都立高校入試社会で出た!知識がなくても解けるバカバカしい問題3選

都立高校入試社会で出た!知識がなくても解けるバカバカしい問題3選 社会

都立高校入試の社会は、教科書などに載っている知識がまったくなくても、常識だけで解けてしまう歴史の問題が時々出題されます。そういうバカバカしい問題を集めてみました。

乗り物の技術に関する問題

次の問題は平成20年度の大問6[問1]です。

「数多くの発見や、新しい技術を生み出すなかで」とあるが、次のア~エは、それぞれの時代に大きな影響を与えたできごとについて述べたものである。時期の古いものから順に記号を並べよ。

ア イギリスで蒸気機関が改良され、紡績業をはじめとした工場の機械化が進み生産性が増大するとともに、蒸気機関車や蒸気船によって輸送力も飛躍的に伸びた。

イ アメリカ合衆国とソビエト連邦の冷たい戦争(冷戦)とよばれる対立のなかで、ソビエト連邦より初めて打ち上げられた人工衛星の技術は、通信をはじめさまざまな分野に応用された。

ウ ライト兄弟が初飛行を成功させた航空機は、兵器として第一次世界大戦で用いられた後、定期航空路の開設にともない人々の輸送にも利用されるようになった。

エ ヨーロッパの人々が、進んだ造船技術や航海術を利用して、アジアとの直接貿易のための航路を開拓するなかで、コロンブスは大西洋を横断しアメリカ大陸に達した。

この問題の解き方は、ア「イギリスで蒸気機関が改良され(=産業革命)」、イ「冷戦」、ウ「第一次世界大戦」、エ「コロンブスは…アメリカ大陸に達した」を時代順に並べるのが王道です。

しかし、ア「蒸気機関車や蒸気船」、イ「人工衛星」、ウ「航空機」、エ「造船技術や航海術」を時代順に並べることでも解けてしまいます。

まず、空を飛ぶための航空機は、海を渡るための船より後に発明されました。また、宇宙に飛び立つ人工衛星は、航空機より後に発明されました。したがって、(アとエ)→ウ→イが分かりました。

次に、船の技術について述べている(アとエ)を比較します。エの選択肢は、「航路を開拓」している時代の話です。当然、蒸気機関が実用化された時代より前の話ですね。エ→アが確定です。したがって、正解はエ→ア→ウ→イです。

情報の伝達技術に関する問題

平成30年度の大問4[問4]も同じように解いてみましょう。

「様々な情報をより広い範囲の人々に迅速に伝達する技術が開発されるようになった。」とあるが、次のア~エは、昭和時代から平成にかけて、情報の伝達技術が発達した時代背景と新たな技術開発の様子について述べたものである。時期の古いものから順に記号を並べよ。

ア ○投機によって株式と土地の価格が上がるバブル経済が発生し、拡大する中で、ベルリンの壁の崩壊などのニュースが、地上波による放送だけではなく衛星放送でも伝えられた。

○防災情報に関するデータや映像などを表示するマルチスクリーンディスプレイが開発され、新たに西新宿に落成した東京都庁舎に設置された。

イ ○我が国が独立国としての主権を回復し、復興が進む中で、テレビの本放送が始まり、街角に設置された街頭テレビに人々が集まり、大相撲やプロ野球などが視聴された。

○我が国の企業によって、持ち運びできるトランジスタテレビが世界で初めて開発され日本橋で商品発表が行われた。

ウ ○戦争が長期化し、国家総動員法が公布されるなど戦時体制が形成される中で、政府は内閣情報局を設置し、戦況などに関する報道に対して統制を行った。

○放送技術の開発を専門とする我が国唯一の研究機関として、放送技術研究所が砧に開設され、テレビの実験放送が開始された。

エ ○重化学工業が発展し技術革新が進む中で、大阪で開催された万国博覧会では、迷子センターでテレビ電話を用いるなど、新たに開発された技術が取り入れられた。

○駒場の東京大学内に設立された宇宙工学などに関する研究機関が、人工衛星の打ち上げを我が国で初めて成功させた。

情報の伝達技術に関する言葉は、ア「衛星放送」「マルチスクリーンディスプレイ」、イ「テレビの本放送が始まり」「トランジスタテレビ」、ウ「テレビの実験放送が開始」、エ「テレビ電話」「人工衛星の打ち上げを我が国で初めて成功させた」です。

まず、アとエが衛星放送に関する情報です。人工衛星の打ち上げが成功した後に衛星放送が始まります。したがって、エ→アが分かります。

次に、イとウでは、テレビの実験放送が先で本放送が後だと判断できるはずです。したがって、ウ→イです。

最後に、テレビが普及した後にテレビ電話が開発されたのだろうと考えれば、イ→エが確定します。したがって、正解はウ→イ→エ→アです。

社会資本に関する問題

令和4年度の大問6[問1]も社会資本をしょぼい順に並べるだけです。

「人々が快適な生活を送るために様々な社会資本が整備されてきた。」とあるが、次のア~エの文は、それぞれの時代の都市の様子について述べたものである。時期の古いものから順に記号を並べよ。

ア ドイツ帝国の首都ベルリンでは、ビスマルクの宰相任期中に、工業の発展により人口の流入が起き、上下水道が整備され、世界で初めて路面電車の定期運行が開始された。

イ イギリスの首都ロンドンでは、冷戦(冷たい戦争)と呼ばれる東西の対立が起き緊張が高まる中で、ジェット旅客機が就航し、翌年、空港に新滑走路が建設された。

ウ アメリカ合衆国の都市ニューヨークでは、300mを超える超高層ビルが建設され、フランクリン・ルーズベルト大統領によるニューディール政策の一環で公園建設なども行われた。

エ オーストリアの首都ウィーンでは、フランス同様に国王が強い政治権力をもつ専制政治(絶対王政)が行われ、マリア・テレジアが住んでいた郊外の宮殿の一角に動物園がつくられた。

社会資本に関する言葉は、ア「上下水道」「路面電車」、イ「ジェット旅客機」「新滑走路」、ウ「超高層ビル」「公園」、エ「動物園」です。

これらの中で一番しょぼいのはエでしょう。動物園は動物を檻の中に閉じ込めておけばいいだけだからです。

次にしょぼいのがアです。上下水道は先進国では基礎の基礎となる社会資本ですし、路面電車は懐かしい感じがします。

最後に、イとウを比べ、超高層ビルを作れる技術が完成した後に、ジェット旅客機のための新滑走路も建設できると考えれば、ウ→イの順番です。したがって、正解はエ→ア→ウ→イです。

知識がまったくなくても解ける?

都立高校入試の社会は、他県の公立高校入試の社会と違って、教科書に載っている知識がまったくなくても解ける問題が出題されることがあります。こうした傾向は、都立高校入試の過去問が10年分収録されている「高校入試 虎の巻」で確認しておくといいでしょう。

社会の配点は1問5点です。世界史などが出題されて「わからない」と思っても、諦めて適当に記号を書くのではなく、選択肢をしっかり読んで常識的に判断することをおすすめします。

トップ画像=Pixabay

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