小論文や意見文を苦手とする生徒は、「何を書けばいいのか分からない」と悩みます。本記事では、彼らの悩みを解決するための方法論をお伝えします。
「何を書けばいいのか分からない」の解決法
生徒たちが抱える問題点で多いのは次の2点です。
逆に、これらを解決できれば、「何を書けばいいのか分からない」という悩みはなくなります。では、どうやって解決すればいいのでしょうか?
小論文は結論から考えなさい!
1で行き詰る生徒たちに対しては「小論文は結論から考えなさい!」とアドバイスします。
文章を書くのが苦手な生徒たちは具体例や体験談から考え始めます。だから、まとまりのない文章になるのです。
たとえば、人権作文を書くとしましょう。
生徒たちは、「人権」というワードから、男女差別、障害者問題、いじめ……など、さまざまなことを連想します。
こうした例を思いつくままに書き連ねて、取って付けたような結論で結びます。
これでは、意味不明な文章になって当たり前です。
小論文(論理的に書く必要のあるほとんどの文章)を書く上で大切なのは、最初に結論を決めることです。具体例や体験談は、最初に決めた結論に関連するものを選びます。
「具体例や体験談から考える」という考えを「結論から考える」に改めることで、1の問題は解決します。
しかし、次に2の問題が立ちふさがります。こちらはどう解決すべきでしょうか?
小論文の結論はパクりなさい!
小論文の参考書などでよく言われるのが、「オリジナリティの大切さ」です。
たしかに、読者(採点者)をハッとさせる、オリジナリティあふれる意見を書けるならば、それに越したことはありません。しかし、そんな意見を書くのは、大人でもかなり無理があります。だから、多くの大人たちは頭を抱えます。
大人でも無理なことを子どもに期待することほど、無意味かつ愚かなことはありません。更にいえば、そもそも入試の小論文や意見文の結論にオリジナリティは要りません。
では、どうやって結論を決めるのでしょうか?
ここえ「小論文の結論はパクりなさい!」と生徒たちにアドバイスします。
具体的には、現代文の読解問題になっている文章や新聞の社説、過去に受賞した同じテーマの文章など、一般に「良い」と評価される文章から結論だけをパクります。
「パクる」というと盗作や剽窃行為のようですが、小中高で書かされる小論文などであれば、本やサイトを丸ごとコピペしない限り問題ありません。
というよりも、凡人が必死で考えた結論の99.999…%は、既に誰かが書いています。繰り返しますが、オリジナリティあふれる意見は、普通の人間が普通に生活している限り、そう簡単に出てくるものではありません。
したがって、小論文や意見文を書く場合、過去に読んだ文章の結論の中から、与えられたテーマにピッタリなものを選択します。
たとえば、人権作文ならば、「お互いに違いを認め合い、ともに手を取り合える社会を築きたい」などという結論をどこかからパクってきます(「パクる」というよりも、「誰でも考え付きそうな、ありきたりな結論でOK」ということです)。
このように結論を決めた後、「『お互いの違いを認め合う』って何?」「『ともに手を取り合う』ってどういうこと?」と考えて材料集めに進みます。
最後に、材料集めのコツをお伝えしましょう。
オリジナリティを支える具体例
小論文の結論にオリジナリティが不要です。しかし、文章全体にはオリジナリティが必要です。
これは矛盾でも何でもありません。結論のオリジナリティと文章全体のオリジナリティとは全く別物です。結論がありきたりな文章でも、読者をグイグイひきつけることは可能です。
では、陳腐でつまらない小論文と魅力的でおもしろい小論文を分けるのは何なのでしょうか?
小論文や意見文のオリジナリティを支えるのは具体例です。
「お互いの違いを認め合い、ともに手を取り合える社会を築きたい」という結論に対して、ニュースで報道されたいじめ問題を例にするのはありきたりです。提出するだけの作文であれば、具体例もありきたりで構いません。
しかし、小論文入試で合格したいならば、具体例の工夫が必要です。小中学生は自分の実体験で、高校生は自分で深く掘り下げたことのある話題で勝負します。
小中学生は身近な実体験を具体例にする
小中学生が書く小論文や意見文では、身近な実体験を例にするといいでしょう。
たとえば、「お互いの違いを認め合う」については、特別支援学級の生徒との交流や外国人留学生と一緒に受けた授業などを例にします。
「それだってありきたりだろ?」といわれればその通りです。しかし、似たような出来事があちこちで起こっていても、当事者が異なれば、それぞれの出来事は完全オリジナルです。同じ経験をしても、人によって捉え方や感じ方が違うからです。
一見すると「ありきたりな」体験談を魅力的な文章にするのか、陳腐な駄文にするのかは書き手次第です。
高校生は自分で深く掘り下げて考えたことを具体例にする
高校生は体験談を使わない方が賢明です。「自分は~した」だけだと普遍性がなく、どうしても幼稚な印象を読者(採点者)に与えてしまうからです。(体験談を入れても構いませんが、それを補強する論拠を体験談以外から持ってくる必要があります。)
そこで、高校生は、自分で深く掘り下げて考えたことのある話題で小論文を書くといいでしょう。
「お互いの違いを認め合う」については、たとえば、憲法論と絡めながら、外国人の人権問題に言及してみるといいかもしれません。日本国憲法における「法の下の平等」と外国人の参政権の関連、また、法的に外国人の人権が制限されるとしても、日常生活では彼らにどう接するべきか、などを理詰めで検討します。
もっとも、このレベルの文章を書きたければ、教科書の知識だけでは不十分です。普段から新聞やニュースなどで情報を収集し、それらを自分なりに整理し、自分の頭で考えた経験が物を言います。
オリジナリティは地道な作業の継続から
小論文や意見文では、結論をパクるので、さまざまな意見を覚えておく必要があります。また、体験談を書くにしろ、深く掘り下げた話題を書くにしろ、そうした材料は過去に蓄積したものから取捨選択します。
したがって、小論文などが受験で必要になった受験生は、普段からメモを取るようにするといいでしょう。
たとえば、国語の授業で論説文を読んだら、その文章の結論をメモします。その後、関連しそうな体験やニュース、自分なりに考えたことなどをどんどん書き加えます。小論文の練習をするときは、このメモを利用して文章を書きます。
小論文や意見文のオリジナリティは、「メモを取る」といった地道な作業の継続から生まれます。
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