都立高校入試社会の歴史分野では、近現代史が必ず出題されます。そのため、受験生は、明治維新から第二次世界大戦前までの近代と、第二次世界大戦後の現代に起こった重要な事件を時代順に理解しておく必要があります。
本記事では、近現代史を勉強するときのコツをお伝えします。
基本的な近現代史の知識を問う問題
次の問題は平成27年度の大問3[問4]です。
「国際関係の変化が我が国の食生活にも大きな影響を与える中で 政府は国民の食生活に大きく関わるようになった。」とあるが 次のA~Dは、明治時代から現代にかけての食生活に関連した出来事、政府と国民の食生活との関わりについて述べたものである。時期の古いものから順に記号を並べてあるのは、下のア~エのうちのどれか。
A 国際社会に復帰する中で、高度経済成長による所得水準の向上によって、食の洋風化が進み、米が生産過剰となったため、政府は、米の減反政策を行った。
B 日米間の貿易摩擦が拡大する中で、我が国の農産物輸入自由化が求められ、政府は、牛肉やオレンジ、小麦などを自由化した。
C 世界恐慌による深刻な不況と、豊作に伴う農産物価格の暴落及び都市の失業者の流入により、政府は、生活が苦しくなった家庭の児童を救済するため学校給食を奨励した。
D 欧米の文化が取り入れられ、都市を中心に伝統的な生活様式が変化し始める文明開化の中で、政府は、牛肉を取り扱う業者に営業許可証を与えた。
ア C→D→B→A イ B→A→C→D ウ D→C→B→A エ D→C→A→B
日本の食生活の歴史に見せかけて基本的な近現代史の知識を問う問題です。まずは、各選択肢から時代を表すキーワードを抜き出しましょう。
時代を表すキーワードを抜き出す
各選択肢の時代を表すキーワードは次の通りです。
A → 国際社会に復帰、高度経済成長
B → 日米間の貿易摩擦
C → 世界恐慌
D → 文明開化
Dの「文明開化」は明治維新関連のキーワードです。そのため、Dが先頭に来ます。次に、Cの「世界恐慌」は、第二次世界大戦勃発の原因なので、D→Cという順番が決定し、ウかエが正解の候補として残ります。
最後に、AとBを比べます。Aの「国際社会に復帰」というのは、第二次世界大戦の敗戦国である日本が、1951年、サンフランシスコ平和条約を締結して独立を回復したことです。
独立国となった日本がアメリカとガシガシ貿易を行なったていたら、いつの間にかアメリカが貿易赤字になっていた、というのがBです。このことからA→Bの順番が確定します。
以上より、正解はエです。
近現代史はストーリーとして流れを理解する
近現代史ではさまざまな事件や人物がたくさん登場します。それらの年号を暗記してもいいのですが、そんな面倒で詰まらないことをするよりも、ストーリーとして流れを理解するのがおすすめです。
「ストーリー」というのは、出来事の因果関係をはっきりさせることです。たとえば、今回の問題ならば、次のように考えます。
日本は欧米列強に追いつきたくて、明治維新後は帝国主義で突き進む(D)
→帝国主義の結果、数々の戦争に参加(C)
→調子に乗っていたら第二次世界大戦で惨敗
→敗戦国として苦労するが、サンフランシスコ平和条約でようやく国際社会に復帰(A)
→独立国として頑張っていたら、いつの間にかアメリカに貿易で勝っていた(B)
このようにザックリとストーリーを頭の中に思い浮かべられれば、出来事の並べ替えも恐れるに足りません。
重要なキーワードを過去問で確認しておく
都立高校入試社会では戦後経済史がよく出ます。どのようなキーワードが重要かは、都立高校入試の過去問が10年分収録されている「高校入試 虎の巻」で確認しておくといいでしょう。
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