国語の入試問題では情報処理力が求められる!本文が簡単でも解けない

国語の入試問題では情報処理力が求められる!本文が簡単でも解けない 国語一般

国語指導者の多くが「本文を読めれば問題も解ける」と主張します。しかし、僕はこれまでこの主張を否定してきましたし、今後も否定し続けます。

「本文を読めれば問題も解ける」とのたまうバカ国語講師に物申す!
学校や塾の国語の授業では、教師や講師が「本文を読めれば問題も解ける」と教えることが多いようです。しかし、実際は、本文全体を理解できなくとも、設問を解くことは可能です。バカ国語講師の戯言にまどわされないことが大切です。

というのも、本文を読めただけでは解けない問題を作れるからです。

たとえば、選択肢問題ならば、各選択肢を紛らわしくして、解答者に誤解させることが可能です。「本文を読めた(=完璧に理解した)」と油断していると、選択肢の罠に引っかかってしまいます。

本記事では、具体例を挙げて「本文を読めれば問題も解ける」がデタラメであることを証明します。

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本文は小学生でも簡単に読めるのに……

まずは次の問題にチャレンジしてみてください。

次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

お花畑から、大きな虫が一ぴき、ぶうんと空にのぼりはじめました。

からだが重いのか、ゆっくりのぼりはじめました。

地面から一メートルぐらいのぼると、横に飛びはじめました。

やはり、からだが重いので、ゆっくりいきます。うまやの角の方へ、のろのろといきます。

見ていた小さい太郎は、縁側からとびおりました。そして、はだしのまま、ふるいを持って追っかけていきました。

うまやの角をすぎて、お花畑から、麦畑へあがる草の土手の上で、虫をふせました。

とってみると、かぶと虫でした。

「ああ、かぶと虫だ。かぶと虫とった。」

と、小さい太郎はいいました。けれど、だれも、なんともこたえませんでした。小さい太郎は、兄弟がなくてひとりぼっちだったからです。ひとりぼっちということは、こんなとき、たいへんつまらないと思います。

小さい太郎は、縁側にもどってきました。そしておばあさんに、

「おばあさん、かぶと虫とった。」

と、見せました。

縁側にすわって、いねむりしていたおばあさんは、目をあいてかぶと虫を見ると、

「なんだ、がにかや。」

といって、また目をとじてしまいました。

「ちがう、かぶと虫だ。」

と、小さい太郎は、口をとがらしていいましたが、おばあさんには、かぶと虫だろうががにだろうが、かまわないらしく、ふんふん、むにゃむにゃといって、ふたたび目をひらこうとしませんでした。

小さい太郎は、おばあさんのひざから糸切れをとって、かぶと虫のうしろの足をしばりました。そして、縁板の上を歩かせました。

かぶと虫は、牛のようによちよちと歩きました。小さい太郎が糸のはしをおさえると、前へ進めなくて、カリカリと縁板をかきました。

しばらくそんなことをしていましたが、小さい太郎はつまらなくなってきました。きっと、かぶと虫には、おもしろい遊び方があるのです。だれか、きっとそれを知っているのです。

(新美南吉「かぶと虫」より)

問、傍線部「しばらくそんなことをしていましたが、小さい太郎はつまらなくなってきました」とありますが、小さい太郎が「つまらなくなってき」たのはなぜか。次の中から適当なものを一つ選び、記号で答えなさい。

ア かぶと虫を捕まえたことを誰かに自慢したいのに、褒めてくれる兄弟はなく、おばあさんもいねむりするばかりで、太郎は糸切れでしばったかぶと虫を歩かせて一人で遊んでいたが、おもしろい遊び方ではないと思ったから。

イ かぶと虫を捕まえて喜んだが、そのことを一緒に喜んでくれる兄弟はなく、おばあさんはかぶと虫をがにであると信じ切って話が通じず、太郎は糸切れを使ってかぶと虫を歩かせていたが、段々とむなしくなってきたから。

