忘れ物の多い生徒がいます。授業で必要なものを家に置いていったり、家庭学習で必要なものを学校に置いてきたり……。そんな生徒たちに僕はアドバイスします。
そのアドバイスは「忘れ物をするな!」という注意ではありません。もっと合理的な方法の指示です。
なぜ忘れ物をするのか?
大人がいくら「忘れ物をするな!」と注意したところで、生徒たちの忘れ物は減りません。なぜなら、「忘れ物をするな!」は単なる精神論に過ぎないからです。
生徒たちに忘れ物を無くさせるには、具体的な方法を教える必要があります。そのためにはまず、忘れ物をする原因を究明しなければなりません。
たとえば、筆記用具。多くの生徒たちは、ペンケースを1つしか持っていません。そのペンケースには、シャープペンも消しゴムも赤ペンも定規も入っています。つまり、勉強に必要なものが全て入っているんですね。
だから、そのペンケースを持ってくるのを忘れると、「筆記用具が何一つありません」となってしまいます。
通学用バッグ、塾用バッグ、お出かけ用バッグなど、一日に複数のバッグを使う生徒は、ペンケースの移動を忘れてしまうことがよくあります。塾用バッグにペンケースを入れっぱなしにしたせいで、学校で「筆記用具を忘れた!」となるわけです。
この例から分かるのは、忘れ物の原因が物の移動にあるということです。
忘れ物を無くす合理的な方法
忘れ物を無くす方法はいくつか考えられます。持ち物のチェックシートを作って、毎日チェックするのも一つです。
しかし、時間的に余裕のない状況ではチェックしているヒマはないでしょう。そそっかしい生徒なら、チェックすること自体を忘れたり、チェックしても忘れ物をしたりします。
チェックシートは合理的な方法とはいえません。上で究明した忘れ物の原因をふまえた方法でない以上、合理的でないのは当たり前です。
では、最も合理的な方法は何なのでしょうか?
それは、物の移動を最小限にすることです。具体的には、頻繁に使うものはいくつも買って、あらゆる場所に置いておくんですね。
たとえば、問題集や参考書の赤字を消すための赤シート。これは安いものですから、5枚くらい買っておきます。1枚は家に置いておき、1枚は学校のロッカーに入れておき、1枚は通学用バッグに入れておき、1枚は塾用バッグに入れておきます。最後の1枚は、紛失したときの予備です。そうすれば、「赤シートを忘れて勉強できない!」を防げます。
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さすがに、高価なものや、定期などの1つしか存在しないものはいくつも買えません。しかし、筆記用具も赤シートと同様に、あらゆる場所に置いておけるはずです。生徒によっては、冗談ではなくて本当に、教科書を何冊か買っておいた方がいいでしょう。
忘れ物がストレスの原因に
忘れ物はストレスの原因になります。だから、忘れ物の多い生徒たちは、常にストレスを抱えています。
忘れ物をしたことでイライラしている生徒が、保護者や先生から「忘れ物をするな!」という、何の役にも立たない叱られ方をすれば、さらにイライラします。そうしたストレスが蓄積すると、生徒によっては、却って忘れ物がひどくなることもあるんですね。
忘れ物が原因のストレスを無くすためにも、物の移動を最小限する方法は有効です。僕自身、折り畳み傘を全てのバッグに入れているため、急な雨に見舞われても、「傘を忘れた!」というストレスを回避できています。
忘れ物の多い生徒とその保護者は、忘れ物を無くす合理的な方法を実践してみてはいかがでしょうか?みんなのストレスが無くなって、快適な生活を送れるようになりますよ。
トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=ゆうき
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