中学受験算数の「速さと比」の単元には、歩数と歩幅の問題があります。「太郎君が4歩で歩く道のりを次郎君は5歩で歩き……」のような問題です。
多くの受験生はこのタイプの問題を苦手とします。問題集などの解説でいきなり歩幅を求める計算が始まるからです。
今回は、歩数と歩幅の問題を線分図を描きながらわかりやすく解説します。
一定のものを探そう
次の【例題】を考えてみましょう。
歩数と歩幅の問題では、最初に道のり・速さ・時間のうち、一定のものを探すことが大切です。
1文目は、「、」の前後で一定のものが変わります。
「太郎君が4歩で歩く道のりを次郎君は5歩で歩き、」では、2人が歩く道のりが一定です。一方、「太郎君が4歩歩く間に次郎君は3歩歩きます。」では、2人が歩く時間が一定です。
わかることを線分図に表そう
一定のものを見つけた後は、わかることを線分図に表します。
1文目の「、」の前が【図1】で、「、」の後が【図2】です。線分図の長さは道のりを表します。
線分図から歩幅を求めよう
【例題】で求めるべきものは、速さの比です。
比を求めるので、2つの線分図を見ながら、次の関係を利用することを考えます。
- 道のりが一定(同じ) → 速さの比と時間の比は逆比
- 速さが一定(同じ) → 道のりの比=時間の比
- 時間が一定(同じ) → 道のりの比=速さの比
【図1】は、道のりが一定なので、時間の比を求められれば速さの比も求められます。しかし、【図1】や【図2】から時間の値(比)を求めるのは難しいと思います(逆比を使うため)。
そこで、【図2】に注目します。こちらは、時間が一定なので、道のりの比(=線分の長さの比)がそのまま速さの比になります。ここで必要となるのは、太郎君と次郎君の歩幅(一歩で進む道のり)です。なぜなら、「歩幅×歩数=歩いた道のり」だからです。
歩幅が60cmの人が10歩歩けば、60×10=600cm(6m)の道のりを歩いたことになるのね!
もう一度【図1】を見ましょう。こちらは、道のりが一定なので、太郎君と次郎君の歩幅を求められます。ただし、道のりがわかっていないので、自分で道のりを決めてしまうのがポイントです。
たとえば、【図1】の道のり(線分全体の長さ)を太郎君と次郎君の歩数の最小公倍数である20にすると、太郎君の歩幅は20÷4=5、次郎君の歩幅は20÷5=4となります。
道のり(線分全体の長さ)は好きな数字にしていいんですか?
どんな数字でも構わないよ。
問題集の解説では、道のりが1になっていることが多いんですが……
道のりを1にしてもいいんだけど、歩幅が分数になって、わかりにくくなるよ。
求めた歩幅と【図2】から、一定の時間で太郎君が歩いた道のりは5×4=20、次郎君が歩いた道のりは4×3=12です。
時間が一定のとき、道のりの比=速さの比なので、太郎君の速さ:次郎君の速さ=太郎君が歩いた道のり:次郎君が歩いた道のり=20:12=5:3です。
いきなり計算するのはやめよう
歩数と歩幅の問題では、いきなり計算で歩幅を求めようとしても、わからなくなってしまいます。一定のものを探して、線分図などにわかることを表してみることが大切です。
次の質問に答えましょう。(解答例は最後のページにあります)
① 歩数と歩幅の問題では、最初に何を探しますか。
② 道のりがわかっていない場合はどうしますか。
コメント
簡単だった。
簡単に解けたようで、良かったです!