就職活動や転職活動では、エントリーシートを書かなければなりません。中でも、「志望動機をどう書くか?」で悩む人は少なくないでしょう。
そんな悩みを解決するコツは、「具体的に書く」と「仕事とのつながりを書く」の2つです。例文を交えながら、志望動機の書き方を学びましょう。
「志望動機に書くことがない」という悩み
今回登場する妖怪は小豆洗いです。

小豆洗いは、山形県や新潟県、秋田県など、全国各地の川に現れます。やることは、ショキショキと小豆を洗う音を立てるだけ。地味ですね。

小豆洗いの中には危険な奴もいるんだよ。大分県の小豆洗いは、「小豆洗おか、人取って喰おか」と歌いながら小豆を洗うんだって! しかも、この音に気を取られた人は川に引きずり込まれるっていうから、超危険!
そんな小豆洗いですが、最近は川の護岸工事が進んで、小豆を洗う場所が無くなって困っているとか。だから、人間のふりをして就職することにしました。
小豆を洗うことを特技とする小豆洗いにとって、小豆に関係のある企業を目指すのが一番楽でしょう。そこで、あんこを使ったお菓子を製造している製菓会社「こまめ」にエントリーシートを送ることにします。
小豆洗いが書いた志望動機を見てみましょう。
言いたいことはわかりますが、これでは他の応募者と差がつきません。NG文章例の問題点は次の通りです。

こまめのエントリーシートでは、志望動機を300字まで書けます。それなのに114字しか書いていませんね。

書くことがなかったんですよ…

そんなこと言わずに300字くらいまで膨らませるべきです。字数不足だと「やる気がない」と思われますよ!
志望動機で自分の特技をPRする場合、「当たり前」と思っていることもていねいに言語化すべきです。企業の人事が「この人はこういうことができるんだな」とありありとイメージできる文章を目指しましょう。具体的な実績を盛り込むことも大切です。
「具体的に書く」と「仕事とのつながりを書く」
小豆洗いが書いた志望動機を添削していきましょう。
「具体的に書く」 と「仕事とのつながりを書く」を意識した上で、次の3点についてNG文章例を修正します。内容を充実させれば、字数不足も自然と解決されるはずです。
- 小豆の性質をふまえた上で、小豆をどのように洗っているのかを詳しく書く。
- あんこを使ったお菓子の例を1つに絞って、誰にどう評価されたのかを詳しく書く。
- 会社の理念や特徴を踏まえながら入社後のキャリアを具体的に予想して、「貢献」の内容を明らかにする。
上の2点は「具体的に書く」ことで、最後の1点は「仕事とのつながりを書く」ことです。
ポリフェノールを残して汚れだけ洗い落とす
小豆を洗うだけなら誰でもできます。このことを特技としてPRするなら、普通の人とは違った洗い方への拘りを示す必要があります。
たとえば、 小豆の表皮を傷つけない一方で、汚れをきちんと落とせる洗い方ができることを強調するといいでしょう。
小豆の表皮には、ポリフェノールなど、健康や美容に良いとされる成分が含まれます。小豆をゴリゴリ洗ってしまうと、汚れだけでなくポリフェノールなども落としてしまいます。

ポリフェノールは、植物が光合成をすることで作られる色素や苦みの成分よ。ポリフェノールには、動脈硬化やがんなどの病気を引き起こす活性酸素を体内で無害化する働きがあるといわれるわ。
このことを意識した洗い方ができることを次のようにPRしてみてはいかがでしょうか?
認知症のおばあさんを感動させたおはぎ
小豆を使ったお菓子については、「あれもこれも美味しく作れる」ではなく、「おはぎ作りでは誰にも負けない」のように、お菓子を一つに絞ったエピソードを盛り込みたいところです。
今回は、老人ホームでのボランティアを取り上げて、次のように書いてみます。「小豆洗いがボランティアに参加したのはなぜ?」というツッコミは無しの方向で…。
自分の特技や体験を仕事とつなげてまとめる
最後に、自分の特技や体験が仕事とどうつながるのかを書いてまとめとします。
こまめはあんこを使ったお菓子を数多く製造しています。中でも、ロングセラー商品である「こまめどら焼き」は、“こまめの顔”というべき代表的なお菓子です。
小豆洗いの志望動機としては、健康に配慮した小豆の洗い方と、認知症患者をも感動させたお菓子作りのノウハウを、「こまめどら焼き」の製造に役立てたい、という流れにするのがベストでしょう。

「仕事とのつながりを書く」ときに大切なのは企業分析です。応募する企業の事業内容や販売商品、業界でのポジション、企業風土、社長からのメッセージなどに目を通しておく必要があります。企業分析の結果をふまえて、自分の特技や体験を取捨選択しなければなりません。

他社への応募で書いた志望動機を使い回すのは避けた方がいいってことですね!
300字で自分の魅力を企業にしっかりPRすべし
NG文章例を書きかえたのが次の最終稿です。字数はちょうど300字です。
くり返しになりますが、エントリーシートの志望動機を書くコツは「具体的に書く」と「仕事とのつながりを書く」の2つです。
「具体的に」といっても、難しく考える必要はありません。自分の特技や体験を企業の人事にわかりやすく伝えられればOKです。そして、具体的に書いたことが仕事につながるようにまとめて、志望動機の完成!
たった300字の短い文章ですが、自分の魅力を企業にしっかりPRすることが大切です。
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