力の分解を身近な例から考えよう!斜面を滑る運動の速度はどうなる?

みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記 理科
同じ質量の物体が斜面を滑り落ちます。緩やかな斜面と急な斜面、物体が速く滑り落ちるのはどちらですか?ただし、斜面の摩擦は考えないものとします。

この質問にどう答えますか?もちろん急な斜面の方が物体は速く滑り落ちますよね?

ここで考えてほしいのは、「斜面が急だとどうして物体は速く滑り落ちるの?」という素朴な疑問です。「斜面が急だから」と多くの生徒たちは答えます。しかし、それでは理由になっていません。

日常的に「当たり前」と思っている現象をどう説明すればいいのでしょうか?

現象を視覚的に把握させる指導

斜面を滑り落ちる物体の運動を教える際、僕は図を描きます。理科では、現象を視覚的イメージとしてとらえることが大切だからです。

重力を分解して分力を図示する

まずは、以下のような図1と図2を描きます。

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図1が緩やかな斜面、図2が急な斜面です。

物体から下方向に伸びている赤い矢印は、物体に働く重力を表しています。「物体の質量が同じ」という前提なので、重力も同じ大きさになり、矢印の長さは等しくなります。

次に重力を分解します。

力を分解する場合、元の力を対角線とする平行四辺形を描きます。その平行四辺形の2辺が分解された力(分力)です。これを以下のように描き足します。

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斜面水平(平行)方向と斜面垂直(鉛直)方向に重力を分解しました。

なぜこのように分解したのかというと、物体が斜面水平方向に運動している(滑り落ちる)からです。運動方向と水平な分力を考えることがポイントです。

物体の滑り落ちる速度が違う理由

分力を描き終えたら、図1と図2を見比べます。

斜面水平方向の分力、つまり水色の矢印の長さが違いますよね?

同じ大きさの重力を分解したにもかかわらず、水色の矢印は図2の方が長いのです。この長さの違いこそが、物体の滑り落ちる速度が違う理由です。

さて、図を描けば、何となく分かった気になります。その「何となく」を、次はテストの点数に結び付けなければなりません。そのためには、どうすればいいのでしょうか?

現象の理解をテストの点数に結びつけたければ、現象を図示した後、その図の意味を言葉で説明することが大切です。ノートには図とその図を説明した文章を書き込んで、図と文章の両方を暗記しましょう。

現象の視覚的イメージを文章化する

「斜面を滑り落ちる物体の運動」の図を文章化すると次の通りです。

急な斜面の方が、重力の斜面水平方向の分力が大きくなるため、物体が滑り落ちる速さも大きくなる。

この文章でポイントは、「重力の斜面水平方向の分力」です。

前で説明した通り、分力を求めるためには平行四辺形の性質を利用します。そのため、「平行四辺形」「対角線」「水平」「垂直」などの言葉があやふやな場合は、数学の図形分野の知識もノートにメモしましょう。メモの例は次の通りです。

対角線は、2つの頂点同士を結ぶ線分。ただし、辺は対角線ではない。

「対角線」を図でイメージできても、いざ文章にしようとすると案外戸惑うものです。その戸惑う部分を文章化したメモがたくさんあるノートは、理科の勉強をしていく上で一番わかりやすい参考書となります。

都立高校入試の問題を秒殺!

最後に、図の文章化が実際のテストでどう役に立つのか、実例を見てみましょう。

2013年都立高校入試の理科では、大問5の[問3]で次の問題が出題されました。

<結果2>と<結果3>から分かることを述べたものとして適切なのは、次のうちではどれか。

ア.斜面の傾きが大きくなると、物体にはたらく重力が大きくなるので、速さの増え方が大きくなる。

イ.斜面の傾きが大きくなると、 物体にはたらく斜面からの垂直抗力が大きくなるので、速さの増え方が大きくなる。

ウ.斜面の傾きが大きくなると、物体にはたらく重力の斜面に垂直な分力が大きくなるので、速さの増え方が大きくなる。

エ.斜面の傾きが大きくなると、物体にはたらく重力の斜面に平行な分力が大きくなるので、速さの増え方が大きくなる。

「重力の斜面に平行な分力」というキーワードさえ知っていれば、<結果2>や<結果3>を検討するまでもなくエを選べます。

都立高校入試の問題を秒殺!この正解を選べただけで5点!人生が変わります!

都立高校入試の例からも分かる通り、理科では、現象のイメージを図で表すだけでなく、それらを文章化することも大切です。理科を得意にしたければ、図と文章の両方をしっかり頭に叩き込みましょう

トップ画像=Pixabay

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