模試の自己分析で失敗するのはなぜ?「苦手」の復習が無駄になる理由

みみずく先生のプロ家庭教師&ライター奮闘記入試対策

生徒は模試(模擬試験)の結果を見て「国語の記述問題が苦手です」「英語の不定詞が苦手です」などと言います。しかし、彼らの「苦手」「できない」は、多くの場合、本質的な問題点からずれています。自己分析の失敗事例を見ていきましょう。

【自己分析の失敗事例1】国語の記述問題が苦手です

国語で多いのが「国語の記述問題が苦手です」。実際、生徒は模試で8点満点の記述問題の点数が3点~5点しか取れず、場合によっては0点を叩き出します。

記述問題が苦手なのはその通りですが、模試の答案をもう少しきちんと分析すると、記述問題の正答率以上にマズイ状況がはっきりします。「国語の記述問題が苦手です」と悩む生徒には、多くの場合、次のような傾向があります。

  • 記号選択問題や抜き出し問題で間違いが多い。
  • 漢字や語句、文法などの知識問題で間違いが多い。

記述問題以外の問題の正答率が大切

模試の解答用紙は記述問題の解答欄が大きく、また記述問題の配点が高いため、どうしても記述問題にばかり目が行きがちです。

しかし、国語の試験で重視すべきは、記述問題よりも、記号選択問題や抜き出し問題、知識問題です。記述問題なら部分点も付きますが、記号選択問題などは満点か0点しかありません。そして、問題数の少ない国語の試験では、記号選択問題などの配点も高いことがほとんどです。

たとえば、一般的な国語の試験では、記述問題が1問8点、記号選択問題が1問4点、漢字の読み書きが1問2点だとすると、記述問題以外の問題を全て正解するだけで約8割の高得点を叩き出せます。記述問題以外の問題の正解率が国語の試験の点数を大きく左右します。

記述問題で満点を狙ってはいけない

「選ぶだけ」「抜き出すだけ」の問題で正解できない生徒は、そもそも本文を論理的に読めていません。それでも、記述問題では、8点満点のうち3点~5点をもらえることがあります。記述問題は、解答の論理が間違っていても、キーワードが含まれていれば部分点の対象になるからです。

もちろん、「記述問題が中途半端な点数になるのは嫌」という生徒の気持ちはわかります。しかし、その気持ちで突っ走っても、国語の点数はいつまで経っても伸びません。記述問題で満点を狙うよりも、記述問題以外の問題をきちんと正解できるようにすることが先決です。

また、知識問題で間違いが多い生徒は、国語の勉強にかける時間がそもそも少な過ぎます。他の科目と同じ配点なのに国語だけ手を抜いている生徒は、きちんと時間を確保して、漢字や文法などの暗記に励みましょう。

【自己分析の失敗事例2】英語の不定詞が苦手です

次に、積み上げ型の科目である英語や数学で頻繁に見られる勘違いについて紹介します。例として「英語の不定詞が苦手です」という悩みを取り上げます。

「不定詞が苦手」という生徒の定期試験結果を見ると、確かに模試で不定詞の問題が全滅しています。しかし、答案をきちんと分析してみると、これまた意外な事実が判明します。

新しい単元ではなく既習内容ができていない

たとえば、「昨日、私はサッカーをするために公園へ行きました。」という日本語の文を英語に直す問題で間違っていまいた。そのときの解答は次の通りです。

I go to the park to play soccer yesterday.

この解答は、「行きました」という日本語に対して現在形の go を使っているから不正解なのです。

生徒は「不定詞が苦手」と思い込んでいますが、実際にできていなかったのは「過去形」です。不定詞は何ら問題ありません。

英語や数学は、既習内容の上に新たな学習内容が積み重なっていきます。当然、既習内容をきちんと理解できていないと、そこで混乱したり分からなくなったりします。しかし、多くの生徒たちは、積み上げの失敗が混乱の原因であることに気付かず、「新しい単元のせいで分からなくなった!」と勘違いします。

不適切な自己分析は無駄な勉強につながる

不適切な自己分析に基づく勘違いは無駄な勉強へつながります。不定詞の例だと、生徒は不定詞の単元ばかりを何度も復習するでしょう。しかし、その前の単元ができていない以上、不定詞ばかりいくら復習しても、これからも時制や語順などで同じ間違いを繰り返します。

数学でも同様の勘違いが多発します。「二次関数が苦手」という生徒の多くは、因数分解や二次方程式、一次関数などが壊滅しています。こちらもよくある自己分析の失敗事例です。

【自己分析の失敗事例3】偏差値がよかった理科は得意です

生徒が自己分析して把握した「苦手」「できない」の多くが見当違いです。一方、「得意」「できる」も勘違いであるケースが目立ちます。

たとえば、中3の6月に受けた模試で、理科の偏差値が70だった生徒がいるとします。彼は満面の笑みを浮かべて「僕は理科が得意です!」と断言します。

しかし、彼の言う「得意」も信用できません。

「偏差値がよかった」模試は危うい

「偏差値がよかった」という生徒の答案を見てみると、生物分野と物理分野の大問がほぼ満点です。しかし、地学分野と化学分野は平均点を下回っています。

しかも、今回の物理分野は「力」が出題されたからほぼ満点でしたが、これがもし「電気」分野だったら、同じように点数を取れたかどうかはわかりません。この生徒が普段から「電気が苦手」と口にしているならなおさらです。

こうした例からもわかる通り、理科・社会の模試はどの単元がメインで出題されるかによって偏差値が乱高下します。そのため、たまたま偏差値がよかっただけで「得意」「できる」と考えるのは危険です。

理科・社会では得点できなかった単元を勉強する

夏休み明けくらいまでは、多くの受験生たちが理科・社会をあまり勉強しません。そのため、この時期の模試の理科・社会は平均点が低く、特定の分野に偏った点数の取り方でも、偏差値が高くなる傾向があります。

こうした理科・社会の特殊性を無視して、偏差値だけで「得意」「できる」と思い込み、勉強を怠っていると秋以降で悲惨なことになります。

模試の理科・社会で見るべきは偏差値ではありません。自分が得点できなかった単元を特定し、その単元を勉強ことに意義があります。

模試の結果を受験指導のプロに分析してもらう

失敗事例を通して模試の自己分析があてにならないことを示しました。とはいえ、この問題点を生徒自身や保護者が解決するのは困難です。

大手塾に通っていても、生徒一人一人をかなり丁寧に見てくれる指導者に出会えない限り、「苦手」「できない」(もしくは「得意」「できる」)の勘違いが修正されることはありません。それどころか、生徒の言う「苦手」「できない」に便乗して、「その苦手な分野をもっと勉強した方がいいですよ!『●●講座』がオススメです!」と営業してくる塾もあります。

勉強しても成績が上がらない生徒は、模試の結果を受験指導のプロに分析してもらうのがよいでしょう。このとき、金儲けのことしか考えていない自称「プロ」は避け、信頼できる誠実なプロに依頼することが大切です。

トップ画像=フリー写真素材ぱくたそ

コメント

タイトルとURLをコピーしました