「めんどくさい」が口癖の子供は優等生候補?楽したい心理と向き合う

みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記 教育論

「めんどくさい」という言葉を嫌う人たちがいます。

僕も、「めんどくさい」と言って怠ける人は嫌いですが、「めんどくさい」という言葉自体は嫌いではありません。むしろ、「めんどくさい」は僕の口癖でもあります(笑)

そんな僕ですから、「そもそも『めんどくさい』は悪者なのか?」と疑問に思うわけです。本記事では、この疑問に対して、僕なりの考えを示したいと思います。

1800通以上のテーブル定義書をどう作る?

以前、僕はIT業界で働いていて、ある現場へと派遣されました。そこで最初に与えられた仕事が「テーブル定義書」を作成することでした。

ITの世界では、膨大なデータを効率よく蓄積したり検索したりするために「データベース」という仕組みを使います。データベースには、各データを適切に保存するための「テーブル」がいくつも存在します。そのテーブルの詳細が書かれているのが「テーブル定義書」です。

さて、僕が任された任務では、対象となるテーブルの数が1800以上でした。大量のテーブル1つ1つについてテーブル定義書をチマチマ作っていたら、時間がかかり過ぎます。しかも、作った後にレイアウト変更を命じられたら、手作業で全て修正することになります。

これはもう、めんどくさい!

というわけで、上司のSさんに相談したところ、「テーブル定義書をいちいち作るのはめんどくさいから、Excelを使って自動生成ツールを作って」というアドバイスをいただきました。

そこで僕は、Excel VBAというプログラミング機能を使って、テーブル定義書自動作成ツールを作りました。ツールを実行したら、1800通以上のテーブル定義書がたった10分で完成!レイアウト変更もツールの該当箇所を修正するだけ!僕の作ったツールはとても便利でした。

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無駄な「努力」を美化する日本人

僕にアドバイスをくださったSさんは、「手作業でやるのがめんどくさいから」と言って、何でもかんでも自動化してしまう強者でした。IT業界では、Sさんのような人が「仕事ができる人」なんですね。

Sさんみたいに、「めんどくさい」を動機として効率化することは、生産性をアップする上で大切です。そして、このことは勉強にも共通します。

たとえば、「3日後までに100個の漢字を覚える」という宿題があるとします。ほとんどの生徒たちは「めんどくさい」と感じるはずです。そこで、彼らが取る行動は概ね次の3通りに分かれます。

  1. 100個の漢字を毎日10回ずつ書いて練習する。
  2. 「もう無理!」と諦めて、何もしない。
  3. 「どうやったら覚えられるか?」を考えて、工夫しながら覚える。

これらの行動のうち、2は論外です。何もしなければ怒られるだけですし、生徒自身のためにもなりません。

一方、多くの生徒たちは、「めんどくさい」と思いながら1を行います。そして、教育者たちは、こういう生徒を「努力している」と評価します。

しかし、僕は、1もダメだと思います。なぜなら、1のやり方では、ほとんどの生徒たちは3日後までに100個の漢字を全て覚え切れないからです。100個の漢字を毎日10回ずつ書くことは単なる作業です。「暗記する」という目標を達成する上では非効率的です。

1のやり方をする生徒たちは何も考えていません。そのくせ、「自分は頑張った」「自分は勉強した」と思い込みます。だから、多大な労力を費やしたにもかかわらず結果が出なくて、「何で?」となってしまうんですね。

日本は、1のような無駄な「努力」を美化しがちです。その根本には、漢字練習帳を使った漢字練習など、非効率的なことを押し付ける教育があります。こうした教育を受けた子どもたちが大人になって、日本企業の生産性を落としているのです。

「めんどくさい」は効率化の動機

話を元に戻すと、生徒たちには、「1はめんどくさいから、もっと良いやり方はないかな?」と考えて、3にたどり着いてほしいですね。3で行う工夫としては、具体的に次のような方法が考えられます。

  • まずは全ての漢字をテストして、書けるものは暗記対象から外す。
  • 部首ごとに漢字を分類して、それらをまとめて覚える。
  • 覚えられない漢字だけ別の紙に書いて、視界に入りやすいところに貼る。

こういう工夫が勉強では大事です。そして、工夫の出発点には、ほとんどの場合、「めんどくさい」という感情があります。

ITの仕事に限らず、勉強においても、「めんどくさい」は効率化の動機になり得ます。したがって、「めんどくさい」は決して悪者ではありません。

それにもかかわらず、「めんどくさい」にマイナスイメージがつきまとうのは、「めんどくさい」と言って何もしない怠け者が多いからです。「めんどくさい」と思うこと自体が問題なのではなく、「めんどくさい」をやらない言い訳にすることが大問題なんですね。

以上をふまえて、僕は、「めんどくさい」と言う生徒への接し方を変えています。

  • 「めんどくさい」と言って何もしない生徒=単なる怠け者 → 怒る
  • 「めんどくさい」と言って工夫する生徒=物事を効率化できる賢い生徒 → 褒める

「めんどくさいと思うなら、めんどくさくなくなるように頭を使え!」と僕は生徒に言います。これが、IT業界で僕が学んだ大切な視点です。

トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ

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