偏差値アップに必要なのは努力・量・時間ではない!結果が出る勉強法で大切なのは?

偏差値アップに必要なのは努力・量・時間ではない!結果が出る勉強法で大切なのは? 勉強法

受験生とその保護者は、偏差値アップをはじめとした成績向上を望んでいます。そのために彼らは「努力が必要だ」と思い、その努力を具体的な数値で確認できる課題の量や勉強時間などに拘ります。

しかし、僕自身の受験生時代や家庭教師としての指導経験をふり返ると、偏差値アップに必要なのは努力でも量・時間でもありませんでした。結果が出る勉強法で大切なのは「気付き」です

僕のこれまでの経験を具体的に紹介しながら、「気付き」の重要さについてお伝えします。

センター試験の英語で8割を下回らなくなった理由

高校時代の僕は英語が苦手で、センター試験(現在の大学入学共通テスト)の英語は200点満点中110点台(5割後半)でした(当時はリスニングがありませんでした)。

その後予備校に通いますが、浪人時の夏休みまで英語を克服できず、センター試験タイプのマークシート試験は5~7割をうろうろしていました。予備校の講師に「英語が苦手なので、どうしたらいいですか?」と相談して、パラグラフリーディングなどのテクニックも教わりましたが、全く効果はありませんでした。

しかし、転機が訪れます。夏休みの講習で英語のマークシート試験を解いているとき、ふと「気付いた」のです。「本文に書かれていることに合致する選択肢を選べば正解する」と。

このときまでの僕は、英語のマークシート試験では、「どうせ本文を完璧に理解できない」という理由から、本文と選択肢の照らし合わせをていねいに行っていませんでした。というか、本文を見直したくなかったため、「きっとこの選択肢が正解だ」と自分に言い聞かせて、選択肢だけを見て選んでいました。

一方、夏休みの講習で気付いてからは、「本文中のこの部分に合致するからこの選択肢を選ぶ」と言えるように、正解の選択肢の根拠を本文中から探して線を引くようにしました。これをやり始めてから、英語のマークシート試験では、模試でも過去問でも、8割(160点)を下回らなくなりました。浪人時のセンター試験では、英語が一番点数がよく、180点台でした。

僕は高校時代から英語が大嫌いになり、ろくに勉強していませんでした。浪人時も現役時とさほど変わらず、予備校で予習範囲として指定されている教材に取り組むだけで、それ以外は何もしていません。英文読解の技術や英文法などもデタラメで、中学時代と同じく、単語や英文をひたすら暗記していました。

それでも、センター試験レベルの英語のマークシート試験では点数が大きく伸びました。努力したわけでもなければ、大量の問題を解いたり多大な時間をかけたりしたわけでもありません。本文と選択肢の照らし合わせをすればよいことに「気付いた」だけです。

このように、「気付き」によって、偏差値や点数が大幅にアップします。

“This is a pen.” を1年半「わからない」と言い続けた生徒はどうなった?

だいぶ前ですが、小学5年生に英語を教えたことがあります。僕が「”This is a pen.”は『これはペンです。』という意味だよ」と教えると、彼は「わからない」と言います。be動詞の役割や this の意味などを教わっているのですから、「わからない」わけがありません。しかし、彼は1年半ずっと「わからない」と言い続けて、英語を拒否していました。僕と母親に激怒されても「わからない」ままでした。

しかし、彼はあるときふと「やる」と言って、”This is a pen.”を覚えました。そこから彼はあっという間に英語ができるようになりました。中学進学後も常に英語の評定は5で、英検準2級にも合格しました。しかも、彼は英語だけでなく、他の科目も比較的成績がよかったので、推薦入試で第一志望の都立高校に合格しました。

彼は何かのきっかけでやる気になったのでしょう。同時に、「考えてもわからないことは暗記すればよい」と「気付いた」ようです。暗記だけなら、回数をこなせばできるようになります。だから、中学進学後の彼は「暗記だけなら簡単」と言って、英語以外の科目も積極的に暗記し、好成績を維持したのです。

他にも、高校受験生に英文法を教えていたとき、彼が「英文法には規則性があるんですね」と感心する場面がありました。その直後の模試で英語の偏差値が5上がりました。英文法の規則性に注目すれば問題を解けると「気付いた」ことが偏差値アップにつながったのです。彼の保護者から「みみずく先生はあまり勉強させないのに、どうして成績を伸ばせるんですか?」と驚かれました。

大学受験生に現代文を教えたときも、体験指導で僕が「本文のここに正解の根拠が書かれているよね」と伝えたら、彼は目から鱗が落ちたような表情をしました。直後の模試で国語の偏差値が10上がりました。彼は、自分が本文を確認していなかったことに「気付いた」のです。

ここまでで紹介したのはどれも「努力が実った」という話ではありません。重要なことに「気付いた」だけです。しかも、その重要なことは、各科目の知識や技術ではなく、「本文を確認する」「わからないことは暗記する」「規則性に注目する」「共通点や相違点を意識する」など、全科目、さらには人生全般において大事なことばかりです。

学生時代にこういう「気付き」がどれくらいあるかで、勉強で困らなくなるだけでなく、勉強以外の活動でも活躍する機会が増えます。

長時間拘束・大量課題の大手塾に通うと「気付き」にくくなる

僕の家庭教師指導では「気付き」を重視します。そのため、たった1問に30分、1時間、……とかけて、生徒自身に「気付かせる」ことがあります。

生徒や保護者からすれば、「無駄なことをしている」と感じることもあるようです。しかし、この「無駄」の中で「そういうことか!」と重要なことに「気付いた」生徒は、しばしば成績が劇的に向上します

逆に、僕が一方的に教えるだけだと、何度教えてもなかなか定着しないことが少なくありません。これは、塾通いする生徒たちにも当てはまる落とし穴です。長時間拘束・大量課題が常態化している塾では、生徒は一つ一つのことをていねいに検討する時間がないまま、とにかくこなすことに集中せざるを得ません。そうすると、「気付く」ことができなくなります

もっとも、長時間拘束・大量課題の塾に通いながら、いろいろ「気付いて」成績を伸ばしていく生徒もいます。しかし、こういう生徒は全体の何%でしょうか?よほど優秀でない限り、とにかくこなす中で「気付く」のは難しいのが現実です。

塾講師や家庭教師の多くは「試行錯誤が大事」と言います。試行錯誤を通して「気付く」ことを重視しているのでしょう。しかし、生徒に好き勝手に試行錯誤させるだけでは、「気付く」とは限りません。多くの生徒たちは、デタラメに数値を当てはめたり答えを選んだりして、その繰り返しの中で正解すれば、それで終わりにしてしまいます。そこには「気付き」がありません。

生徒に「気付かせる」ための仕掛けを指導者が用意しない限り、「試行錯誤しているうちにできるようになる」だけでは、長時間拘束・大量課題の塾と同じです。さらには、「試行錯誤」を口実に放置すると、もとから能力の高い生徒とそうでない生徒の差がどんどん広がります。

僕の家庭教師指導では、一方的に教え込むのではなく、また、「試行錯誤」という名の放置プレイでもなく、生徒が自分で「気付く」ように仕掛けることを重視しています。生徒に努力や量・時間を求めるわけではありません。この指導方針を理解してくれる生徒や保護者との出会いに期待します。

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