大手予備校の有名講師の国語の授業ならば受講する価値があります。
一方、中学受験生や高校受験生をターゲットにした大手塾の国語の授業には、それを受講するメリットがあるのでしょうか?
塾の国語の授業はどのような内容か?
これまでに「国語の偏差値がいまいちで……」という受験生とその保護者にたくさん出会ってきました。彼らに話を聞いてみると、彼らが通っている塾の国語の授業がどうも機能していないようなのです。
具体的に生徒たちからヒアリングした授業内容のいくつかを紹介します。
- 生徒が解いた問題を先生が個別に丸付けする。
- 先生が文章内容を解説しながら問題を解いていく。
- 先生が本文の大事なところに線を引かせて、それをもとに問題の解説をする。
- 先生が問題を解く上で根拠となる箇所を示して、生徒に問題を解かせる。
役に立たない国語の授業の問題点3選
一般的な塾の授業の問題点を一つずつ検討していきましょう。
1. 問題の解き方を教えない
このタイプのいわゆる「個別指導」は、先生が問題の解き方を教えるでもなく、本文の解説をするでもなく、生徒に問題を解かせてそれで終わりです。丸付けの際、間違った問題については先生が簡単に解説し、それをヒントに生徒が解き直す、というスタイルの授業です。
当然、生徒は問題の解き方が分かりませんし、それどころか、本文内容を理解できているのかどうかすら怪しいですね。「演習授業」といえば聞こえはいいですが、実質は「放置プレイ」に毛が生えたレベルです。論外!
2. 本文内容の解説に終始する
これはよくあるパターンの授業ですね。先生が黒板にでかでかと本文を図解し、雑談も交えながら、面白おかしく授業を展開します。それを聞いた生徒たちは分かった気になるようです。が、実際に模試を受けてみると、あら不思議!他の科目とは比べ物にならないくらい低い偏差値!(笑)
このタイプの授業が「当たり前」だと思っている生徒たちに僕は質問してみます。
「君は、塾の国語の授業で何を習っているの?」
生徒たちは、困った表情で首をかしげるだけです。それはそうでしょう。このタイプの国語の授業は、学校の国語の授業と根本的には同じなのですから。
本文をいくら丁寧に解説されたところで、本番の入試や模擬試験で再現できるような解法は身に付きません。その事実が模試などの結果に如実に表れるのです。
3. 「大事なところ」や「根拠」の見つけ方を教えない
いくらかマシなタイプの授業です。これらを精密にしていけば、大手予備校講師の授業と並ぶ授業になるはずです。が、現実問題として、中学受験生や高校受験生が通う大手塾ではそうなっていません。
このタイプの授業を受けている生徒たちに、僕は次の質問をしています。
「『大事なところ』や『根拠』を先生はどうやって見つけているの?」
生徒たちは「分かりません」と即答します。それもそのはず、先生は鮮やかに「大事なところ」や「根拠」を示しますが、「それらをどうやって見つけたのか?」という最も大事なポイントは謎(企業秘密?)のままだからです。
後出しジャンケンのような、「正解が先にありき」の解説であっても、国語を苦手とする生徒たちは「ああ、そこを見ればいいんだ!」と納得します。納得はするものの、いざ自分で他の問題を解こうとしたときに、「大事なところ」や「根拠」を見つけられずに撃沈します。
国語の試験は、「大事なところ」や「根拠」の見つけ方さえ分かれば楽勝です。逆に言えば、その見つけ方が分からなければ、いつまで経っても国語の試験で高得点を望めないわけです。
国語ができない生徒はどうすべきか?
ここまでで紹介してきた問題点まみれの国語の授業でも、教養を深めるつもりで受け続けるなら別に構いません。しかし、本番の試験で高得点を取りたいという受験生にとって、こんな授業を受け続けるのは、時間とお金と労力の浪費でしかありません。タイトなスケジュールで勉強しなければならない上位校志望者ならなおさらです。
入試本番で応用できない国語の授業を受けているひまがあるなら、そんな国語の授業は切って、別の科目に時間を割くべきです。その時間に漢字や英単語、社会や理科の用語の一つでも覚えた方が絶対に得点に結びつきます。
それにもかかわらず、多くの受験生は、不毛な国語の授業をダラダラと受け続けます。
どういう価値観で受験に臨むかについては生徒や保護者の自由です。しかし、国語の授業だけは、現状を冷静に見極めてほしいと思います。大量に文章を読んでも、むやみやたらに問題を解きまくっても、本文内容の解説に終始する授業を受け続けても、国語の成績は絶対に上がりません。
そんなことに時間とお金と労力をつぎ込んだ挙句、最終的に志望校に不合格になっては、悔やんでも悔やみきれないでしょう。
トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=Max_Ezaki 河村友歌 大川竜弥
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