英語の文法問題で、生徒から質問が多いのが関係詞の分野です。特に、関係代名詞whichと関係副詞whereの使い分けには、多くの生徒たちが頭を抱えます。
本記事では、穴埋め問題を手がかりにして、関係代名詞と関係副詞の違いに迫ります。
関係代名詞と関係副詞の違い
次の穴埋め問題を解いてみましょう。
次の( )に適切な語を入れなさい。
- This is the town ( ) she visited.
- This is the town ( ) she went.
ほとんどの生徒たちは両方にwhereを入れます。「( )の前が場所だからwhereにする」と短絡的に考えるからです。
しかし、少し考えれば分かると思いますが、両方とも同じ答えならば、わざわざ2問も用意しません。
ここでwhichとwhereの違いを確認しましょう。
- which → 関係代名詞
- where → 関係副詞
次に、これらの使い分けを考えます。一般的には次のように解説されます。
- 関係代名詞の後ろ → 不完全な文
- 関係副詞の後ろ → 完全な文
「不完全な文」「完全な文」という言葉が分かりにくいので、具体例を挙げましょう。
(1)は、whichの後ろに続く文は前置詞inで終わっています。このように、一部が欠けている文を「不完全な文」といいます。
一方、(2)は、whereの後ろに続く文はそのままでも文として成立します。このように、欠けている要素のない文を「完全な文」といいます。
(1)や(2)のように分かりやすい文ならば、関係代名詞と関係副詞の使い分けも簡単です。
しかし、冒頭の問題は、( )の後ろが不完全な文か完全な文かを直観的には見分けられません。この問題はどう考えればいいのでしょうか?
不完全な文と完全な文の見分け方
冒頭の問題について、1と2の( )の後ろを訳してみます。1は「彼女が訪れた」で、2は「彼女は行った」です。「訪れた」≒「行った」なので、和訳としてはほとんど違いがありません。
そもそも、英文法問題では和訳に頼ってはいけません。日本語と英語は根本的に異なる言語なので、単語レベルで訳を照らし合わせたところで、両者の文法の違いを理解できないからです。したがって、関係代名詞と関係副詞の問題で和訳は役に立ちません。
和訳から離れて、英文法に着目します。ここで確認すべきは、visitとgoの文法的な違い、すなわち動詞の種類です。
他動詞と自動詞の区別
動詞には、他動詞と自動詞があります。直後に目的語(名詞)を取る動詞が他動詞で、直後に目的語(名詞)を取らない動詞が自動詞です。冒頭の問題では、他動詞と自動詞の区別がポイントです。
visitとgoは、それぞれ他動詞でしょうか、自動詞でしょうか?
他動詞か自動詞かパッと区別できない場合は、簡単な例文を自分で作ってみましょう。英和辞典にはgoとvisitが他動詞か自動詞かがきちんと書かれているので確認してみましょう。
これらの文は動詞以外に何が違いますか?
違いはtoがあるかどうかですよね?
このように、動詞の後ろに前置詞があるかどうかを確認することで、その動詞が他動詞か自動詞かを判断できます。
visitは、直後に”the town”が続きます。”(the) town”は名詞なので、文の成分としては目的語です。したがって、visitは目的語を取る他動詞です。
一方、goは、直後に前置詞句”to the town”が続きます。前置詞句は、修飾語として文の成分から除きます。したがって、goは目的語を取らない自動詞です。
改めて、冒頭の問題について考えましょう。
- she visitedは目的語を必要とするが、その目的語が欠けている。 → 不完全な文
- she wentは目的語を必要としないので、これで文が完結している。 → 完全な文
したがって、1の答がwhichで、2の答がwhereです。
関係詞でつまずく原因
英語を指導していると、「上位校を目指しています」という受験生でも、関係詞でつまずきます。
その根本原因は、文法をきちんと覚えずに、和訳などに頼って感覚的に解こうとすることにあります。また、他動詞と自動詞の区別のような、辞書を確認しなければわからないことを確認しようとしない怠惰な性格も「できない」につながります。
これらの性格的な部分を改善しない限り、いつまでも関係詞を理解できないままです。関係代名詞と関係副詞を使い分けられるかどうかは、上位校を目指す資格があるかどうかを見極める試金石でもあります。
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