【「の」の用法】主格・連体修飾格・準体格・同格を文法的に考える

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みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記
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2016年センター試験の古文にチャレンジ

最後に、2016年センター試験の古文で出題された、「の」の用法に関する問題を検討します。この年の古文は『今昔物語集』からの出題。平易な言葉で書かれた説話だったため、多くの大学受験生が「解きやすい」と感じたようです。

「の」の用法は問2に出題されました。「破線部a~eの『の』を、意味・用法によって三つに分けると、どのようになるか。」というグループ分け問題でした。本文中の「の」を一つ一つ見ていきましょう。

a 鬼どもの我に唾を吐きかけつる

a 鬼ども我に唾を吐きかけつる

「の」の前後が、名詞「鬼ども」と代名詞「我」なので、連体修飾格だと思う受験生もいたことでしょう。しかし、「鬼どもの我」では、「鬼たちの中の私」という意味になって不自然です。そのため、aの「の」は連体修飾格ではありません。

「鬼どもの」は「吐きかけつる」を修飾すると考えるのが自然です。つまり、“名詞「鬼ども」+「の」+動詞「吐きかけつる」”の形になります。また、「鬼たち吐きかけた」と、「の」を「が」に言い換えられます。したがって、aの「の」は主格です。

b 男の傍らに立ちて

b 男傍らに立ちて

“名詞「男」+「の」+名詞「傍ら」”の形で意味的にも不自然さがありません。したがって、bの「の」は連体修飾格です。

c 童のいと恐ろしげなる

c 童いと恐ろしげなる

cの「の」の前後は、「童=いと恐ろしげなる」の関係です。「の」は「で」に言い換えて、「子ども恐ろしい子どもが」と訳すと良いでしょう。したがって、cの「の」は同格です。

ちなみに、古文で同格「の」がある場合、直後に来る用言の連体形に体言が続かないという特徴があります。

c「童のいと恐ろしげなる、」は、形容動詞「恐ろしげなり」の連体形「恐ろしげなる」の直後に体言がありません。「の」の直前の「童」を「恐ろしげなる」の直後に補って、「恐ろしげなる童」と考えるべき箇所です。

d 扉の迫の人通るべくもなきより

d 扉の迫人通るべくもなきより

1つめの「の」は、“名詞「扉」+「の」+名詞「迫」”の形より、連体修飾閣で問題ありません。一方、破線部dの「の」は、“名詞「迫」+「の」+名詞「人」”の形から連体修飾格だ、と早合点してはいけません。「迫の人」を「隙間の人」と訳しては意味が通じませんからね(笑)。

ここでは、「扉の迫(隙間)=人通るべくもなき(人が通れない)」と考え、「の」を「で」に言い換えます。したがって、dの「の」は同格です。

d「通るべくもなきより」も、形容詞「なし」の連体形の直後に助詞「より」が続きます。「通るべくもなき迫より」と「迫」を補って考えます。

e 男の手を取りて

e 男手を取りて

“名詞「男」+「の」+名詞「手」”の形で意味的にも不自然さがありません。したがって、eの「の」は連体修飾格です。

「の」をグループ分けすると?

以上を踏まえてa~eの「の」をグループ分けすると次の通りです。

〔a〕〔b・e〕〔c・d〕

このグループ分けに合致する選択肢は1ですね。大学受験生の皆さんは正解できたでしょうか?

「の」の用法をマスターしよう

「の」の用法は、古典文法問題としても口語文法問題としても頻出です。品詞の形から攻める手法と、「が」「で」などに言い換える手法の両方を駆使して、確実に得点できるようにしましょう。

また、作文などでも、「私が買った本が面白い。」のように「が」が連続する場合、修飾部に含まれる「が」を「の」に書き換えるといいですよ。具体的には、「私買った本面白い。」を「私買った本面白い。」と書き換えます。こうすることで、文のリズムが整い、読者が主述関係を読み誤らなくなります(「私が買った本が面白い。」だと、「面白い」のは「私」か「本」かが分かりにくい)。

「の」の用法をマスターすると、古文でも現代文でも有利ですよ!!

トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ / モデル=河村友歌

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