日本語を英語に訳す和文英訳問題では、文法ミスをいかにして無くすかが大切です。
本記事では、文法ミスにつながりやすい代名詞について解説します。
よくある誤答例の何が問題か?
よくある誤答例は次の通りです。
so … that ~ 構文を使っている点はよいのですが、【誤答例】はおそらく0点でしょう。どこに問題があるのでしょうか?
省略された所有格を補う
まずは、文頭の “mother” を考えましょう。
“mother” は、数えられる名詞(可算名詞)です。数えられる名詞の単数形には、冠詞などを必ず付ける必要があります。
一般的に、家族を表す単語には「誰々の」という所有格を付けます。ここで問題となるのは、「【問題】の『母』は一体誰の母親なのか?」です。
日本語を見ても「母」としか書いてありません。しかし、「お母さん」でなく「母」であることに着目しましょう。
日常会話では厳密に使い分けられていませんが、「母」は自分の母親を指す言葉で、「お母さん」は他人の母親を指す言葉です。そもそも「お~さん」が尊敬を表す敬語表現なので、自分の身内に使うのは不適切です。
そう考えると、【問題】の「母」は「私の母」です。これを英訳すると “My mother” となります。

省略された主語を補う
次に、so … that ~ 構文の that 節を考えます。
that 節には主語が必要です。しかし、このthat 節になる「私達と一緒に行けません」には、主語がありません。したがって、英訳するときは、省略された主語を補う必要があります。
「私達と」を主語だと勘違いしてしまう生徒が少なくありません。しかし、「私達と」の「と」は主語にはならない助詞なので、”that we can’t …” としてはいけません。
日本語では、主述関係が2回以上続く場合、最初の主語とその後の主語が同じならば、後の主語を省略します。「私は勉強した。その後、出かけた。」という文章では、「勉強した」の主語も「出かけた」の主語も「私は」です。
このことを知っていれば、「私達と一緒に行けません」の主語は、「とても忙しい」の主語と同じで「母は」です。「母」は女性で、一度登場した人物なので、英語にするときは”she”に書き換えましょう。

日本語と英語は根本的に違う言語
ここまでの解説をふまえて【誤答例】を修正すると次の通りです。
省略された「私の」と「彼女が」を補って書き直しました。このように、和文英訳では、日本語では省略される代名詞を補うことが大切です。
そもそも、日本語と英語は根本的に違う言語です。日本語では所有格や主語を省略しますが、英語では原則として省略できません。この違いをきちんと頭に入れた上で和文英訳をしましょう。

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