中学数学では文字式を扱います。そうすると、算数とは異なり、計算の至るところでカッコが登場します。たとえば、3(a-5)のような式が典型的ですね。
さて、このカッコに関して、多くの中学生たちが「ケアレスミス」を連発します。その根本原因と対処法について紹介します。
“カッコのつけ忘れ”を軽く考える生徒たち
【問題1】で生徒たちがやらかすのは、次のような「ミス」です。
A=2x-7を3A-5に代入して、
3×2x-7-5
=6x-12
これは、いわゆる“カッコのつけ忘れ”ですね。
正しくは、2x-7にカッコをつけて代入しなければなりません。というわけで、正解も示しておきますね。
A=2x-7を3A-5に代入して、
3×(2x-7)-5
=6x-21-5
=6x-26
カッコをつけ忘れた結果出てきた答と正解は全く違っています。しかし、この問題で間違った生徒たちの多くは、“カッコのつけ忘れ”を軽く考え、「またカッコをつけ忘れちゃった。ケアレスミスだから、次から気を付ければいいや!」と言います。
“カッコのつけ忘れ”はなぜ生じるの?
“カッコのつけ忘れ”を「ケアレスミス」と捉える生徒たちは、「そもそもカッコって、どういうときにつけるの?」と質問されても答えられません。
それもそのはず、彼らは「何となく」カッコをつけたりつけなかったりしているからです。彼らの中には、カッコを単なる「飾り」だと思っている生徒すらいます。
とはいえ、彼らの「何となく」を一概に責めるわけにもいきません。
学校の授業などでは、「2(3x+4)では分配法則を使って、2を3xと+4にかけて……」のように、カッコの外し方はしつこく教えます。しかし、カッコのつけ方は明確に教えません。生徒たちは「どういうときにカッコをつけるのか?」が分からないまま、感覚的にカッコを使い続けます。結果として“カッコのつけ忘れ”が生じるます。
カッコはどういうときにつけるの?
“カッコのつけ忘れ”は「ケアレスミス」ではなく、根本的で致命的な間違いです。カッコを使いこなせない生徒たちは、単純計算ができなくなります。
では、文字式の計算において、どういうときにカッコをつけるのでしょうか?
「カタマリにカッコをつける」とおぼえておくといいでしょう。「カタマリ」というのは具体的に、「代入すべき式のカタマリ」「分子や分母のカタマリ」「底辺や高さのカタマリ」などです。
代入すべき式のカタマリ
【問題1】では、Aという1文字が2x-7という2項の文字式に置きかえられます。つまり、代入する文字式をカタマリと捉えてカッコをつけるということです。
分子や分母のカタマリ
【問題2】では、分子が2項の文字式なので、3x+2をカタマリと捉えます。そして、(3x+2)÷5のように、式変形のときに分子のカタマリにカッコをつけます。
【問題3】のように、分母も2項の文字式になっている場合、分母もカタマリとして考えましょう。式変形は(3x+2)÷(5x-3)ですね。
底辺や高さのカタマリ
この図は、底辺が2項の文字式なので、x-5をカタマリと捉えます。そのため、三角形の面積は(x-5)×3÷2です。
この図は高さも2項の文字式なので、その高さもカタマリとして考えます。三角形の面積は(x-5)×(y+1)÷2ですね。
このように、2項以上の文字式を面積などの公式に代入しなければならない場合、その文字式にカッコをつけます。
「カタマリ」を意識して“カッコのつけ忘れ”をなくす
ここまでで見てきたように、何らかの意味のまとまりがある文字式は「カタマリ」です。5x+yを5xとyに分けられない場合、5x+yを「カタマリ」と考えます。
このような「カタマリ」を意識し、“カッコのつけ忘れ”をなくしていくことが、理系科目を勉強する上ではとても大切です。
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