小中学生が学ぶ理科では、気象分野で「日本の天気」を扱います。その中で、次のような問題が出題されます。
冬の時期にふく風について、正しく述べたものはどれか。
ア.北西の風で湿っている。
イ.北西の風で乾いている。
ウ.南東の風で湿っている。
エ.南東の風で乾いている。
一般常識のある大人なら、正解のイを選べますよね?
問題は、イを選ぶ根拠をどう説明するかです。根拠に当たる記述を教科書から拾ってみましょう。
冬の時期にふく北西の季節風は、冷たく乾燥している
東京書籍『新しい科学2年』には、次の記述が載っています。
冬の時期にふく北西の季節風は、冷たく乾燥している。
教科書的には正しい説明ですが、これだけでは多くの生徒たちがこんがらがります。
「冬に吹く風は北だっけ?南だっけ?」
「冬に吹く風は乾いてるの?湿ってるの?」
混乱する生徒たちに、どういう教え方をするといいのでしょうか?
冬に使うのは除湿器と加湿器のどちら?
無味乾燥な文字面だけでは、生徒たちが混乱してしまうのも当然です。だからこそ、僕は生徒たちに聞いてみます。
ここで「加湿器」と答える生徒には、「どうして加湿器を使うの?」と更に質問します。
そもそも加湿器が何なのか、よく分かっていない生徒もいます。そんな生徒には、「加湿器」という字を検討させます。
こういう流れで話を持っていけば、生徒も「冬は乾燥しているから」と気づくはずです。
北風のイメージを教えてよ
方角については北風のイメージを生徒に聞いてみます。「北風と太陽」や「北風小僧の寒太郎」など、子ども向けの童話や歌から北風のイメージを考えさせます。
「北風と太陽」では、北風が力任せに旅人のコートを脱がせようとします。しかし、寒いと感じた旅人は、コートをしっかりと押さえて決して脱ごうとはしません。この話から、北風が寒さの象徴であることが分かります。当然、寒さをもたらす北風は冬の風です。
身近な現象と理科を結び付ける
「冬の時期にふく北西の季節風は、冷たく乾燥している」という教科書の文言は、そのままでは生徒たちにとって覚えにくいんですね。だからこそ、僕は、身近な例を挙げて、教科書の文言を生徒たちにイメージさせます。
冬の風をイメージさせる例としては、除湿機と加湿器の使い分けや冬に火事が起こりやすい理由、冬に肌が乾燥しやすい理由など、身近な話題がたくさんあります。
そもそも常識の欠如した生徒には、除湿機と加湿器の区別を教えるところからスタートします。そうすると、生徒は「なるほど~」と感心してくれます。
理科は単なる暗記科目ではありません。身近な現象を科学的に見つめるために必要な常識を知るチャンスなのです。
トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ
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