浮力が物体の体積に比例するのはなぜでしょうか?理由を考えてみたいと思います。
浮力が生じる理由
1cm3の立方体の木片が、下図のように水に沈んでいる場合を考えましょう。
このとき、木片に働く力を図示すると次の通りです。
水が面を押す力は水深に比例すること、この力はあらゆる方向からはたらくことの2点を踏まえて矢印の向きと長さを調整しました(矢印が長いほど力も大きい)。
水平方向の力は、お互いに反対向きで大きさも等しいため、打ち消し合います(木片に影響を与えない)。
一方、垂直方向の力は、木片の上面にはたらく力(下向きの力)よりも下面の力(上向きの力)の方が大きくなっています。したがって、上向きの力は、下向きの力の分だけ打ち消されますが、完全には打ち消されません。打ち消されずに残った力が浮力となります。
浮力=上向きの力-下向きの力
実際の数値を使って浮力を計算してみます。まずは、下向きの力を求めます。
下向きの力は、木片の上面に乗っている水の重さ(重力)です。この重さは、“水の体積×水の密度”で計算します。
同様に、上向きの力も求めます。ポイントは、木片を水に置き換えて考えることです。
(2)から(1)を引くと浮力を求められます。
(2) – (1)
= 11cm×1cm2×1g/cm3 – 10cm×1cm2×1g/cm3
= (11cm – 10cm)×1cm2×1g/cm3
= 1cm×1cm2×1g/cm3
= 1cm3(木片の体積)×1g/cm3(水の密度)
以上の計算から、浮力は水深の影響を受けず、物体の体積にのみ比例することが明らかになりました!!
というわけで、水の密度を“1g/cm3”、重力の単位換算を“100g=1N”とするとき、1cm3の物体にはたらく浮力は1g=0.01Nです。cm3単位で体積を考えるとき、“浮力(N)=体積(cm3)×0.01”という公式が成り立つのです。
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