AB」というんだ。これに対して、「直線AB」といったら、点Aと点Bを通り過ぎてずっと伸びていくよ。
かけ算・わり算は面積図で表そう
かけ算は乗法ともいい、その答は積です。わり算は除法ともいい、その答は商です。
かけ算とわり算は、次のような面積図で表せます。面積図では、「たて×横」の式で表される長方形の面積を使います。
「たて×横=面積」なので、2×5=10というかけ算の式を作れます。また、「面積÷たて=横」から10÷2=5、「面積÷横=たて」から10÷5=2というわり算の式をそれぞれ作れます。10÷2=5で10と2を入れかえることはできません。
次の面積図から、かけ算・わり算の逆算を理解しましょう。
かけ算の逆算は次の通りです。
□×5=10 → □=10÷5
5×□=10 → □=10÷5(×の前後は入れかえられます)
わり算の逆算は次の通りです。
このタイプのわり算では、÷の後ろの□と=の後ろの数を入れかえられます。
また、次の線分図は、別のタイプのわり算の逆算を表しています。
□÷2=5 → □=5×2
□÷5=2 → □=2×5
方程式の考え方から逆算の式を理解しよう
=(イコール)は、答を出すための記号ではなく、「同じ」という意味の記号です。そのため、=で結ばれているものはすべて等しくなければなりません。
たとえば、2+4=6は正しいです。一方、2+4=6÷2=3は、2+4の計算結果である6と最後の3が等しいという意味になってしまうので正しくありません。中学受験算数では、この=の使い方がとても大切です。
さて、□+4=10のように、わからない数(□など)を含み、最初から=がある式(等式)を方程式といいます。
方程式に含まれる□などは、ある数では=が成り立ちますが、それ以外の数では=が成り立ちません。□+4=10は、□=6のとき6+4=10ですが、□=5のときは5+4=9≠10です。
方程式の=の左側を「左辺(さへん)」、右側を「右辺(うへん)」、左辺と右辺を合わせて「両辺(りょうへん)」といいます。□+4=10は、□+4が左辺、10が右辺、□+4と10を合わせて両辺です。
方程式では、両辺に同じことをしても=の関係はくずれません。□+4=10の両辺から4を引いても=のままだということです。
□+4=10
□+4-4=10-4
左辺の4-4=0なので、
□=10-4
両辺に同じことをした結果、逆算の式になりました。
ここでは両辺に同じ数を足しましたが、同じ数を引くこともできます。同じ数をかけたり、同じ数でわったりしてもOKです。
「両辺に同じことをしても=の関係がくずれない」に納得できない場合、次のように考えてみてください。
6+4=10
6+4-4=10-4
6=10-4
□がない数字だけの等式だと、「両辺に同じことをしても=の関係がくずれない」が正しいことがよくわかります。
「中学入試では、方程式を使ってはいけない」という話を聞きますが、本当ですか?
受験する中学が「方程式禁止」と明言していない限り、使っていけないことはないだろう。そもそも、答だけ書かせる問題なら、受験生がどんな方法で解いても、採点者にはわからないしね。
逆算をすらすらできるようにしよう
四則計算の逆算が成り立つ理由は、線分図・面積図や方程式から明らかです。このように「なぜ成り立つのか?」を考えることは、応用力をきたえる上で大切です。
一方で、逆算は、いちいち図などを使わなくても、パッと計算できなければなりません。次の式変形はしっかり頭に入れておきましょう。
【足し算】 □+A=B → □=B-A A+□=B → □=B-A
【引き算】 □-A=B → □=B+A A-□=B → □=A-B
【かけ算】 □×A=B → □=B÷A A×□=B → □=B÷A
【わり算】 □÷A=B → □=B×A A÷□=B → □=A÷B
引き算とわり算の式変形の中でも、線を引いた逆算は特に役立ちます。ただし、AとBの位置をまちがえないように注意が必要です。
逆算をすらすらできることが、中学受験算数を得意にするための第一歩です。
次の質問に答えましょう。(解答例は最後のページにあります)
① 四則計算はどのような図で表せますか。
② =(イコール)はどのような意味の記号ですか。
③ 方程式の両辺に同じ数をかけました。どうなりますか。
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