私は、小学生や中学生に算数・数学を教える場合、生徒が書いた途中式や立式を細かくチェックします。
このとき、私がどこを気にするか、そして、どのようにアドバイスするかを紹介します。
途中式で数字の位置を変える場合
たとえば、生徒が次のように計算したとします。
上の計算では、5×3を先に計算したのはよいのですが、次の式で7の位置が変わっています。だから、私は生徒に次のように式を書き直させます。
7+15でも15+7でも、計算結果は同じです。しかし、これは足し算だからで、引き算の場合、7-15と15-7は全く異なる計算結果になります。
そもそも、7の位置を書き換えてしまう生徒のほとんどは、「計算結果が同じになるから、7を後ろに書いてもOK」と考えていません。先に計算したのが5×3だから、先に15を書き、付け足しとして+7を書きます。
一部の指導者は「結果が同じになるなら、途中式を気にする必要はない」と主張します。
私は彼らの言い分を否定しません。しかし、付け足しとして+7を書く学力層の生徒たちを何度も見てきた経験上、途中式が気になる場合は立ち止まって、生徒に「途中式で数字の位置を変えたのはなぜ?」を聞いています。
生徒の答えはさまざまですが、いずれにしても、私は生徒に「いじる必要のない部分はそのまま書き写そう」とアドバイスします。
公式の順番通りに代入しない場合
中学生が次の【問題1】を解く場合も、私は生徒がどのように立式するかをチェックします。
【問題1】傾きが3の直線が(5、7)を通るとき、この直線の式を求めなさい。
生徒が7=5×3+bと書いた場合、私は生徒に「どうしてそう書いたの?」と聞いてみます。
というのも、生徒は一次関数の式y=ax+bに傾きa=3、x=5、y=7を当てはめたと考えられますが、axの箇所でaとxの値を逆に書いているからです。
これも「結果が同じになるなら、気にする必要はない」と言われそうです。
しかし、生徒がa=3、x=5ではなく、a=5、x=3と取り違えた可能性もある以上、私はいちいち確認します。
こういう取り違えをしがちな生徒は、次の【問題2】でつまずきます。
【問題2】切片が3の直線が(5、7)を通るとき、この直線の式を求めなさい。
具体的には、7=5×x+3という式を立ててxを求めた後、「あれ?」となります。
これを防ぐため、私は生徒に「公式に数字を代入する場合、公式の順番通りに代入しよう」とアドバイスします。
位置や順序に無頓着な子どもの弱点
位置や順序に無頓着な子どもの中には、たとえば次の2文を区別できない子どももいます。
- 12個は4個の何倍ですか。
- 4個は12個の何倍ですか。
彼らは、割合の概念や日本語能力のさらにその手前で、そもそも区別できないから、どちらも「12÷4=3(倍)」と答えます。
彼らは「ルール通りに行う」「まねをする」が苦手です。
本人は「ルール通りに行っている」「まねをしている」つもりでも、実際はできていないため、「いい加減にやっている」と評価されます。叱られて、「ちゃんとやっているのに、どうして?」と悩むこともあります。
こうした弱点を改善していくのに有効なのは、位置や順序を意識させることだと思います。
上の2文ならば、「12と4の位置が違うから、意味が違うのでは?」と立ち止まれるかどうかが大切です。
足し算やかけ算では、2つの数字のどちらを先に書いても計算結果は同じです。
私は「足し算やかけ算に順序がある」と主張するつもりもありません。
しかし、生徒の弱点をあぶり出し、それを改善させるため、彼らが書いた途中式や立式を細かくチェックしています。

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