教育掲示板などには、子供が「反抗期」で、もしくは「勉強嫌い」で、親の言うことを聞かないという悩みが散見されます。これらの悩みを読む限り、「子供に問題がある」という印象を受けます。しかし、本当にそうなのでしょうか?
子供の成長過程に反抗期はありますし、子供の多くは遊びを優先したくて勉強を嫌がります。一方で、勉強に限定すれば、子供が親のすすめる勉強をすべて拒否したり、「死ね、ババア!」レベルの暴言を吐いたりするのなら、その「反抗期」や「勉強嫌い」は保護者に原因があるのかもしれません。
子供が極端な「反抗期」や「勉強嫌い」になる原因を分析し、解決のヒントを紹介します。
かかる時間と得られる結果はつりあっているか?
保護者の多くは「子供には勉強習慣をつけてほしい」と願い、これを実現するための勉強を子供にいろいろ提案しがちです。
勉強習慣といっても、「帰って来たら、遊びに行く前に宿題を終わらせなさい」といったレベルなら、何も問題ありません。むしろ、宿題を優先的に終わらせる習慣は、小学生のうちにきっちりしつけておくのが好ましいです。
一方、学校から出される宿題以外に、保護者が自分で選んだ問題集を子供に毎日解かせるのはどうでしょうか?
子供が極端に計算が苦手、漢字が苦手などの場合、そこを補強する目的で学校のドリルやワーク以外に取り組ませるなら問題ありません。この取り組みの結果、子供が学校のテストで点数を取れるようになったり、先生から褒められるようになったりすれば、子供も嬉しいでしょう。
しかし、保護者が「将来のため」などと考えて難しい問題集を子供にやらせ、それをやることに子供が1時間も2時間もかかるような場合、子供がこの勉強を嫌がるのは当然です。しかも、子供が親の言う通りに勉強しても、学校の成績は悪いまま、先生に叱られるままなら、子供の拒否感や嫌悪感が強まります。
保護者は、何らかの勉強を子供にやらせる場合、その勉強にかかる時間と得られる結果がつりあっているかを考えるべきです。時間がかかるのに、好ましい結果を何も得られないのなら、その「勉強」にそもそも意味はありません。保護者が無駄で無意味な「勉強」を子供に押し付け続けた結果、子供が極端な「反抗期」や「勉強嫌い」になると考えられます。
結果が出なくても勉強習慣をつけることが大事?
「結果が出なくても勉強習慣をつけることが大事」と考えて、子供が机に向かう時間を長くしようとする保護者がいます。気持ちはわかりますが、僕はこれに反対します。
勉強したからといってすぐに結果が出るわけではありません。「継続は力なり」に期待して、子供に勉強習慣をつけさせようと考えること自体はまちがっていないと思います。子供が自ら望んで机に向かう分には、それも否定はしません。
しかし、子供に1時間も2時間も机に向かわせて、それを何週間か続けたのに、好ましい結果が全く出ていないのなら、保護者はやり方を改めた方がよいでしょう。ある程度の時間をかけても結果が出ないのは、根本的にやり方をまちがっている可能性が高いからです。
また、すぐに結果が出ないことが予想されるならば、子供がそれにかける時間を短くするか、プロに子供を預けましょう。家庭で子供に何かをやらせるのは1日10~15分が限度です。もしくは、子供を塾などに通わせて、将来の結果がある程度保障される勉強をさせるべきです。保護者が自分の考える「正しい勉強」を押し付け続けると、親子関係がこじれるきっかけになります。
そもそも論として、小中学生が学校の勉強レベルを習得するのに長時間かけなければならない状況がおかしいといえます。
特に小学生の保護者は、学校の授業以外の勉強時間が短くなる勉強法を子供に提案するとよいでしょう。僕の家庭教師指導でも、中学受験しない小学生に出す宿題は、1科目につき1日10~15分で終わるようにしていました。これでも学校の勉強の予習復習なら十分です。
小学生でも中学受験するとなると、どうしても勉強時間が長くなりがちです。しかし、塾に通う時間以外に何時間も家庭学習が必要ならば、やはり勉強法を根本から見直す必要があります。
小学生に家庭学習の習慣をつけさせたい保護者は、結果を意識した上で、時間をかけずにその結果を達成できる勉強法を模索するとよいでしょう。
たとえば、子供に毎日音読させるなら、数分程度で読める文章を用意し、子供が正しく読めなかった箇所を、正しく読めるまで何度か読ませます。このとき、子供ができるようになったことをしっかり伝えるとよいでしょう。「スラスラ読めるようになったね」「読み飛ばしがなくなったね」「気持ちを込めて読めるようになったね」など、どんな些細なことで構わないので、子供が「できた」という結果を実感できる声掛けが大事です。
常に改善を意識して、結果の出る方法を模索する
保護者は、子供ができないことを気にするからこそ、ついつい長時間の勉強を子供に求めます。しかし、子供ができないことの根底には、保護者が想定していない原因があることも少なくありません。そうであれば、量をこなしたり時間をかけたりしても、できるようにはなりません。(多くの場合、重要なことに気付くことでできるようになります。具体的な事例は過去記事を参照してください)
また、子供ができないことは保護者もできていないことが多々あります。保護者は自分ができないことを子供にできるようにさせようとすると、見当違いのことを考えて、無駄で無意味な「勉強」を子供に押し付けてしまいがちです。
保護者は、子供ができないことを発見したら、「時間をかけずにできるようにさせられないか?」を考えると同時に、「子供ができないことを、そもそも自分はできるのか?」と自問してみるとよいでしょう。その上で、「自分の手に負えない」と感じたら、早めに誰か(できれば教育や育児のプロ)に相談することをおすすめします。
子供の極端な「反抗期」や「勉強嫌い」は、子供が保護者、場合によっては全ての大人を信頼していないことの現れです。そうならない工夫が保護者には求められます。
「できない」ことを一つ一つ確実にできるようにすること、すなわち、常に改善を意識して、結果の出る方法を模索することこそ、子供に身につけさせるべき勉強習慣です。こうした勉強習慣がついた子供は、少なくとも勉強では、極端な「反抗期」や「勉強嫌い」にはなりません。
コメント