ウ かぶと虫を捕まえたのに、うれしい気持ちを共有してくれる兄弟はなく、おばあさんも全く関心を示してくれず、太郎はかぶと虫のうしろの足を糸切れでしばって一人で遊んでいたが、刺激がなくてあきてしまったから。

エ かぶと虫を捕まえるのに成功したが、かぶと虫について話せる兄弟はなく、おばあさんも太郎の話に耳を傾けないので、太郎はかぶと虫を糸切れで縁板にしばって歩かせていたが、一人遊びよりおもしろい遊び方に気づいたから。

本文は「ごんぎつね」でおなじみの新美南吉が書いた物語です。

とても平易な言葉を使っていますし、話の流れも決して難しくありません。小学3・4年生なら読めるでしょうし、もしかしたら小学1・2年生でも読めるかもしれません。

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しかし、問の方はどうでしょうか?

本文を簡単に読めたからといって、確実に正解を選べますか?

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紛らわしい選択肢を検討してみよう

実際に問を検討してみます。

まず、傍線部に「そんなこと」という指示語があるので、その指示内容を確認します。

小さい太郎が「してい」たことですから、直前の2つの段落内容「小さい太郎は、~カリカリと縁板をかきました。」が指示内容であるのは明らかです。簡単にまとめると、「そんなこと=糸切れでかぶと虫のうしろの足をしばって、縁板の上を歩かせる遊び」です。

ただ、各選択肢を見ると、「そんなこと」の内容をチェックしただけではどうも解けないようです。仕方ないので、選択肢の各部分を本文と照らし合わせていきます。

アは「誰かに自慢したい」に対応する記述が本文のどこにもありません。「本文に書かれていないことは×」の変則に従って不正解とします。

イは一見すると正解のようですが、本文の記述と異なっている部分があります。「おばあさんはかぶと虫をがにであると信じ切って」の部分です。本文には「おばあさんには、かぶと虫だろうががにだろうが、かまわないらしく」とあるので、「信じ切って」いるわけではありません。このように細かいところで不正解となる選択肢です。

ウは本文中の事実に対応する部分は問題なさそうです。「刺激がなくてあきてしまった」を微妙に思うかもしれませんが、これは傍線部直後の「おもしろい遊び方」と対になると考えられます。とりあえず保留しましょう。

エも一見すると正解のようですが、細かい言葉遣いによる罠があります。「太郎はかぶと虫を糸切れで縁板にしばって」は「そんなこと」の内容と合致しません。小さい太郎が行ったのは「糸切れでかぶと虫のうしろの足をしばった」ことと「かぶと虫に縁板の上を歩かせた」ことです。「かぶと虫を糸切れで縁板にしばった」わけではありません。したがって、不正解です。

以上より、正解の選択肢はウだとわかります。

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長文化する入試で求められるのは情報処理力

僕が例として作成した問題では、本文の読解以上に選択肢の検討が大切です。そして、長文化が進む近年の入試国語では、このような問題が増えています。つまり、選択肢も長文化・複雑化していて、本文の完全理解だけでは対応できないのです。

国語に限りませんが、近年の入試で試されているのは情報処理力です。膨大な文章や資料が与えられ、それらを如何に速く正確にさばいていくかが求められています。

以上の傾向をふまえると、「本文を読めれば問題も解ける」という主張は果たして成り立つのでしょうか?

本文内容の解説に終始する塾の国語の授業が本当に役立っているのでしょうか?

「国語ができない」と嘆く受験生やその保護者は、国語の勉強法を見直してみる必要があります。

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大手塾に通う生徒たちは、塾の国語の授業を真面目に受けています。それにもかかわらず、「国語ができない」という状況に陥るのはなぜでしょうか?しばしば国語の相談を受けるプロ家庭教師が徒然なるままに書き連ねます。

トップ画像=写真AC

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