分数に書き順はあるの?手順の統一によって「勉強が苦手」を解消する

みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記 生徒・保護者

そもそも分数に書き順はあるのでしょうか?

この疑問について、一般的な見解を紹介すると同時に、「勉強が苦手」を解消する方法について考えます。

分数の書き順に正解は無い

東京書籍『新しい算数』のQ&Aコーナーには、次のように書かれています。

ただし、以下に示されている筆順は、あくまで筆順がわからないことによる児童の混乱を防ぐためのものであり、単なる一例にすぎません。必ずこの通りに書かねばならないというものでも、そのように指導しなくてはならないというものでもありません。

(中略)

……中の線を最初に書く[3]の書き順(筆者注:中の線→分母→分子)であれば、[1] (筆者注:分母→中の線→分子)や[2] (筆者注:分子→中の線→分母)と比べて前後の数や記号などとのバランスを考えやすく、かつ誤解も生じにくいと考え、[3]の書き順を示すことにしました。(引用元はこちら

こちらの説明によると、分数の書き順に正解があるわけではなく、「混乱防止」「バランスの問題」などを考慮して教科書会社が教科書に掲載しているに過ぎない、ということです。

世界を見わたせば、分数を分母から書くか分子から書くか、国によって違います。\(\frac{3}{5}\)は、日本では「5分の3」と言いますが、英語では”three‐fifths”と言います。日本語と英語では、分母と分子の順番が逆転してしまいます。だからこそ、分数の書き順に正解は無いのでしょう。

分数は分母から書きなさい

「分数に書き順はあるの?」という疑問に対する一般的な回答は上記の通りです。その上で、「分数は分母から書いた方がいい」と僕は考えます。日本で算数・数学を学ぶ以上、日本語の分数の読み方と分数の書き順を対応させた方が直観的に分かりやすいからです。

もっとも、生徒が僕と異なる書き順で分数を書いていても、僕は「ダメ!」と言いません。生徒が正しく分数を理解し、正確に計算できていれば、分数の書き順はどうでもいい、と思っています。

しかし、算数(数学)が苦手な生徒たちに対しては、「分数は分母から書きなさい」と言います。それには、次のような理由があります。

算数(数学)が苦手な生徒たちの多くは、分数の書き順がかなり適当です。たとえば、\(\frac{3}{5}\)を書く場合、あるときは5から先に書き始め、別のときには3から先に書き始めます。「分母と分子のどちらから先に書き始めるか?」について、彼らの中ではルールが徹底されていません。\(\frac{3}{5}\)を3から書いた後、「3分の5」と言い放つことすらあります。当然、その先の計算で混乱して正解を出せません。

彼らに対しては、たとえ「正しい分数の書き順」が存在しなくとも、「分数は分母から書く」を徹底しています。そうしないと、彼らはまともに分数計算すらできないからです。

同じことは同じ手順で行う

算数(数学)に限らず、勉強が苦手な生徒たちには、「同じことをしているのに毎回手順が異なる」という共通点があります。

漢字の書き順はメチャクチャ、作文でも同じ言葉を漢字とひらがなの両方で表記し、筆算も右に書いたり左に書いたり下に書いたり……

彼らは、規則性のないデタラメなやり方をしているので、同じことを全く異なることのように錯覚して混乱します。

彼らに必要なのは、「同じことは同じ手順で行う」という意識です。その手順が正しいかどうかはとりあえず問題ではありません。手順の統一を徹底すること自体がとても重要で、この徹底によって「勉強が苦手」も解消されます。

手順の統一は社会人でも重要

手順の統一は、社会人になると更に重要です。会社などはマニュアルを用意して、社員の混乱を防ぎ、誰がやっても同じ結果を出せるようにしています。これは、手順の統一を徹底した例です。

とはいえ、あらゆる場面でマニュアルがあるとは限りません。こういうときこそ、自分なりに手順を決めて、毎回それに従って仕事をすべきです。手順の統一によって成果物やサービスの質が担保され、「仕事ができる」という評価も得られます。

トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=ゆうき

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