数字が並んだ列のことを「数列」といいます。中でも、一定の数を次々に加えていった(引いていった)数列が「等差数列」です。たとえば、2、5、8、11、…は、初めの数が2、加える数が3の等差数列です。初めの数は「初項(しょこう)」、加える数は「公差(こうさ)」と呼ばれます。
今回は、等差数列の性質を考えながら、n番目の数や和を求める公式を導いてみます。
n番目の数と和を求める公式を導こう
【例題1】あるきまりにしたがって、下のように数を並べました。
3、7、11、15、19、…
これについて、次の問いに答えなさい。
(1) 初めから数えて25番目の数はいくつですか。
(2) 255は、初めから数えて何番目にありますか。
(3) 3から255までをすべて加えると、その和はいくらになりますか。
例題1の数列は、初めの数が3、加える数が4の等差数列です。等差数列は、数直線を描いてみるとイメージしやすくなります。
n番目の数を求めよう
(1)では、がんばって4を足していけば、25番目の数を求めることができます。しかし、何度も何度も4を足していくのは大変です。そこで、3、7、11、15、19について、「初めの数に4をいくつ足しているのか?」を考えて、規則性を探ってみることにします。等差数列に限らず、数列の問題を考えるときは、いくつかの数から規則性を探ることが大切です。
1番目の数 … 3+4×0
2番目の数 … 3+4×1
3番目の数 … 3+4×2
4番目の数 … 3+4×3
5番目の数 … 3+4×4
このように書き出してみると、初めから数えて25番目の数が3+4×24=99であるとわかります。
書き出した結果から、等差数列のn番目の数を求める公式を導けます。(n番目の数を「一般項(いっぱんこう)」といいます)
<等差数列のn番目の数を求める公式>
n番目の数=初めの数+加える数×(n-1)
この公式は覚えておいた方が便利です。公式を使えば、25番目の数=3+4×(25-1)=99となります。
何番目にあるかを求めよう
(2)は、公式を使えばあっという間に答を求められます。255が初めから数えて□番目にあるとすると、3+4×(□-1)=255です。したがって、□=(255-3)÷4+1=64(番目)が答です。
次のように数直線を使えば、公式を使わなくても解けるでしょう。
3から255の間に4がいくつあるかを考えると、(255-3)÷4=63です。255は、初め(1番目)の数である3に4を63個足したので、64番目の数です。
和を求めよう
(3)は、1番目から64番目までの数を全て足さなければなりません。どのようにして和を求められるのかを、3+7+11+15+19=55を使って考えてみましょう。
等差数列の和を求める場合、数列を逆順に並べるのがコツです。3+7+11+15+19を逆順に並べると19+15+11+7+3です。3+7+11+15+19と19+15+11+7+3を次のように足します。
数列を縦に足していくと22が5個できます。この22は「初めの数+終わりの数」です。また、22×5=(3+7+11+15+19)+(19+15+11+7+3)=(3+7+11+15+19)×2なので、3+7+11+15+19=22×5÷2=55となります。数列の和2つ分を1つにするために「÷2」をします。
この結果から、等差数列の和を求める公式を導けます。
<等差数列の和を求める公式>
和=(初めの数+終わりの数)×個数÷2
この公式を使えば、(3)の答は(3+255)×64÷2=258×32=8256です。
258×64をしてから÷2をするんじゃなくて、258÷2か64÷2を先にしてしまうと、計算が少し楽になるわ!
等差数列の公式を使いこなそう
等差数列の少しひねった問題にチャレンジしましょう。
【例題2】あるきまりにしたがって、下のように数を並べました。
200、193、186、179、…、11、4
これについて、次の問いに答えなさい。
(1) 全部で何個の数を並べましたか。
(2) この数列のちょうど真ん中の数はいくつですか。
(1)の解答(全部の個数を求める)
例題2の数列は、200から7を次々と引いていった等差数列です。しかし、例題1の「加える数」が「減らす数」になっているので、とまどうかもしれません。そこで、次のように、数列を逆順に並べてみましょう。
こうすれば、初めの数が3、加える数が7の等差数列と考えられます。
200が初めから数えて□番目にあるとすると、4+7×(□-1)=200です。したがって、□=(200-4)÷7+1=29となり、全部で29個の数を並べたとわかります。
初めの数が200、引く数が7の等差数列と考えて、200-7×(□-1)=4とするのはどうですか?
もちろん正しい式だよ。ただ、( )を外すと200-7×□+7になって、中学数学の正負の数を学んだ後でないと、-7×(-1)=+7になる理由がわからないんじゃないかな?
A-□=Bが□=A-Bになることを利用して、7×(□-1)=200-4にすれば、-7×(-1)=+7の計算は要らないですよね?
逆算(□を求める計算)が得意なら、そういう式変形をするのも有りだね。ただ、計算ミスをしないように注意する必要がある。逆順に並べる考え方は、計算に自信のない受験生におすすめなんだ。
(2)の解答(ちょうど真ん中の数を求める)
真ん中の数を求めるため、29÷2を計算すると、商が14、あまりが1です。この結果を図で表すと、次のようになります。
図より、ちょうど真ん中の数は初めから数えて15番目だとわかります。したがって、4+7×(15-1)=102が答です
等差数列の公式を導いてみよう
等差数列の公式は、ただ覚えるだけでなく、「どうしてそうなるの?」を理解するといいでしょう。そうすれば、試験本番で公式を忘れてしまってもあわてなくて済みます。
等差数列は高校数学でも登場します。そのときに、公式の成り立ちをしっかり理解した経験が必ず役に立ちます。
次の質問に答えましょう。(解答例は最後のページにあります)
① 等差数列は、どのような数列ですか。
② 等差数列のn番目の数を考えるとき、どのようなことを考えますか。
③ 数列の問題を考えるときに大切なのはどのようなことですか。
④ 等差数列の和を求めるとき、どのようなことをするといいですか。
コメント